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骨折部位ごとの固定法を視覚で覚えようじゃ

看護師国家試験 第107回 午前 第96問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第96問

Aさん( 75歳、女性 )。1人暮らし。脳梗塞( cerebral infarction )の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折( proximal humerus fracture )と診断され、入院した。 Aさんの骨折に対して保存療法が行われることとなった。骨折の固定法を図に示す。 Aさんの骨折部の固定として適切なのはどれか。

  1. 1. 選択肢1
  2. 2. 選択肢2
  3. 3. 選択肢3
  4. 4. 選択肢4

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは75歳の一人暮らしで、右の上腕骨近位部骨折じゃ。保存療法で固定することになったぞい。

アユム アユム

上腕骨近位部って肩に近いところですよね?

博士 博士

そうじゃ。骨頭・解剖頸・外科頸あたりで生じる骨折で、高齢女性に多い骨粗鬆症性骨折の代表じゃ。

アユム アユム

固定の目的はなんでしょう?

博士 博士

骨折部のずれを防いで、痛みを和らげ、骨癒合を促すことじゃ。そのためには肩関節の外転・外旋を抑える必要があるのう。

アユム アユム

それで三角巾とバストバンドなんですね。

博士 博士

三角巾で前腕を吊ると肘が90度に保たれ、バストバンドで上腕を体幹に密着させると、肩の動きが制限されるんじゃ。

アユム アユム

他の図はどの部位の固定ですか?

博士 博士

1は前腕から手関節のギプス、橈骨遠位端骨折用じゃ。Colles骨折を思い浮かべるとよい。

アユム アユム

2は肘ですね?

博士 博士

その通り。肘を90度にしてU字型に覆うタイプで、上腕骨遠位部や肘関節骨折に使うんじゃ。

アユム アユム

4は鎖骨バンドですね。

博士 博士

うむ。両肩を後ろに引いて8字に結び、鎖骨骨折の転位を防ぐんじゃ。

アユム アユム

上腕骨近位部骨折で注意する合併症はありますか?

博士 博士

腋窩神経麻痺が起こると三角筋の麻痺や肩外側の感覚障害が出るんじゃ。

アユム アユム

リハビリはいつ始めるんですか?

博士 博士

痛みが落ち着いたら早期から手指や手関節の自動運動、そしてCodman体操(振り子運動)を始めて肩関節の拘縮を防ぐんじゃ。

アユム アユム

固定期間はどれくらいですか?

博士 博士

3〜4週間が目安じゃ。その後は外転・外旋の可動域訓練を徐々に進める。

アユム アユム

高齢者では骨粗鬆症対策も必要ですね。

博士 博士

ビタミンD、カルシウム、ビスホスホネートなどの薬物療法に加え、転倒予防のための環境整備も欠かせんのう。

POINT

上腕骨近位部骨折の保存療法では、三角巾で前腕を吊りバストバンドで上腕を体幹に固定して肩関節の動きを制限する方法が標準である。選択肢1は橈骨遠位端、2は肘関節、4は鎖骨用の固定であり区別が必要。固定期間中は手指・手関節の運動と早期のCodman体操で拘縮を予防し、高齢者4大骨折として骨粗鬆症対策と転倒予防も並行して行う。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん( 75歳、女性 )。1人暮らし。脳梗塞( cerebral infarction )の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折( proximal humerus fracture )と診断され、入院した。 Aさんの骨折に対して保存療法が行われることとなった。骨折の固定法を図に示す。 Aさんの骨折部の固定として適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。上腕骨近位部骨折とは、肩関節に近い上腕骨の骨頭・解剖頸・外科頸あたりで生じる骨折で、高齢女性に多く骨粗鬆症を背景に転倒で生じやすい骨折です。転位が少なく安定している場合は保存療法が選択され、三角巾で前腕を吊り、さらにバストバンド(上腕を体幹に固定するバンド)を巻いて肩関節の外転・外旋を抑えることで、骨折部にかかるずれ応力を防ぎます。選択肢3はまさに三角巾+体幹固定の像であり、上腕骨近位部骨折の標準的固定法と一致します。

選択肢考察

  1. × 1.  
    選択肢1

    前腕から手関節にかけてのギプス固定で、橈骨遠位端骨折など手関節・前腕骨折用の固定法です。

  2. × 2.  
    選択肢2

    肘関節を90度屈曲位で上腕から前腕を覆う固定で、肘関節や上腕骨遠位部骨折の際に用いられます。

  3. 3.  
    選択肢3

    三角巾で前腕を吊り、バストバンドで上腕を体幹に密着させる固定で、上腕骨近位部骨折の保存療法として標準的です。

  4. × 4.  
    選択肢4

    両肩を後方に引いて8字帯で固定する鎖骨バンドであり、鎖骨骨折用の固定法です。

上腕骨近位部骨折は橈骨遠位端・大腿骨近位部・脊椎椎体骨折と並ぶ高齢者4大骨折の一つ。固定期間は3〜4週間が目安で、早期から手指・手関節の自動運動、肩関節はCodman体操(振り子運動)を取り入れ拘縮を予防する。

骨折部位と固定法を一致させる知識問題。上腕骨近位部には三角巾+バストバンドが標準と押さえる。