ハイリスクとポピュレーション
看護師国家試験 第107回 午後 第30問 / 健康支援と社会保障制度 / 生活者の健康増進
国試問題にチャレンジ
ハイリスクアプローチについて正しいのはどれか。
- 1.費用対効果が高い。
- 2.成果が恒久的である。
- 3.一次予防を目的とする。
- 4.集団全体の健康状態の向上に貢献する。
対話形式の解説
博士
ジェフリー・ローズの2つの予防戦略、言えるかの?
アユム
ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチですね。
博士
それぞれの特徴を整理してみよう。ハイリスクは?
アユム
すでにリスクが高い人に的を絞って介入する方法です。保健指導などが典型です。
博士
その通り。対象が限定されるから資源を集中でき、費用対効果が高いのじゃ。
アユム
一方のポピュレーションアプローチは集団全体に働きかける方法ですね。
博士
リスク分布そのものを下方に移動させる狙いじゃ。減塩キャンペーンや受動喫煙対策が例になる。
アユム
どちらが一次予防でどちらが二次予防でしたっけ?
博士
ポピュレーションは集団全体への働きかけなので発症前の一次予防、ハイリスクはリスク因子を持つ人への介入で早期発見・早期対応の二次予防になるぞ。
アユム
ハイリスクは効果が恒久的ですか?
博士
残念ながら違う。新たな高リスク者が次々出るし、介入をやめると戻ってしまうのじゃ。
アユム
両者の短所はそれぞれ何ですか?
博士
ハイリスクは集団全体への波及が弱い、ポピュレーションは個人の動機が弱く時間もかかる。
アユム
だから両方を組み合わせるのが基本なんですね。
博士
そうじゃ、ローズのパラドックスと呼ばれる考え方じゃ。看護でも両輪で考える必要があるぞ。
アユム
健康日本21もこの戦略で進められていますね。
POINT
ハイリスクアプローチは高リスク者に限定して介入する二次予防の手法で、費用対効果が高いのが長所です。一方、集団全体のリスク分布を下げるのはポピュレーションアプローチで一次予防に位置づけられます。ハイリスクは成果が出やすいが恒久性に欠け、ポピュレーションは波及効果が大きい反面時間がかかるため、両者を組み合わせる二重戦略が公衆衛生の基本となります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:ハイリスクアプローチについて正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。ハイリスクアプローチは健康障害のリスクが高い個人に的を絞って介入する方法で、対象者が限定されるため短期間で成果が出やすく、費用対効果が高いとされます。ジェフリー・ローズが提唱したポピュレーションアプローチと対比して理解しましょう。
選択肢考察
-
○ 1. 費用対効果が高い。
対象を高リスク者に絞るため資源が集中的に投入でき、短期間で改善効果が得られやすく費用対効果に優れます。メタボ特定保健指導などが代表例です。
-
× 2. 成果が恒久的である。
介入をやめるとリスクが再上昇したり、新たな高リスク者が次々に出現したりするため、恒久的な効果は期待しにくいのが弱点です。
-
× 3. 一次予防を目的とする。
すでにリスク因子を持つ人への介入なので、早期発見・早期対応を図る二次予防に位置づけられます。一次予防は発症前の集団全体への働きかけです。
-
× 4. 集団全体の健康状態の向上に貢献する。
集団全体のリスク分布そのものを下方に移動させるのはポピュレーションアプローチの役割です。ハイリスクアプローチは個別介入が中心で、集団全体への波及効果は限定的です。
ハイリスクアプローチの長所は『個別性・対象者の動機づけが明確・効率が高い』、短所は『新たなハイリスク者を防げない・対象者が限定される』。ポピュレーションアプローチは『集団のリスク分布を平行移動させる・波及効果が大きい』反面『個人の動機が弱い・効果が出るまで時間がかかる』。両者を組み合わせる二重戦略(ローズのパラドックス)が公衆衛生の基本です。
ハイリスクは高リスク者限定の二次予防で費用対効果が高い。集団全体の改善はポピュレーションアプローチ、と対比で覚えましょう。
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