日本の医療提供施設の現状を国際比較で見る
看護師国家試験 第107回 午前 第65問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会保障制度の基本
国試問題にチャレンジ
日本の医療提供施設について正しいのはどれか。
- 1.病院数は1995年から増加傾向である。
- 2.2013年の人口対病床数は先進国の中で最も多い。
- 3.介護老人保健施設数は2000年から減少傾向である。
- 4.精神科の平均在院日数は1990年から先進国で最短である。
対話形式の解説
博士
日本の病院数は増えておると思うかな?
サクラ
いえ、1990年ごろをピークに減少傾向です。1995年も既に減少局面に入っています。
博士
その通りじゃ。なぜ減っておるんじゃ?
サクラ
機能集約化、経営難、診療所への転換、少子化による需要変化などが要因と言われています。
博士
では病床数はどうじゃ?人口1,000人あたりで見ると?
サクラ
日本は約13床で、OECD加盟国中最多です。ドイツ8床、フランス6床、英国2.5床と比べても突出しています。
博士
なぜ日本はこんなに病床が多いんじゃ?
サクラ
長期入院の文化、療養病床や精神病床の多さ、医療提供を施設中心で発展させてきた歴史があるからですね。
博士
介護老人保健施設、いわゆる老健の数は増加?減少?
サクラ
増加しています。2000年の介護保険制度開始時約2,600施設から、2016年には約4,200施設に増えました。
博士
老健の役割は何じゃ?
サクラ
在宅復帰を目指したリハビリ中心の施設で、医師・看護職・リハ職が多職種で関わります。
博士
精神科の平均在院日数は国際的に見てどうじゃ?
サクラ
日本は265日前後と非常に長く、欧米の50日未満と比べて突出しています。最短どころか最長レベルです。
博士
なぜ日本では長いのかの?
サクラ
地域の受け皿不足、長期社会的入院、精神科特例による看護配置の違いなどが背景です。
博士
現在はどのような政策が進んでおる?
サクラ
地域移行支援、精神科訪問看護の充実、アウトリーチ型支援などで地域生活を支える方向です。
博士
地域包括ケアシステムとの関連は?
サクラ
病床機能の再編と在宅医療・介護の充実により、2025年に向けた地域完結型ケアを目指しています。
サクラ
試験ではどう覚えればいいですか。
博士
病院数は減少、病床数は世界最多、老健は増加、精神科在院日数は最長、と4点セットで覚えると確実じゃ。
POINT
日本の医療提供施設は、病院数減少・病床数世界最多・介護老人保健施設増加・精神科平均在院日数最長、という特徴的な構造を持ちます。高齢化と医療費抑制のため、地域包括ケアへの転換が進められています。本問は国際比較を軸に正誤判定する問題で、OECD統計で日本の病床数が最多という事実が答えの鍵となります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:日本の医療提供施設について正しいのはどれか。
解説:正解は2です。2013年のOECDデータで、日本の人口1,000人あたり病床数は約13〜14床と加盟国中最多でした。欧米諸国では病床削減と在宅医療推進を進めてきた経緯がありますが、日本は長らく急性期から慢性期まで病床を拡充してきた歴史があり、これが病床数過多の背景となっています。
選択肢考察
-
× 1. 病院数は1995年から増加傾向である。
日本の病院数は1990年前後をピーク(約10,100施設)に減少に転じ、1995年以降も一貫して減少傾向にあります。医療機能の集約化と診療所への移行が進んでいるためです。
-
○ 2. 2013年の人口対病床数は先進国の中で最も多い。
2013年時点で日本の人口1,000人あたり病床数は約13床で、OECD加盟国中最多です。平均在院日数が長いこと、療養病床や精神病床を多く抱えていることが要因です。
-
× 3. 介護老人保健施設数は2000年から減少傾向である。
介護老人保健施設は2000年の介護保険制度開始以降、高齢化の進行に伴い着実に増加しています。2000年の約2,600施設から2016年には約4,200施設まで増えています。
-
× 4. 精神科の平均在院日数は1990年から先進国で最短である。
日本の精神科病床の平均在院日数は2019年で約265日と、欧米諸国(多くが50日未満)と比較して突出して長いのが実情です。入院医療から地域移行への政策転換が課題となっています。
OECD Health Statisticsによると、日本の人口1,000対病床数は約13床で、ドイツ8床、フランス6床、英国2.5床、米国2.8床を大きく上回ります。高齢化に対応するため、地域包括ケアシステムへの移行と病床機能の再編が国策として進められています。
日本の医療提供体制の特徴(病院数・病床数・介護施設・平均在院日数)を国際比較の視点で理解しているかを問う問題です。
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