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健康権を明記した国際文書を区別しよう

看護師国家試験 第111回 午前 第34問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会保障制度の基本

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第34問

健康を人々の権利として明記したのはどれか。すべて選べ。

  1. 1.世界保健機関〈WHO〉の健康に関する定義
  2. 2.ジュネーブ宣言
  3. 3.世界人権宣言
  4. 4.リスボン宣言

対話形式の解説

博士 博士

今日は第111回看護師国家試験午前34問、健康を人々の権利として明記した文書を選ぶ問題じゃ。複数選択問題なのでしっかり整理しよう。

アユム アユム

4つとも名前は聞いたことがあるけど、中身が混ざってしまいます。

博士 博士

よしよし、一つずつ整理していこう。まず1のWHO憲章は1946年採択、1948年発効じゃ。前文で健康を「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態」と定義したうえで、「到達可能な最高水準の健康享有は差別なくすべての人の基本的権利」と明記しておる。

アユム アユム

健康の定義と健康権の両方が書かれているんですね。

博士 博士

そのとおり。次に3の世界人権宣言は1948年国連で採択されたもので、第25条に「すべて人は、衣食住、医療などについて健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利を有する」と明記されておる。

アユム アユム

つまり正解は1と3ですね。

博士 博士

そのとおりじゃ。では残りを見ておこう。2のジュネーブ宣言は1948年に世界医師会で採択された医師の倫理に関する誓いじゃ。医師自身の職業倫理を宣誓するもので、健康を万人の権利として明記するものではない。

アユム アユム

医師が誓うものなんですね。

博士 博士

そうじゃ。ヒポクラテスの誓いの現代版と呼ばれることもある。4のリスボン宣言は1981年世界医師会で採択された、患者の権利に関する宣言じゃ。自己決定権、情報を知る権利、尊厳への権利などが記されておる。

アユム アユム

患者の権利と健康権は似ているようで違うんですね。

博士 博士

そこが大事なポイントじゃ。リスボン宣言は「患者という立場の人の権利」、世界人権宣言・WHO憲章は「すべての人の健康権」を扱っておる。

アユム アユム

医療倫理の宣言類は年代順で覚えるといいですか。

博士 博士

うむ、ニュルンベルク綱領1947年、ジュネーブ宣言1948年、ヘルシンキ宣言1964年、リスボン宣言1981年と年代で追うと関係が見えてくるぞ。

アユム アユム

WHO憲章と世界人権宣言はどちらも1948年前後に成立したんですね。

博士 博士

戦後の国際社会が人権を重視する流れの中で生まれた双璧じゃ。健康権のルーツとして両方セットで押さえておこう。

POINT

健康を人々の権利として明記した国際文書はWHO憲章と世界人権宣言です。WHO憲章は健康を基本的権利と位置づけ、世界人権宣言第25条は健康と福祉に関する生活水準の保持を権利として定めています。ジュネーブ宣言は医師の倫理、リスボン宣言は患者の権利を扱うため本問では誤りとなります。

解答・解説

正解は 1 3 です

問題文:健康を人々の権利として明記したのはどれか。すべて選べ。

解説:正解は 1 と 3 です。WHO憲章(1946年採択、1948年発効)前文は「到達しうる最高水準の健康を享有することは、人種・宗教・政治的信念や経済的・社会的条件の差別なくすべての人が有する基本的権利の一つである」と定め、健康を人権として明記しました。世界人権宣言(1948年)第25条も「すべて人は、衣食住、医療などについて健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利を有する」と明記しています。

選択肢考察

  1. 1.  世界保健機関〈WHO〉の健康に関する定義

    WHO憲章前文は健康を「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態」と定義し、さらに到達可能な最高水準の健康享有を差別なくすべての人の基本的権利と明記しています。

  2. × 2.  ジュネーブ宣言

    ジュネーブ宣言(1948年世界医師会)は医師自身の職業倫理を宣誓する医の倫理規範であり、健康を人々の権利として直接明記した文書ではありません。

  3. 3.  世界人権宣言

    世界人権宣言第25条は健康や福祉に十分な生活水準を保持する権利を全ての人が有すると定めており、健康を人権として明記した代表的文書です。

  4. × 4.  リスボン宣言

    リスボン宣言(1981年世界医師会)は患者の自己決定権・情報を知る権利など患者の権利に関する宣言であり、健康そのものを万人の権利として明記した文書ではありません。

医療倫理系の宣言整理として、ニュルンベルク綱領(1947年:人体実験の被験者保護)、ジュネーブ宣言(1948年:医師の職業倫理)、ヘルシンキ宣言(1964年:臨床研究倫理)、リスボン宣言(1981年:患者の権利)を年代順で覚えると便利です。これに対しWHO憲章と世界人権宣言はいずれも1948年前後に成立し、健康権・人権を明記する国際的基盤となりました。

健康を基本的人権として位置づけた国際的文書を識別できるかを問う問題です。