判断能力を支える「成年後見制度」のしくみ
看護師国家試験 第114回 午前 第43問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会福祉の基本
国試問題にチャレンジ
成年後見制度で正しいのはどれか。
- 1.地域生活支援事業の1つとして位置付けられる。
- 2.後見の対象者は大体のことを自分で判断できる者である。
- 3.審判を受けるための申し立て先は社会福祉協議会である。
- 4.法定後見制度とは判断能力の低下に備えあらかじめ後見人を決めておくことである。
対話形式の解説
博士
今日は成年後見制度を整理するぞ。認知症や知的障害で判断能力が落ちた人の権利を守る制度じゃが、どんな問題が起きると思う?
サクラ
例えば、訪問販売で高額な布団を買わされちゃう…みたいなことですか?
博士
そうじゃ。財産管理ができなかったり、悪質商法の被害にあったり、介護サービスの契約を結べなかったりする。それを代わりに行う人を立てるのが成年後見制度じゃ。
サクラ
制度には種類があるんですか?
博士
大きく2つ、法定後見制度と任意後見制度じゃ。法定後見はすでに判断能力が落ちた人について、家庭裁判所が後見人を選ぶ仕組み。
サクラ
じゃあ任意後見は?
博士
本人がまだしっかりしているうちに、将来に備えて自分で後見人候補と公正証書で契約しておく制度じゃ。判断能力が低下したとき家庭裁判所が任意後見監督人を選任して効力が発生する。
サクラ
問題4の「あらかじめ決めておく」というのは任意後見の説明だったんですね。
博士
その通り。法定後見はさらに3つに分かれる。重い順に後見、保佐、補助じゃ。
サクラ
どう違うんですか?
博士
後見は判断能力を「欠く常況」、保佐は「著しく不十分」、補助は「不十分」と段階的に分かれ、後見人に与えられる代理権や同意権の範囲が変わる。
サクラ
申立てはどこにすればいいんですか?社会福祉協議会ですか?
博士
違うぞ。申立て先は家庭裁判所じゃ。社協は相談窓口にはなるが、審判の権限はない。申立てできるのは本人・配偶者・4親等内の親族・市町村長などじゃ。
サクラ
身寄りがない高齢者の場合は?
博士
そこで市町村長申立てが活躍する。地域包括支援センターと連携して、認知症のひとり暮らし高齢者の権利を守る重要なルートじゃ。
サクラ
地域生活支援事業の必須事業っていうのは何ですか?
博士
平成24年度から、市町村の地域生活支援事業の必須事業として「成年後見制度利用支援事業」が位置づけられた。低所得者でも申立て費用や後見人報酬の助成が受けられる仕組みじゃな。
サクラ
2022年に成年年齢が18歳に下がったというのも関係ありますか?
博士
ある。民法改正で18歳以上であれば後見人になれるようになった。看護師は患者の権利擁護を支援する専門職として、こうした制度の知識が欠かせんのじゃ。
POINT
成年後見制度は、認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人の財産管理と身上保護を支える制度で、法定後見と任意後見の2本立てで運用されています。法定後見は判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の3類型に分かれ、家庭裁判所への申立てによって後見人が選任されます。市町村の地域生活支援事業として「成年後見制度利用支援事業」が必須事業に位置づけられ、費用助成によって低所得者の利用を支えています。看護師は患者の意思決定支援と権利擁護を担う立場として、申立て先や類型の違いを正確に把握し、地域包括支援センターや社会福祉協議会と連携した支援を提供することが求められます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:成年後見制度で正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。成年後見制度は、認知症・知的障害・精神障害などにより判断能力が不十分な人の権利と財産を守る制度で、家庭裁判所が後見人を選任する「法定後見制度」と、本人が事前に契約を結ぶ「任意後見制度」の2種類があります。市町村が実施する地域生活支援事業のうち「成年後見制度利用支援事業」は、平成24年度の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)改正により、市町村の必須事業として位置づけられています。これにより、低所得者でも申立て費用や後見人報酬の助成を受けられる体制が整っています。
選択肢考察
-
○ 1. 地域生活支援事業の1つとして位置付けられる。
成年後見制度利用支援事業は、平成24年度から市町村の地域生活支援事業の必須事業に位置付けられ、申立て費用や後見人等への報酬助成が行われている。
-
× 2. 後見の対象者は大体のことを自分で判断できる者である。
「後見」は判断能力を欠く常況にある人が対象である。判断能力の程度に応じて重い順に後見・保佐・補助の3類型に分かれ、「大体のことを自分で判断できる」段階は補助に近い。
-
× 3. 審判を受けるための申し立て先は社会福祉協議会である。
成年後見の開始審判は家庭裁判所への申立てが必要。社会福祉協議会は相談窓口となるが、審判機関ではない。申立てができるのは本人・配偶者・4親等内の親族・市町村長などである。
-
× 4. 法定後見制度とは判断能力の低下に備えあらかじめ後見人を決めておくことである。
判断能力が十分なうちに将来に備えて後見人候補と契約しておく制度は「任意後見制度」である。法定後見制度は、すでに判断能力が低下した人について家庭裁判所が後見人を選任する仕組み。
法定後見の3類型は判断能力の程度で区分される。後見=判断能力を欠く常況、保佐=著しく不十分、補助=不十分、と段階的に支援内容が定められる。任意後見制度では公正証書による契約が必要で、本人の判断能力低下時に家庭裁判所が任意後見監督人を選任して効力が発生する。2022年4月の民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳以上であれば後見人になれることも押さえておきたい。市町村長申立ては、身寄りのない高齢者の権利擁護で重要な役割を果たす。
成年後見制度における法定後見と任意後見の区別、申立て先(家庭裁判所)、地域生活支援事業との関係を正しく理解しているかを問う制度問題。
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