StudyNurse

精神疾患の在院日数はなぜ突出して長い?患者調査を読み解く

看護師国家試験 第114回 午前 第32問 / 健康支援と社会保障制度 / 健康と公衆衛生

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第32問

令和2年(2020年)の患者調査における入院医療で正しいのはどれか。

  1. 1.都道府県別の受療率の差はない。
  2. 2.推計患者数が最も多いのは循環器系疾患である。
  3. 3.年齢階級別の受療率が最も高いのは80歳代である。
  4. 4.平均在院日数が最も長いのは精神及び行動の障害である。

対話形式の解説

博士 博士

今日は患者調査の話じゃ。3年に1回行われる、医療提供体制の根拠になる大事な統計じゃよ。

アユム アユム

令和2年調査は新型コロナの影響を受けた年でしたよね。受診控えで全体の患者数が減ったと聞きました。

博士 博士

その通り。さて問題の選択肢を一つずつ検討していくぞ。まず受療率に都道府県差はあるかの?

アユム アユム

地方と都市部で医療資源が違いますし、差はあると思います。実際、高知県が最も高くて、神奈川県が最も低いと習いました。

博士 博士

うむ。慢性期病床数や人口の高齢化率などが影響しておる。次に、入院の推計患者数が最も多い疾患は何だと思う?

アユム アユム

心筋梗塞や心不全が多そうだから循環器系…と思いましたが、違うのですか?

博士 博士

入院では「精神及び行動の障害」が最多なんじゃ。長期入院が多いことが大きな理由じゃよ。逆に外来では循環器系疾患(高血圧など)が最多になる。

アユム アユム

入院と外来で順位が違うんですね。覚え方を間違えそうです。

博士 博士

年齢階級別の入院受療率はどうかの?80歳代がピークかと思うかもしれんが…

アユム アユム

もっと高齢の90歳以上ですか?

博士 博士

その通り、90歳以上が最も高い。年齢が上がるほど入院率は急上昇するんじゃ。

アユム アユム

そして正解は「精神及び行動の障害が最も平均在院日数が長い」ですね。具体的にはどれくらいなんですか?

博士 博士

約294日じゃ。2位の神経系疾患が約83日だから、3倍以上の差がある。背景には統合失調症など長期治療を要する疾患の存在と、社会的入院の歴史がある。

アユム アユム

地域移行支援や精神科訪問看護の整備で、入院日数を減らす取り組みが進んでいるんですよね。

博士 博士

看護師として精神科リハビリや退院後の生活支援に関わる視点は欠かせない。統計の数値だけでなく、その背景にある社会課題まで読み取る姿勢が大切じゃ。

アユム アユム

ただ暗記するのではなく、なぜそうなっているかを考えて学ぶようにします。

POINT

患者調査は3年ごとに厚生労働省が実施する基幹統計で、入院・外来の患者数や平均在院日数、受療率を傷病分類・年齢階級・都道府県別に把握できます。令和2年(2020年)の入院医療では、推計患者数が最も多いのは「精神及び行動の障害」、年齢階級別受療率が最も高いのは90歳以上、平均在院日数が最も長いのは精神及び行動の障害(294.2日)という特徴があります。精神科の長期入院は日本の医療政策上の重要課題で、地域移行支援や精神科訪問看護による入院期間短縮が推進されています。看護師国家試験では患者調査・国民生活基礎調査・国民健康栄養調査・人口動態統計の違いと最新数値が頻出であり、各調査の目的と代表値を整理しておくことが攻略のポイントです。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:令和2年(2020年)の患者調査における入院医療で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 である。令和2年(2020年)患者調査によれば、傷病分類別の平均在院日数は「精神及び行動の障害」が294.2日と最も長く、次いで「神経系の疾患」83.5日、「循環器系の疾患」41.5日となっている。精神疾患は治療や社会復帰までに時間を要し、長期入院が課題となってきた歴史がある。地域移行支援や精神科訪問看護の整備によって入院期間の短縮が進められているが、なお他疾患群と比較して突出した値である。

選択肢考察

  1. × 1.  都道府県別の受療率の差はない。

    受療率には都道府県差がある。入院受療率は高知県が最も高く、神奈川県が最も低いなど、地域の医療資源や人口構成、慢性期病床数の違いから差が生じている。

  2. × 2.  推計患者数が最も多いのは循環器系疾患である。

    入院の推計患者数で最も多いのは「精神及び行動の障害」である。循環器系疾患は2位で、外来では循環器系疾患が最多となる点と区別したい。

  3. × 3.  年齢階級別の受療率が最も高いのは80歳代である。

    入院受療率が最も高い年齢階級は90歳以上である。高齢になるほど受療率は急上昇し、80歳代より90歳以上の方が高くなる。

  4. 4.  平均在院日数が最も長いのは精神及び行動の障害である。

    傷病分類別平均在院日数は精神及び行動の障害が294.2日で群を抜いて長い。長期入院の解消と地域移行が政策課題となっている。

患者調査は厚生労働省が3年ごとに実施する基幹統計調査で、全国の医療施設を利用する患者の傷病状況などを把握する。受療率は人口10万対の患者数で表され、入院・外来別に算出される。令和2年調査は新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、受診控えや感染管理目的の入院制限により全体の患者数が前回より減少した点に注意が必要である。看護師国家試験では患者調査・国民生活基礎調査・国民健康栄養調査・人口動態統計の4つの統計調査の特徴と最新値が頻出である。

患者調査の入院医療データから、平均在院日数・推計患者数・受療率の年齢階級と地域差について最新の傾向を問う統計問題。