感染初期の切り込み隊長は誰?免疫グロブリンの役割分担
看護師国家試験 第112回 午後 第74問 / 人体の構造・機能 / 生体の防御機構
国試問題にチャレンジ
細菌が体内に初めて侵入したときに最初に産生される免疫グロブリンはどれか。
- 1.IgA
- 2.IgD
- 3.IgE
- 4.IgG
- 5.IgM
対話形式の解説
博士
今回は抗体、つまり免疫グロブリンの問題じゃ。5種類あるが、どれが初回感染で最初に出てくるか分かるかの?
アユム
IgG…じゃないんですか?血中に一番多いと聞きました。
博士
血中量が一番多いのは確かにIgGじゃが、『最初に出てくる』という時間軸で考えると答えは違う。正解はIgMじゃよ。
アユム
IgMが一番乗り、ですか。何か特徴的な構造があるんですか?
博士
IgMは5量体構造をしておって、抗原結合部位が10個もある。分子量は約900kDaと最大で、補体の古典経路を最強に活性化するのじゃ。
アユム
補体を活性化するって、何ができるんですか?
博士
細菌の膜に穴を開けて溶菌したり、オプソニン化してマクロファージに食べてもらいやすくしたりじゃ。感染初期には速さと火力が大事で、IgMがその役割を担うのじゃよ。
アユム
IgGはいつごろ登場するんですか?
博士
クラススイッチといって、B細胞が遺伝子を組み替えて抗体の種類を変える過程を経て、感染から1〜2週間後にIgGが主役になる。再感染時には記憶B細胞がIgGを即座に大量産生するのじゃ。これが二次免疫応答じゃ。
アユム
ワクチンはこの原理を利用しているんですよね。
博士
その通り。ワクチンで記憶B細胞を事前に作っておけば、本物の病原体が来てもIgGで迎え撃てるというわけじゃ。
アユム
IgAは粘膜に多いんですよね。
博士
そうじゃ。消化管・気道・涙・唾液・母乳に多く、分泌型IgAとして粘膜局所免疫を担う。特に初乳にはIgAが豊富で、新生児を感染から守る大切な役割を果たす。
アユム
IgEはアレルギーと関係するんでしたっけ。
博士
IgEは肥満細胞や好塩基球のFcε受容体に結合し、アレルゲンと出会うとヒスタミンなどを放出する。花粉症や食物アレルギーはIgEが関与するI型アレルギー反応じゃ。寄生虫感染への防御にも重要じゃよ。
アユム
IgDは何をしているんですか?
博士
IgDは未熟B細胞表面に発現する受容体としての役割が主で、血中濃度はごく低い。機能はまだ完全には解明されておらん。
アユム
感染症の診断で抗体検査はどう使うんですか?
博士
IgM陽性なら急性期・初感染、IgG陽性なら既感染や回復期、ワクチン既接種を示唆する。風疹やトキソプラズマ、サイトメガロウイルスなど妊婦のスクリーニングでも重要じゃ。
POINT
細菌が体内に初めて侵入したときに最初に産生される免疫グロブリンはIgMで、B細胞がクラススイッチを起こす前に5量体として分泌される抗体です。5量体構造により補体古典経路を強力に活性化し、感染初期の溶菌・オプソニン化に中心的役割を果たします。その後1〜2週間でクラススイッチが起こりIgGが主体となり、再感染時には記憶B細胞が速やかにIgGを産生する二次免疫応答が成立します。他の免疫グロブリンは、IgAが粘膜・母乳で局所免疫、IgEが肥満細胞結合でアレルギーと寄生虫防御、IgDがB細胞表面受容体として機能します。IgM陽性は急性期感染の重要な指標であり、感染症診断や妊婦スクリーニングでの抗体検査の解釈に直結する基本知識です。
解答・解説
正解は 5 です
問題文:細菌が体内に初めて侵入したときに最初に産生される免疫グロブリンはどれか。
解説:正解は 5 です。初回感染(一次免疫応答)では、B細胞が抗原を認識してから数日以内にクラススイッチ前のIgMを産生します。IgMは5量体構造をとり分子量が約900kDaと大きく、補体活性化能が非常に強いため感染初期の防御に中心的役割を果たします。数週間後にクラススイッチが起こるとIgGが主体となり、再感染時には免疫記憶によりIgGが速やかに大量産生されます(二次免疫応答)。
選択肢考察
-
× 1. IgA
消化管・気道などの粘膜面や唾液・涙・母乳に多く含まれ、分泌型IgAとして粘膜の局所免疫を担う。初回感染時に最初に作られる抗体ではない。
-
× 2. IgD
未熟B細胞表面に発現する受容体として機能するが、血中濃度はごく低く、感染初期に産生される抗体ではない。
-
× 3. IgE
肥満細胞・好塩基球のFcε受容体に結合してI型アレルギー反応や寄生虫感染への防御に関与する。細菌感染初期の主役ではない。
-
× 4. IgG
血清中に最も多く含まれ胎盤も通過するが、初回感染では産生の立ち上がりが遅く、クラススイッチ後の後期〜再感染時(二次応答)で主役となる。
-
○ 5. IgM
初回感染で最初に産生される抗体。5量体構造で補体活性化能が高く、感染初期の細菌凝集・溶菌に寄与する。IgM陽性は急性期感染の指標。
血中濃度は多い順にIgG>IgA>IgM>IgD>IgE。IgGは胎盤通過、IgAは母乳(特に初乳)で新生児を守る、IgMは補体古典経路の最強活性化因子、IgEは肥満細胞結合でアレルギー、IgDは機能未解明でB細胞表面受容体、と整理できる。IgM抗体陽性は急性期・初感染、IgG抗体陽性は既感染・回復期・ワクチン既接種の指標となるため感染症診断で重要。
5種の免疫グロブリンの機能分担、特に初回感染時に最初に産生される抗体がIgMであることを問う基本問題。
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