血を固める職人たち!凝固因子と紛らわしい仲間の見分け方
看護師国家試験 第114回 午前 第83問 / 人体の構造・機能 / 血液と体液
国試問題にチャレンジ
血液凝固因子はどれか。2つ選べ。
- 1.トロンボプラスチン
- 2.エリスロポエチン
- 3.ウロビリノゲン
- 4.フィブリノゲン
- 5.プラスミノゲン
対話形式の解説
博士
今日は血液凝固の問題じゃ。選択肢の中から凝固因子を2つ選ぶ問題じゃが、まずは止血の仕組みをおさらいしようかの。
サクラ
血が出ると血小板が集まって固まる…ですよね?
博士
それは一次止血じゃな。血管が傷つくと血小板が傷口に集まり、ぺったりくっついて血小板血栓を作る。これが一次止血じゃ。しかしこれだけでは強度が足りん。
サクラ
もっと丈夫にするには?
博士
そこで二次止血、つまり血液凝固因子の出番じゃ。十数種類の因子がドミノ倒しのように次々と活性化していき、最終的にフィブリンという糸状のタンパクができて、血小板や赤血球を絡め取って強固な血餅を作るのじゃ。
サクラ
選択肢にあるフィブリノゲンって、その材料ですか?
博士
その通り!フィブリノゲンは凝固第I因子で、トロンビンに切られてフィブリンになる。これが凝固反応のゴールに位置する重要な因子じゃ。
サクラ
じゃあトロンボプラスチンは?
博士
これは第III因子、別名「組織因子」じゃ。組織が傷つくとそこから露出して、外因系凝固カスケードのスタートを切る。「外から入ってくるきっかけ」というイメージで覚えるとよいぞ。
サクラ
残りの選択肢は紛らわしい名前ばかりですね。エリスロポエチンって?
博士
これは赤血球を作るためのホルモンじゃ。主に腎臓で産生され、骨髄を刺激して赤血球を増やす。慢性腎不全で減ると腎性貧血になる。凝固とは無関係じゃな。
サクラ
ウロビリノゲンは?
博士
これは胆汁色素ビリルビンが腸内細菌で分解されてできる物質。肝臓や胆道の機能を評価する尿検査の指標じゃが、凝固因子ではない。
サクラ
プラスミノゲンは?
博士
これは要注意じゃ。プラスミノゲンはプラスミンになって、できた血栓を溶かす「線溶系」の主役じゃ。凝固を止めて固める方ではなく、固まった後に溶かす方の役割じゃな。
サクラ
凝固と線溶って表裏一体なんですね。
博士
その通り。出血時には凝固で止血し、傷が治ったら線溶で血栓を片付ける。このバランスが崩れるとDIC(播種性血管内凝固症候群)のような重篤な病態が起こる。看護では出血傾向と血栓傾向の両方をアセスメントする視点が重要じゃ。
サクラ
ワルファリンを内服している患者さんはビタミンK依存性の凝固因子が抑えられるんですよね。納豆を控える理由が分かりました。
博士
よく勉強しておるな。II・VII・IX・X因子がビタミンK依存性じゃ。覚え方は「肉納豆(2,7,9,10)」じゃぞ。
サクラ
凝固因子の番号と役割をしっかり整理しておきます!
POINT
血液凝固因子は出血時に連鎖反応的に活性化し、フィブリン血栓を形成して止血を完成させるタンパク質群で、第I因子(フィブリノゲン)から第XIII因子まで番号が付けられています。本問の正解はフィブリノゲン(第I因子、フィブリンの前駆体)とトロンボプラスチン(第III因子、組織因子、外因系の起点)であり、エリスロポエチン(造血ホルモン)、ウロビリノゲン(胆汁色素代謝産物)、プラスミノゲン(線溶系前駆体)は凝固因子ではない点を識別する必要があります。止血機構は一次止血・二次止血・線溶の三段階からなり、凝固系と線溶系のバランスが破綻するとDICなどの重篤な病態を引き起こします。看護師は抗凝固療法中の患者の出血リスク評価や、ビタミンK依存性凝固因子(II・VII・IX・X)と食事・薬剤との関係を理解することで、より精密なアセスメントが可能になります。
解答・解説
正解は 1 ・ 4 です
問題文:血液凝固因子はどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 のトロンボプラスチンと 4 のフィブリノゲンです。血液凝固因子は出血時に連鎖反応的に活性化し、最終的にフィブリン血栓を形成して止血を完成させるタンパク質群で、ローマ数字でI〜XIIIまで番号が付けられています。フィブリノゲンは第I因子であり、トロンビンの作用でフィブリンに変換され、血餅の主成分となります。トロンボプラスチン(組織因子、第III因子)は組織損傷時に放出され、外因系凝固カスケードを開始させる起点となる因子です。
選択肢考察
-
○ 1. トロンボプラスチン
第III因子(組織因子)として知られる血液凝固因子。組織損傷時に細胞外に露出・放出され、第VII因子と複合体を形成して外因系凝固反応を開始させる。
-
× 2. エリスロポエチン
主に腎臓で産生され、骨髄に作用して赤血球産生を促進するホルモン。慢性腎不全で分泌が低下し腎性貧血を起こす。凝固には関与せず、血液凝固因子ではない。
-
× 3. ウロビリノゲン
ヘモグロビンの代謝産物であるビリルビンが腸内細菌により還元されて生じる物質。肝・胆道系疾患の指標として尿検査で測定されるが、凝固因子ではない。
-
○ 4. フィブリノゲン
第I因子。トロンビンによりフィブリンに変換され、線維状に重合して血球を絡め取り血餅を形成する。凝固カスケードの最終段階を担う中心的な凝固因子。
-
× 5. プラスミノゲン
肝臓で産生される線溶系の前駆体タンパク質。プラスミンに変化してフィブリンを分解し、血栓を溶かす役割を持つ。凝固ではなく線溶(フィブリン溶解)に関わる。
止血機構は一次止血(血小板による血小板血栓)、二次止血(凝固因子によるフィブリン血栓)、線溶(プラスミンによる血栓除去)の三段階で進む。凝固カスケードには内因系(第XII因子から開始、APTTで評価)と外因系(組織因子から開始、PTで評価)があり、両者は第X因子で合流して共通系へ進む。ビタミンK依存性凝固因子(II・VII・IX・X)はワルファリンによって作用が抑制されるため、抗凝固療法の重要なターゲットとなる。
凝固因子(フィブリノゲン・トロンボプラスチン)と、それと混同しやすいエリスロポエチン(造血ホルモン)、ウロビリノゲン(胆汁色素代謝産物)、プラスミノゲン(線溶系)を識別する問題。
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