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発熱はこうして起こる!セットポイント上昇と生理反応

看護師国家試験 第109回 午後 第28問 / 人体の構造・機能 / 代謝系と体温調節

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第28問

体温のセットポイントが突然高く設定されたときに起こるのはどれか。

  1. 1.立毛
  2. 2.発汗
  3. 3.代謝抑制
  4. 4.皮膚血管拡張

対話形式の解説

博士 博士

今日は体温調節の問題じゃ。発熱の仕組みを理解する重要な内容じゃぞ。

アユム アユム

体温のセットポイントって何ですか?

博士 博士

視床下部の体温調節中枢が設定する「目標体温」じゃ。健常時は約37℃に保たれ、実際の体温がそれより低ければ熱産生、高ければ熱放散するよう自動制御されておる。

アユム アユム

発熱ではどうなるんですか?

博士 博士

感染などでマクロファージからIL-1、IL-6、TNF-αが産生され、これが視床下部でプロスタグランジンE2を作る。このPGE2がセットポイントを急に引き上げるのじゃ。

アユム アユム

するとどうなるんですか?

博士 博士

今の体温が「低すぎる」と脳が認識する。だから熱を作り、熱を逃がさない反応が一気に起こる。立毛、皮膚血管収縮、ふるえ、悪寒戦慄、代謝亢進がこれじゃ。

アユム アユム

立毛が正解なんですね。

博士 博士

その通り。立毛筋が交感神経刺激で収縮して鳥肌が立つ。哺乳類では毛を立てて断熱層を作る意味があるが、ヒトでは進化の名残じゃ。

アユム アユム

発汗はどうなるんですか?

博士 博士

発汗は熱を逃がすための反応じゃから、発熱上昇期では抑制される。むしろ皮膚はカサカサで冷たい。

アユム アユム

皮膚血管は?

博士 博士

収縮する。末梢が冷たくなり、チアノーゼ様にさえ見えることがある。患者が「寒い」と訴えるのはこのためじゃ。

アユム アユム

悪寒戦慄ってよく聞きますが、あれは何ですか?

博士 博士

骨格筋の不随意な収縮でふるえを起こし、大量の熱を産生する反応じゃ。悪寒戦慄が起こるとセットポイントが急上昇しているサインじゃぞ。

アユム アユム

解熱するときはどうなるんですか?

博士 博士

セットポイントが元に戻ると、今度は現体温が「高すぎる」と認識される。発汗と血管拡張で熱を逃がし、体温が下がる。これが解熱期(クライシス)じゃ。

アユム アユム

だから熱が下がるとき汗をかくんですね。

博士 博士

そうじゃ。看護的には上昇期は保温し、極期・解熱期には冷罨法と水分補給を行う。解熱薬はPGE2合成を阻害してセットポイントを下げる仕組みじゃ。

アユム アユム

発熱のメカニズムを知ると、ケアの順序が論理的にわかりますね。

POINT

発熱は視床下部のセットポイントが感染などによるサイトカインとプロスタグランジンE2の作用で急上昇し、現体温が相対的に低いと認識されることで起こります。上昇期には立毛、皮膚血管収縮、ふるえ、悪寒戦慄、代謝亢進が現れ、熱を産生・保持する方向に生体が動きます。極期を経て解熱期に入るとセットポイントが正常に戻り、発汗と血管拡張で熱を放散します。看護師は発熱の各相に応じた保温・冷却・水分補給を実施し、また解熱薬の作用機序(PGE2合成阻害)も理解して安全で適切なケアを提供することが求められます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:体温のセットポイントが突然高く設定されたときに起こるのはどれか。

解説:正解は 1 の立毛です。視床下部の体温調節中枢には「セットポイント」と呼ばれる目標体温が設定されており、細菌感染などでサイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-α)が産生されると、これがプロスタグランジンE2を介してセットポイントを急に引き上げます。すると現在の体温が「低い」と認識されるため、熱産生と熱保持の反応が起こります。立毛(鳥肌)、皮膚血管収縮、ふるえ(シバリング)、悪寒戦慄、代謝亢進はその代表で、発汗や血管拡張は逆に抑制されます。

選択肢考察

  1. 1.  立毛

    セットポイント上昇により現体温が相対的に低く感じられ、皮膚の立毛筋が交感神経刺激で収縮して鳥肌が立つ。これは熱放散を抑える反応で、悪寒戦慄とともに発熱上昇期の特徴的所見。

  2. × 2.  発汗

    発汗は蒸発によって熱を放散する反応で、体温を下げたいときに起こる。セットポイントが上昇した発熱上昇期には抑制され、解熱期(セットポイントが正常に戻ったとき)に亢進する。

  3. × 3.  代謝抑制

    熱産生を増やすため代謝は亢進する。体温が1℃上がると基礎代謝は約13%増加するとされ、これが発熱時にエネルギー消費が増え食欲不振や倦怠感が強くなる理由でもある。

  4. × 4.  皮膚血管拡張

    熱を逃がさないため皮膚血管は収縮する。四肢末梢が冷たくチアノーゼ様になることがあり、これも発熱上昇期の特徴。血管拡張は解熱期に起こる反応。

発熱の3相を整理する。(1)発熱上昇期(チル期):セットポイント>現体温。悪寒戦慄、立毛、皮膚血管収縮、末梢冷感、ふるえ、代謝亢進。(2)極期(フラット期):セットポイント=現体温。悪寒消失、皮膚は熱感あり、ふるえ停止。(3)解熱期(クライシス):セットポイント<現体温。発汗、皮膚血管拡張、熱感。看護ケアでは上昇期には保温し、極期以降は冷罨法と水分補給を行う。発熱物質にはグラム陰性菌のエンドトキシンなど外因性と、IL-1・IL-6・TNF-αなど内因性があり、アスピリンやアセトアミノフェンはプロスタグランジン合成を阻害しセットポイントを下げて解熱作用を発揮する。

発熱上昇期にみられる生理反応を問う。セットポイント上昇に対する熱産生・熱保持反応を体系的に理解しているか。