下垂体ホルモンの過剰と低下を整理
看護師国家試験 第104回 午後 第83問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 疾病に対する医療
国試問題にチャレンジ
下垂体ホルモンの分泌低下により生じるのはどれか。2つ選べ。
- 1.性早熟症(sexual precocity)
- 2.低身長症(short stature)
- 3.先端巨大症(acromegaly)
- 4.Sheehan〈シーハン〉症候群(Sheehan syndrome)
- 5.Cushing〈クッシング〉症候群(Cushing syndrome)
対話形式の解説
博士
下垂体は内分泌の司令塔じゃが、ホルモンの量で病気が変わるのを知っておるか
サクラ
はい、過剰でも低下でも症状が出ますね
博士
そうじゃ。まず性早熟症はどちらじゃ
サクラ
ゴナドトロピンの過剰分泌で第二次性徴が早く出る、過剰側です
博士
正解じゃ。低身長症はどうじゃろう
サクラ
成長ホルモンの不足で骨が伸びず低身長になります、低下側です
博士
その通り。先端巨大症は
サクラ
骨端線閉鎖後の成長ホルモン過剰で、手足や顎が大きくなりますね
博士
シーハン症候群はどんな経緯で起こるんじゃ
サクラ
分娩時の大量出血で下垂体前葉が壊死して、ホルモンが欠乏します
博士
最初の症状は何じゃ
サクラ
乳汁分泌不全や無月経が出やすいです
博士
見事じゃ。クッシング症候群は
サクラ
ACTHやコルチゾール過剰で満月様顔貌や中心性肥満が出ます
博士
では分泌低下によるものは
サクラ
2の低身長症と4のシーハン症候群です
博士
正解じゃ。過剰か低下かをセットで覚えると国試で迷わんぞ
POINT
下垂体ホルモンの異常は、過剰分泌と分泌低下の両面から疾患を整理することが理解の近道です。本問では成長ホルモン不足による低身長症と、分娩時出血によるシーハン症候群が分泌低下の代表として正解になります。性早熟症や先端巨大症、クッシング症候群は過剰分泌によるもので、対比して覚えましょう。看護では症状の推移と治療経過の観察が重要です。
解答・解説
正解は 2 ・ 4 です
問題文:下垂体ホルモンの分泌低下により生じるのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は2と4です。成長ホルモンの分泌が低下すれば骨端での伸長が進まず低身長症となり、出産時の大量出血で下垂体前葉が壊死すると複数の下垂体ホルモンが欠乏するシーハン症候群を生じます。いずれも下垂体ホルモンの「不足」によって起こる病態です。
選択肢考察
-
× 1. 性早熟症(sexual precocity)
性早熟症は下垂体前葉から分泌されるゴナドトロピン(LH・FSH)が早期に過剰分泌されることで第二次性徴が早く出現する病態です。分泌低下ではなく過剰によって起こります。
-
○ 2. 低身長症(short stature)
下垂体前葉から分泌される成長ホルモン(GH)が不足すると、骨端軟骨での骨成長が進まず低身長を呈します。成長ホルモン分泌不全性低身長症が代表で、GH補充療法の対象となります。
-
× 3. 先端巨大症(acromegaly)
先端巨大症は骨端線閉鎖後に下垂体腺腫などで成長ホルモンが過剰分泌され、手足や下顎、鼻、舌などが肥大する疾患です。分泌過剰によって生じます。
-
○ 4. Sheehan〈シーハン〉症候群(Sheehan syndrome)
分娩時の大量出血によって下垂体前葉に虚血性壊死が生じ、各種下垂体ホルモンが欠乏する病態です。産後に乳汁分泌不全や無月経、その後に倦怠感や低血圧などが出現します。
-
× 5. Cushing〈クッシング〉症候群(Cushing syndrome)
ACTH産生腺腫などにより副腎皮質刺激ホルモンが過剰分泌され、コルチゾールが増加して満月様顔貌、中心性肥満、高血圧などを呈します。分泌低下ではなく過剰の病態です。
下垂体ホルモンを「過剰か低下か」で整理すると暗記が楽になります。過剰:先端巨大症(GH)、クッシング病(ACTH)、プロラクチノーマ(PRL)、性早熟症(LH/FSH)。低下:成長ホルモン分泌不全性低身長、シーハン症候群、汎下垂体機能低下症、尿崩症(ADH)。シーハン症候群では授乳できないことが最初の手がかりとなることがあります。
下垂体ホルモンの「過剰」と「低下」で生じる代表疾患を識別できるかを問う問題です。
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