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終末期の高校生A君、卒業式の希望をどう支える?

看護師国家試験 第103回 午後 第63問 / 小児看護学 / エンド・オブ・ライフにある子どもと家族への看護

国試問題にチャレンジ

103回 午後 第63問

A君(15歳、男子)は、病院に併設された院内学級に通いながら骨肉腫(osteosarcoma)に対する治療を続けていた。現在、肺に転移しており終末期にある。呼吸困難があり、鼻腔カニューラで酸素(2l/分)を投与中である。A君の食事の摂取量は徐々に減っているが、意識は清明である。1週間後に院内で卒業式が予定されている。A君は「卒業式は出席したい」と話している。 看護師のA君への対応として最も適切なのはどれか。

  1. 1.今の状態では出席は難しいと話す。
  2. 2.出席できるように準備しようと話す。
  3. 3.出席を決める前に体力をつけようと話す。
  4. 4.卒業式の前日に出席するかどうか決めようと話す。

対話形式の解説

博士 博士

A君は骨肉腫の肺転移で終末期、でも意識は清明で卒業式に出たいと言うておるな。

サクラ サクラ

呼吸困難もあって出席できるか心配です。

博士 博士

ここで大事なのは、本人の希望を尊重して実現に向けて準備する姿勢、つまり選択肢2が正解じゃよ。

サクラ サクラ

1のように今は難しいと伝えてはいけないんですか?

博士 博士

それは希望の一方的否定で、自己決定の尊重に反する。エンドオブライフケアの基本に外れるぞ。

サクラ サクラ

3の体力をつけようは前向きに思えますが?

博士 博士

食事も減り終末期にあるA君に体力増強を求めるのは非現実的、励ましどころか希望を遠ざける言葉になるんじゃ。

サクラ サクラ

4の前日に決めるのはどうでしょう?

博士 博士

決定を先延ばしすると不安が増えるし、準備も進まん。目標を持って今日を生きる時間が削られるのじゃ。

サクラ サクラ

では具体的にどう準備しますか?

博士 博士

酸素携帯、車椅子やストレッチャー、付き添う医療者、家族と担任との情報共有、緊急時の対応計画じゃ。

サクラ サクラ

本人の生きる力を支えるケアなんですね。

博士 博士

その通り、希望は終末期の最大の鎮痛薬じゃとも言えるんじゃよ。

POINT

終末期にある思春期患者にとって卒業式は人生の節目であり、自己決定の尊重とQOLの最大化が看護の中心となります。希望を否定せず、酸素や移動手段、多職種・家族との連携で実現を支えることが最も適切です。準備の過程そのものがA君の生きる力を支えます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:A君(15歳、男子)は、病院に併設された院内学級に通いながら骨肉腫(osteosarcoma)に対する治療を続けていた。現在、肺に転移しており終末期にある。呼吸困難があり、鼻腔カニューラで酸素(2l/分)を投与中である。A君の食事の摂取量は徐々に減っているが、意識は清明である。1週間後に院内で卒業式が予定されている。A君は「卒業式は出席したい」と話している。 看護師のA君への対応として最も適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。終末期にある思春期の患者にとって、卒業式は人生の大切な節目であり、自己決定とQOLの中心となります。看護師は本人の希望を否定せず、酸素投与のまま参加できる方法、車椅子やストレッチャーの活用、家族や担任との連携などを具体的に整え、希望が実現するよう支援することが最も適切です。

選択肢考察

  1. × 1.  今の状態では出席は難しいと話す。

    本人の希望を一方的に否定する関わりであり、自己決定を尊重するエンドオブライフケアの理念に反します。

  2. 2.  出席できるように準備しようと話す。

    本人の意思を尊重し、実現に向けて具体的に支援する姿勢で、終末期のQOL向上と自己決定支援に合致します。

  3. × 3.  出席を決める前に体力をつけようと話す。

    終末期で食事摂取も減っているA君に体力増強を求めるのは非現実的で、希望を否定する言い回しになります。

  4. × 4.  卒業式の前日に出席するかどうか決めようと話す。

    決定を先延ばしにすると不安が増し、準備も進まないため、目標に向けて主体的に過ごす機会を奪います。

小児・思春期の終末期看護では、本人の発達段階に応じて意思決定に参加させ、夢や希望を叶えるディグニティセラピー的アプローチが重視されます。酸素や疼痛コントロールを工夫しながら最大限の参加を支える、家族にも事前に状況を共有するなど、多職種連携が鍵です。

終末期の思春期患者の自己決定とQOLを尊重した支援姿勢を選べるかを問う問題です。