学童期の長期入院ストレスケア
看護師国家試験 第103回 午後 第105問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 A君(8歳、男児)は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に病院を受診した。1か月前に扁桃炎(tonsillitis)に罹患した以外は既往歴に特記すべきことはない。扁桃炎(tonsillitis)は抗菌薬を内服し軽快した。血液検査の結果、溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptcoccal acute glomerulonephritis)と診断されて入院した。入院時、A君は体温36.8℃、呼吸数20/分、脈拍は80/分、整で血圧132/80mmHgであった。 入院後2週間が経過した。症状は軽快したが床上安静は続いている。仲が良かった同じ病室の児が退院して、A君はイライラして母親をたたくこともある。A君の母親は、毎日昼食後から夕食後まで面会をしている。 A君のストレスに対する看護師の対応で適切なのはどれか。
- 1.「家にすぐ帰れるから頑張ろう」
- 2.「お母さんにずっといてもらおう」
- 3.「好きなだけテレビを観ていいよ」
- 4.「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」
対話形式の解説
博士
A君は入院2週間が経過し、症状は軽快したが床上安静が続いておる。仲の良い児が退院し、母親に当たるようになっているんじゃ。
サクラ
8歳の子が母親を叩くなんて、よほど辛い状況なんですね。
博士
そうじゃ。学童期はエリクソンの言う『勤勉性 vs 劣等感』の時期で、仲間との交流や遊びで自己肯定感を育む大切な時期なんじゃよ。
サクラ
ベッド上での生活が続くとストレスが溜まりますね。
博士
孤独感・退屈・自由の制限が積み重なり、それが攻撃的行動として表出されておる。
サクラ
どう対応すべきですか?
博士
正解は4の『ベッドに寝たままプレイルームに行こう』じゃ。床上安静を保ちながら環境を変え、他の児や遊びと触れ合えるからのう。
サクラ
選択肢1の『すぐ帰れるから頑張ろう』はダメですか?
博士
糸球体腎炎の入院は1〜2か月かかることが多く、事実と異なる発言は信頼関係を損なうから不適切じゃ。
サクラ
母親にずっといてもらうのはどうでしょう?
博士
母親はすでに昼から夕食後まで毎日面会しておる。これ以上は母親の負担を増やすし、A君も母親に当たっている状況では関係悪化のリスクがあるのう。
サクラ
テレビを好きなだけ観るのは?
博士
活動性のある8歳児にはテレビだけでは満足できん。根本的なストレス解消にはなりにくいじゃろう。
サクラ
プレイルームに行くと安静が破れませんか?
博士
ベッドごと移動して、活動量の少ない遊び(カードゲーム、折り紙、読書など)をすればよい。本人と周囲の児にも説明して協力を得るんじゃ。
サクラ
他に支援はありますか?
博士
CLSとの連携やベッドサイド学習、家族支援なども有効じゃ。心理社会的発達と治療の両立を図るのが小児看護の醍醐味じゃ。
サクラ
母親への配慮も大切ですね。
博士
その通り。長期入院では家族のレスパイトケアも忘れてはならんのう。
POINT
学童期の長期入院では床上安静による孤独・退屈がストレスとなり、攻撃的行動として現れることがあります。安静を維持しつつプレイルームへ移動して他患児との交流や遊びを提供することが最適な看護介入です。テレビ視聴のみでは不十分で、母親の面会延長や事実と異なる励ましは逆効果となります。発達支援と治療の両立が学童期看護の鍵です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 A君(8歳、男児)は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に病院を受診した。1か月前に扁桃炎(tonsillitis)に罹患した以外は既往歴に特記すべきことはない。扁桃炎(tonsillitis)は抗菌薬を内服し軽快した。血液検査の結果、溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptcoccal acute glomerulonephritis)と診断されて入院した。入院時、A君は体温36.8℃、呼吸数20/分、脈拍は80/分、整で血圧132/80mmHgであった。 入院後2週間が経過した。症状は軽快したが床上安静は続いている。仲が良かった同じ病室の児が退院して、A君はイライラして母親をたたくこともある。A君の母親は、毎日昼食後から夕食後まで面会をしている。 A君のストレスに対する看護師の対応で適切なのはどれか。
解説:正解は4です。A君は8歳の学童期で、エリクソンの発達課題では『勤勉性 vs 劣等感』にあたり、活動・遊び・仲間との交流を通じて自己肯定感を育む時期です。床上安静が長引き、仲の良かった同室児が退院したことで孤独感・退屈・ストレスが蓄積し、母親への暴力的な行動として現れています。看護師の対応としては、安静を維持しつつ環境を変えて気分転換を図ることが重要です。ベッド上での移動であればプレイルームで他患児や遊びとの接触が可能となり、活動性を抑えながらストレス発散ができます。これは安静治療と発達支援の両立を図る最適な看護介入です。
選択肢考察
-
× 1. 「家にすぐ帰れるから頑張ろう」
急性糸球体腎炎の入院は1〜2か月かかることが多く、すぐ帰れるという発言は事実と異なり、後の信頼関係を損なうため不適切です。
-
× 2. 「お母さんにずっといてもらおう」
母親はすでに長時間面会しており、A君は母親に当たっている状況です。さらなる面会延長は母親の負担を増やし関係悪化のリスクもあるため不適切です。
-
× 3. 「好きなだけテレビを観ていいよ」
活動性のある8歳児にとってテレビ視聴のみではストレス解消になりにくく、根本的な気分転換にはなりません。
-
○ 4. 「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」
床上安静を維持しながら環境を変え、他患児との交流や遊びの機会を確保できるため、ストレス発散と発達支援の両立に最適です。
学童期の長期入院では、安静治療と心理社会的発達支援の両立が課題です。プレイルームの活用、学習活動、ベッドサイドでの遊び(カードゲーム・折り紙・読書など)、CLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)との連携が有効です。家族支援も重要で、付き添う母親の疲労にも配慮が必要です。
学童期の長期入院児のストレスケアにおいて、安静と発達支援を両立させる看護介入を選択できるかを問う問題です。
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