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会陰式肛門形成術後の排便後ケア

看護師国家試験 第105回 午前 第103問 / 小児看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第103問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。 Aちゃんは、定期受診の1か月後、予定どおり会陰式肛門形成術を行った。術後2日、1日に6回の排便があり、造設された肛門周囲に発赤がみられている。排便後の対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.石けんで洗浄する。
  2. 2.微温湯で洗浄する。
  3. 3.お尻拭きシートで拭き取る。
  4. 4.ポビドンヨードで消毒をする。

対話形式の解説

博士 博士

Aちゃん、無事に会陰式肛門形成術を受けたぞ。術後2日で1日6回の排便、肛門周囲に発赤がみられておる。

サクラ サクラ

発赤があるということは皮膚トラブルが始まっているんですね。

博士 博士

そうじゃ。頻回な便による化学的刺激と、縫合直後のデリケートな皮膚への機械的刺激で、肛門周囲皮膚炎を起こしやすい時期なんじゃ。

サクラ サクラ

排便後の対応で最も適切なのはどれですか?

博士 博士

正解は2の『微温湯で洗浄する』じゃ。低刺激で便をしっかり洗い流し、創部と皮膚の清潔を保てる。

サクラ サクラ

1の石けんはダメなんですか?きれいになりそうですが…

博士 博士

炎症を起こしている皮膚に界面活性剤は刺激が強くてな。必要な皮脂まで落としてバリア機能を低下させてしまうんじゃ。

サクラ サクラ

3のお尻拭きシートは便利そうですが?

博士 博士

摩擦が生じるし、製品によってはアルコールや香料、保存料が含まれる。発赤を悪化させるリスクがあるから、肛門周囲炎があるときは避けた方がよい。

サクラ サクラ

4のポビドンヨードで消毒するのはどうですか?

博士 博士

肛門は常在菌の多い部位で、そもそも消毒で無菌にはできん。ヨウ素は皮膚刺激もあり、乳児では経皮吸収による甲状腺機能への影響も懸念される。ルーチンの消毒は不要じゃ。

サクラ サクラ

洗った後はどうケアすればいいんでしょう?

博士 博士

柔らかいガーゼやタオルで押さえ拭きし、水分を除去する。その後、白色ワセリンや亜鉛華軟膏などの皮膚保護剤を薄く塗って、便と皮膚の接触を防ぐのが有効じゃ。

サクラ サクラ

母親への指導ポイントはありますか?

博士 博士

退院後も『排便ごとに微温湯で洗い、こすらず押さえ拭きし、保護剤を塗る』という3ステップを伝えるとよい。おむつ交換のたびに実施するのが基本じゃ。

サクラ サクラ

感染の早期発見はどうすれば?

博士 博士

膿性分泌物、発赤の拡大、強い腫脹や熱感、発熱があれば速やかに医療機関へ連絡するように指導するんじゃ。

サクラ サクラ

便性のコントロールも大事ですよね?

博士 博士

そのとおり。下痢が続けば皮膚炎も悪化するから、哺乳量や離乳食の進め方、水分補給にも注意を払うとよい。

サクラ サクラ

術後の皮膚ケアは本当に奥が深いですね、覚えました。

博士 博士

低刺激・清潔・保護——この3原則を押さえておけば応用がきくぞ。

POINT

会陰式肛門形成術後2日目で肛門周囲に発赤がみられる乳児の、排便後ケアを問う問題です。術後の皮膚は脆弱で、石けん・拭き取りシート・消毒薬はいずれも刺激となり不適切です。微温湯で優しく洗い流し、押さえ拭きと皮膚保護剤で守るのが最も適切なケアとなります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。 Aちゃんは、定期受診の1か月後、予定どおり会陰式肛門形成術を行った。術後2日、1日に6回の排便があり、造設された肛門周囲に発赤がみられている。排便後の対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。肛門形成術後早期は縫合部位の脆弱性と頻回な排便による化学的刺激・摩擦で、肛門周囲皮膚炎(おむつ皮膚炎様)を生じやすい状況です。刺激を最小限にし便を確実に取り除くには、常温〜人肌程度の微温湯による洗浄が最も適切で、その後は水分を優しく押さえ拭きし、必要に応じて白色ワセリンなど皮膚保護剤で皮膚バリアを補います。

選択肢考察

  1. × 1.  石けんで洗浄する。

    発赤している皮膚に石けんは刺激が強く、皮脂を取りすぎて乾燥やバリア機能低下を助長するため不適切です。

  2. 2.  微温湯で洗浄する。

    低刺激で便をしっかり洗い流すことができ、創部と肛門周囲皮膚の清潔保持に最も適した方法です。

  3. × 3.  お尻拭きシートで拭き取る。

    摩擦による機械的刺激、アルコールや香料などの化学的刺激が発赤を悪化させるため避けます。

  4. × 4.  ポビドンヨードで消毒をする。

    肛門部は常在菌の多い部位で通常は消毒の適応がなく、ヨウ素は皮膚刺激や経皮吸収による甲状腺機能への影響の懸念もあります。

術後の肛門周囲皮膚炎予防には、排便ごとの微温湯洗浄、押さえ拭きによる水分除去、亜鉛華軟膏や白色ワセリンなどの皮膚保護剤塗布が基本です。感染徴候(膿性分泌物、強い発赤、発熱)があれば医師へ報告します。哺乳は継続し、十分な水分摂取で便性を整えます。

肛門形成術後の肛門周囲発赤に対して、刺激を最小化する排便後ケアを選ぶ問題です。