低位鎖肛乳児の術前観察ポイント
看護師国家試験 第105回 午前 第102問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。 受診時の観察項目で優先度が高いのはどれか。
- 1.活気
- 2.腹部膨満
- 3.腹部腫瘤
- 4.チアノーゼ
対話形式の解説
博士
今日は生後5か月のAちゃん、低位鎖肛で会陰式肛門形成術を待っている状況じゃ。腟の後ろの瘻孔から便を出しておる。
アユム
鎖肛って肛門の位置に開口部がない病気ですよね?
博士
そうじゃ。直腸の末端が正常な肛門位置に開口せず、別の場所に瘻孔を作って便を排出する先天奇形じゃ。低位・中間位・高位に分類されるぞ。
アユム
低位というのはどういう状態ですか?
博士
直腸盲端が骨盤底の筋群より尾側、つまり会陰に近い位置まで降りてきているタイプで、本症例のように腟前庭や会陰部に瘻孔をつくることが多いんじゃ。
アユム
受診時の観察項目で優先度が高いのはどれですか?
博士
正解は2の『腹部膨満』じゃ。瘻孔は狭く便排出が不十分になりやすいから、腸内に便やガスが貯留して腹部膨満を生じる。これを見逃すとイレウスや腸管穿孔につながりかねん。
アユム
選択肢1の『活気』はどうでしょう。乳児では大事な項目ですよね?
博士
もちろん乳児の全身状態を把握する基本指標じゃが、本疾患の病態に直接結びつく腹部症状の方が優先度は高い。活気の低下は腹部膨満が進行した結果として出ることが多いんじゃ。
アユム
3の『腹部腫瘤』はなぜ違うんですか?
博士
腹部腫瘤はWilms腫瘍や神経芽腫などを疑う所見じゃが、本例は他に奇形もなく腫瘍性疾患を示唆する情報もない。優先度は低いな。
アユム
4の『チアノーゼ』は?
博士
チアノーゼは先天性心疾患や呼吸器疾患で重要じゃが、この子には心肺の合併異常はないから、ルーチンの優先度は低いのじゃ。
アユム
術前のケアとしてはどんなことを行いますか?
博士
瘻孔からの便排出状況、腹部膨満、哺乳量、体重増加を継続的に観察し、排便が悪ければ浣腸やブジーで瘻孔拡張を行うことがあるぞ。
アユム
手術はどのタイミングで行うんですか?
博士
低位鎖肛では体重が十分に増え全身状態が安定した生後数か月で会陰式肛門形成術を行うことが多い。高位の場合は新生児期に人工肛門を造設してから二期的に形成術を行うんじゃ。
アユム
鎖肛って一口に言っても、分類で治療方針が全然違うんですね。
博士
そのとおり。Peñaの分類と治療スケジュールはセットで覚えておくと国試対策に役立つぞ。
POINT
低位鎖肛で瘻孔から排便している生後5か月児の定期受診で、優先すべき観察項目を問う問題です。排便路が狭いため便・ガス貯留から腹部膨満を来しやすく、イレウスの早期発見につながる腹部膨満の観察が最優先となります。乳児の腹部症状アセスメントの基本を押さえる良問です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。 受診時の観察項目で優先度が高いのはどれか。
解説:正解は 2 です。鎖肛(直腸肛門奇形)は直腸の末端が正常な肛門位置に開口せず、瘻孔を介して排便されている状態です。低位鎖肛では直腸盲端が骨盤底筋群より尾側に位置し、本例のように腟前庭部などの瘻孔から排便されます。瘻孔は狭く便の排出が不十分になりやすく、腸管内に便やガスが貯留すると腹部膨満・嘔吐・哺乳量低下などを起こし、イレウスや腸管穿孔のリスクにつながるため、腹部膨満の観察が最優先となります。
選択肢考察
-
× 1. 活気
言葉で訴えられない乳児のアセスメントとして重要ですが、疾患に直接関連する腹部症状の方が優先度は高くなります。
-
○ 2. 腹部膨満
狭い瘻孔からの不十分な排便に伴う腸管内ガス・便貯留を反映する最重要の観察項目で、イレウスの早期発見につながります。
-
× 3. 腹部腫瘤
他の奇形は認められず、腹部腫瘍や嚢胞性疾患の合併も示唆されていないため、優先度は低いです。
-
× 4. チアノーゼ
先天性心疾患や呼吸器疾患を合併した乳児で注意する所見であり、本例では合併がないため優先度は低いです。
直腸肛門奇形はPeñaの分類で高位・中間位・低位に分けられ、低位は会陰式肛門形成術、高位・中間位は人工肛門造設後に肛門形成術を行います。術前は瘻孔からの排便状況、腹部膨満、哺乳量、体重増加などを観察し、便の排出が不良なら浣腸や拡張などで対応します。
低位鎖肛で瘻孔からの排便に頼っている乳児で、術前の定期受診時に最優先でアセスメントすべき観察項目を問う問題です。
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