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尿道形成術後に尿が漏れている?カテーテル閉塞を見抜く観察力

看護師国家試験 第106回 午前 第101問 / 小児看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第101問

A君(2か月、男児)は、1か月児健康診査で尿道下裂( hypospadias )の疑いを指摘され、小児科を受診した。検査の結果、遠位型尿道下裂( distal hypospadias )と診断された。 A君は1歳3か月になり、尿道形成術を行うために入院した。手術当日、点滴静脈内注射による持続点滴と尿道カテーテルが挿入された状態で帰室した。創部の陰茎全体はガーゼとフィルムドレッシング材で保護されていた。手術翌日、ガーゼに茶褐色の血液が付着していた。創部が排便で汚染されており、ガーゼを外すと創部に軽度腫脹がみられているが膿の付着はない。尿道カテーテルの周囲から尿が漏れていた。A君は「ママ」と言い不機嫌に泣いている。体温37.0℃、呼吸数28/分、脈拍120/分、血圧100/58mmHgであった。 この時点のA君の状態として最も可能性が高いのはどれか。

  1. 1.創部痛はない。
  2. 2.出血が続いている。
  3. 3.創部の感染を起こしている。
  4. 4.尿道カテーテルが閉塞している。

対話形式の解説

博士 博士

今日は尿道下裂の術後管理について学ぶのじゃ。1歳3か月のA君が尿道形成術を受けた翌日の状況問題じゃよ。

サクラ サクラ

尿道下裂って、尿道の出口が先端じゃなくて裏側にある病気ですよね?

博士 博士

その通り。尿道口が陰茎の腹側に開口する先天異常で、遠位型は亀頭や冠状溝付近、近位型は陰嚢や会陰部に開口するのじゃ。

サクラ サクラ

どうして手術でカテーテルを入れたままにするんですか?

博士 博士

新しく形成した尿道を尿で汚さず、縫合部を安静に保つためじゃ。尿はカテーテルを通って体外のバッグに流れる仕組みになっておる。

サクラ サクラ

なるほど!じゃあ今回「カテーテル周囲から尿が漏れていた」って、どういうことなんでしょう?

博士 博士

ここがポイントじゃ。カテーテルの中を尿が流れるはずなのに、周囲から漏れているということは、カテーテルの中が詰まっていると考えるのが自然じゃな。

サクラ サクラ

あ!詰まっているから、逃げ場を失った尿が脇から漏れ出しているんですね。

博士 博士

その通り!凝血塊や粘液、カテーテルの屈曲が原因になる。放置すると新しく作った尿道に尿が漏れて縫合不全や瘻孔の原因になるのじゃ。

サクラ サクラ

ほかの選択肢も気になります。茶褐色の血液って、出血が続いているサインじゃないんですか?

博士 博士

茶褐色は古い血液が酸化した色じゃ。活動性出血なら鮮紅色でガーゼに染み広がる。茶褐色は「過去に出た血が乾いた」状態を示すのじゃよ。

サクラ サクラ

感染はどうですか?腫脹があるって書いてありましたよ。

博士 博士

軽度腫脹は術後の生理的反応じゃ。感染を疑うなら発熱・発赤・熱感・膿が揃うはずじゃが、体温37.0℃で膿の付着もない。現時点では積極的に疑う根拠に乏しい。

サクラ サクラ

創部痛がないっていう選択肢は?不機嫌に泣いているって情報がありますよね。

博士 博士

うむ。1歳3か月は痛みを言葉で訴えられんが、「ママ」と呼んで不機嫌に泣くのは痛み・不安のサインじゃ。痛みがないとは言えん。

サクラ サクラ

幼児の痛み評価って、どうすればいいんですか?

博士 博士

FLACCスケールを使うのじゃ。Face(表情)、Legs(下肢)、Activity(活動)、Cry(啼泣)、Consolability(慰めやすさ)の5項目で0〜10点で評価する。言葉が使えない子どもにも使える優れたツールじゃ。

サクラ サクラ

カテーテル閉塞を見つけたら、看護師はまず何をすればいいんですか?

博士 博士

ルートの屈曲を確認し、ミルキングで凝血塊を流す。それでも改善しなければ医師に報告し、必要に応じて微温湯での洗浄や入れ替えを検討する。放置は絶対に禁物じゃ。

POINT

尿道形成術後に尿道カテーテル周囲から尿が漏れる所見は、カテーテル内腔の閉塞を示す典型的なサインです。閉塞を放置すると新しく形成した尿道に尿が漏出し、縫合不全・尿道皮膚瘻・感染の重大な合併症を招きます。茶褐色の血液は古い出血、軽度腫脹は術後の生理的反応であり、いずれも本問では異常の主因ではありません。幼児の疼痛はFLACCスケールで客観的に評価し、不機嫌・啼泣を疼痛サインとして拾う視点が求められます。本問は小児の術後観察で「所見の意味するメカニズム」を読み解く思考力を試す良問であり、泌尿器小児外科の基本として確実に押さえておきたい項目です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:A君(2か月、男児)は、1か月児健康診査で尿道下裂( hypospadias )の疑いを指摘され、小児科を受診した。検査の結果、遠位型尿道下裂( distal hypospadias )と診断された。 A君は1歳3か月になり、尿道形成術を行うために入院した。手術当日、点滴静脈内注射による持続点滴と尿道カテーテルが挿入された状態で帰室した。創部の陰茎全体はガーゼとフィルムドレッシング材で保護されていた。手術翌日、ガーゼに茶褐色の血液が付着していた。創部が排便で汚染されており、ガーゼを外すと創部に軽度腫脹がみられているが膿の付着はない。尿道カテーテルの周囲から尿が漏れていた。A君は「ママ」と言い不機嫌に泣いている。体温37.0℃、呼吸数28/分、脈拍120/分、血圧100/58mmHgであった。 この時点のA君の状態として最も可能性が高いのはどれか。

解説:正解は 4 です。尿道形成術後は手術部位を安静に保ち、尿を創部外へ確実に誘導するために尿道カテーテルを留置する。カテーテル周囲から尿が漏れている事実は、カテーテル内腔が凝血塊・粘液・屈曲などで閉塞し、尿がカテーテルを通って排出されず、抵抗の少ない創部側へ押し出されていることを示す典型的な所見である。閉塞を放置すると尿が縫合部に漏出し、縫合不全・瘻孔形成・感染の大きな誘因となるため、早急な開通確認(屈曲の有無の確認、ミルキング、必要に応じた微温湯による注入確認)が必要となる。

選択肢考察

  1. × 1.  創部痛はない。

    1歳3か月児は痛みを言語化できないが、不機嫌に泣き「ママ」と呼ぶ様子は術後疼痛・不快の典型的な表現である。創部痛がないと判断する根拠はない。

  2. × 2.  出血が続いている。

    ガーゼに付着しているのは茶褐色の血液で、これは出血後に時間が経過して酸化・乾燥した古い血液を示す。活動性出血であれば鮮紅色の血液がガーゼに染みるため、持続出血の所見とはいえない。

  3. × 3.  創部の感染を起こしている。

    軽度腫脹は術後組織反応として生理的に起こる。体温37.0℃で発熱なく、膿や発赤・熱感の記載もないため、現時点で感染を積極的に疑う根拠に乏しい。

  4. 4.  尿道カテーテルが閉塞している。

    カテーテル周囲から尿が漏出している所見は、カテーテル内腔が閉塞し尿の流路が確保できていないことを示す。閉塞を解除しないと創部への尿漏出が続き、縫合不全・尿道皮膚瘻の原因となる。

尿道下裂は尿道口が陰茎腹側に開口する先天異常で、開口部の位置により遠位型(亀頭・冠状溝付近)と近位型(陰嚢・会陰部)に分類される。手術時期は1歳〜1歳半が標準で、尿道形成術後は尿道カテーテルによる尿流のバイパスと創部安静が成功の鍵となる。術後管理では、カテーテルの屈曲・閉塞の監視、排便による創部汚染の予防、疼痛コントロール、固定解除時の体動制限が重要である。幼児の疼痛評価にはFLACCスケール(表情・下肢・活動・啼泣・慰められやすさの5項目)が有用で、言語化できない乳幼児の痛みを客観的に捉えられる。

尿道形成術後に「カテーテル周囲から尿が漏れる」という所見が何を意味するかを問う問題。閉塞=尿が流出路を失い漏れ出す、というメカニズムを押さえる。