レスパイト入院とは 重症児家族を支える社会資源
看護師国家試験 第106回 午前 第105問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺( cerebral palsy )と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。 現在、A君の母親は妊娠16週で順調に経過している。母親は「出産のときにAを預かってくれるところを探そうと思っています」と看護師に話した。父親は会社員で、毎日20時ころ帰宅する。A君の祖父母は遠方に住んでおり支援をすることができない。母親に情報提供する社会資源で最も適切なのはどれか。
- 1.乳児院
- 2.病児保育
- 3.情緒障害児短期入所施設
- 4.レスパイトを目的とする入院
- 5.ファミリーサポートセンター
対話形式の解説
博士
今回はA君の母親が出産する間、A君を預かってくれる場所を探している場面じゃ。どの社会資源を紹介するのが適切かを問う問題じゃよ。
サクラ
「レスパイト」って初めて聞きました。どういう意味ですか?
博士
レスパイトは英語で「一時的な休息」という意味じゃ。在宅で重症児や要介護者を介護している家族が、一時的に介護から離れて休息できるようにするサービスの総称じゃな。
サクラ
なぜ家族に休息が必要なんですか?
博士
24時間介護が続く家族は、身体的にも精神的にも限界が来やすい。疲労で介護の質が下がると児にも悪影響が出る。だから計画的な休息は家族と児の両方にとって必要なのじゃ。
サクラ
A君の場合はお母さんが出産するから、数日〜1週間くらい預ける必要がありますよね。
博士
その通り。出産は明確な家族事情で、その間A君を安全に預けられる場所が必要じゃ。A君は脳性麻痺で医療的ケアも必要だから、医療機関でのレスパイト入院が最適なのじゃ。
サクラ
他の選択肢はなぜダメなんですか?乳児院って赤ちゃんを預かるところですよね。
博士
乳児院は主に1歳未満の社会的養護を必要とする乳児が対象じゃ。A君は2歳6か月だから年齢外。さらに医療的配慮が必要な脳性麻痺児を乳児院で預かるのは難しいのじゃ。
サクラ
病児保育は?
博士
病児保育は発熱や軽い感染症など一時的な体調不良児を、仕事中の保護者に代わって1日単位で預かる制度じゃ。数日連続の預かりや重度障害児の対応は想定されておらん。
サクラ
情緒障害児短期入所施設って何ですか?
博士
現在は「児童心理治療施設」と呼ばれておる。不登校・情緒障害・虐待などの子どもを対象とした治療施設で、脳性麻痺のA君は対象外じゃ。
サクラ
ファミリーサポートセンターはよく聞きますが…
博士
これは地域住民が会員となり、互助的に子どもの一時預かりを行う仕組みじゃ。保育の送迎や短時間の預かりが中心で、医療的ケアが必要な重症児の数日預かりには対応しておらん。
サクラ
レスパイト入院って、具体的にどこで受けられるんですか?
博士
重症心身障害児病棟、医療型障害児入所施設、小児科を持つ病院の短期入院ベッドなどじゃ。事前登録して計画的に利用するのが一般的じゃな。
サクラ
在宅で重症児を育てる家族にはどんな支援制度がありますか?
博士
訪問看護、居宅介護(ホームヘルプ)、日中一時支援、短期入所(ショートステイ)、障害児通所支援などじゃ。これらを組み合わせて在宅生活を支えるのが現代の地域包括ケアじゃ。
サクラ
社会資源って、ただ知識として覚えるだけじゃなくて「どんな状況の家族に、どれが合うか」を考える力が必要なんですね。
博士
まさにその通り。看護師の役割は、家族の状況を理解し、適切な資源につなぐコーディネーターじゃ。制度の知識と共感的態度の両方が求められるのじゃ。
POINT
レスパイトケアは、在宅で重症児や要介護者を介護する家族が一時的に介護から離れて休息できるよう、医療機関や施設が短期受け入れを行うサービスです。脳性麻痺で医療的ケアが必要なA君の場合、母親の出産入院という明確な事情に対し、医療機関でのレスパイト入院が最も安全で適切な選択肢となります。乳児院は年齢対象外、病児保育は短期の体調不良児向け、情緒障害児施設は対象が異なり、ファミリーサポートセンターは医療的ケアに対応しません。社会資源の選択は「対象年齢」「必要なケアの内容」「預かり期間」の3軸で考える視点が重要です。看護師には制度の知識に加え、家族の状況を理解し最適な資源につなぐコーディネート能力が求められます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺( cerebral palsy )と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。 現在、A君の母親は妊娠16週で順調に経過している。母親は「出産のときにAを預かってくれるところを探そうと思っています」と看護師に話した。父親は会社員で、毎日20時ころ帰宅する。A君の祖父母は遠方に住んでおり支援をすることができない。母親に情報提供する社会資源で最も適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。レスパイトケアとは、在宅で重症児や要介護者を介護する家族が一時的に介護から離れ休息できるよう、施設や医療機関で短期間の受け入れを行うサービスを指す。脳性麻痺で医療的配慮が必要なA君の場合、母親の出産入院という明確な家族事情に対し、医療機関が一定期間継続的にケアを引き受けられるレスパイト入院が最も安全かつ現実的な選択肢となる。家族の介護負担軽減と児の安全確保の両立がポイント。
選択肢考察
-
× 1. 乳児院
対象は主に1歳未満で社会的養護を必要とする乳児。2歳6か月で医療的配慮が必要なA君には適さない。
-
× 2. 病児保育
急な発熱など短期の体調不良児を1日単位で預かる制度。数日〜1週間単位の継続預かりや重度障害児には適応外。
-
× 3. 情緒障害児短期入所施設
情緒障害を持つ児童を対象とした治療施設で、脳性麻痺児は対象外。
-
○ 4. レスパイトを目的とする入院
在宅療養する重症児の家族が休息や家族事情(出産・冠婚葬祭等)で介護を離れる際に、病院が短期入院として受け入れる制度。医療的ケアを保ちながら児を安全に預けられる。
-
× 5. ファミリーサポートセンター
地域住民の会員同士で育児援助を行う仕組みで、数日間の障害児預かりや医療的ケアには対応していない。
レスパイトケア(respite care)は「一時的な休息」を意味し、家族の介護疲れ・病気・冠婚葬祭・出産などで在宅介護が困難なときに、医療機関や障害児者施設が短期入所・短期入院で受け入れるサービス。小児では重症心身障害児病棟、医療型障害児入所施設などが主な受け入れ先となる。医療的ケア児の場合は通常の保育施設では対応困難なため、医療機関でのレスパイト入院が最も安全である。ほかに短期入所(ショートステイ)、日中一時支援、訪問看護、居宅介護などのサービスを組み合わせるケースが多い。
重症児の家族が出産などで一時的に介護できない状況で、最も適切な社会資源を選ぶ問題。医療的ケアの必要性と預かり期間の長さから最適解を導く。
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