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精神科隔離の4原則——『事前説明』『診療録記載』『1人使用』『医師判断』を守る理由

看護師国家試験 第109回 午前 第67問 / 精神看護学 / 安全な治療環境と多職種連携

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第67問

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に定められている隔離について正しいのはどれか。

  1. 1.隔離の理由は解除する時に患者に説明する。
  2. 2.開始した日時とその理由を診療録に記載する。
  3. 3.隔離室には同時に 2 人の患者まで入室可能である。
  4. 4.行動制限最小化委員会で開始の必要性を判断する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は精神科医療の中でもデリケートなテーマ、行動制限における『隔離』について学ぶぞ。人権との関係で非常に厳格に法律で定められておる分野じゃ。

サクラ サクラ

精神保健福祉法の第37条が根拠なんですよね?

博士 博士

そうじゃ。第37条で『厚生労働大臣が定める処遇基準』が規定されており、隔離や身体的拘束の遵守事項が具体的に示されておる。

サクラ サクラ

隔離とは具体的にどういう状況で行うんですか?

博士 博士

患者の症状から本人または周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く、隔離以外の方法では危険を回避できない場合にのみ行われる。最終手段の医療処置じゃ。

サクラ サクラ

勝手に医療者の判断でできるものではないんですね。

博士 博士

その通り。12時間を超える隔離は精神保健指定医の判断が必須じゃ。12時間以内でも医師の判断が必要で、看護師や他職種だけでは判断できん。

サクラ サクラ

隔離開始時の遵守事項にはどんなものがありますか?

博士 博士

4つのポイントを覚えよ。第一に、隔離の理由を患者本人に説明するよう努めること。解除時ではなく開始時じゃ。第二に、隔離開始日時、理由、解除日時を診療録に必ず記載すること。

サクラ サクラ

今回の問題の正解は選択肢2ですね。

博士 博士

うむ。第三に、隔離室には他の患者を入室させないこと。同室で複数の隔離は認められない。第四に、隔離中は少なくとも1日1回の診察、頻回な観察、食事・排泄・清潔ケアを確保すること。

サクラ サクラ

行動制限最小化委員会というのは何をする機関なんですか?

博士 博士

精神科病院に設置され、月1回以上開催される院内の監督機関じゃ。個別の隔離開始の判断は行わず、行動制限が適正に行われているか、最小限に抑えられているかを評価・監督するのが役目なのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、開始判断と適正性評価は別の仕組みなんですね。

博士 博士

その通り。身体的拘束は時間にかかわらず精神保健指定医の判断が必要、というのもあわせて覚えておくとよいぞ。

サクラ サクラ

人権を守りながら医療を行うための厳格な仕組みなんですね。

博士 博士

うむ。精神科看護師はこの法的枠組みを理解した上で、患者の尊厳を守るケアを実践するのじゃ。

POINT

精神保健福祉法に基づく隔離は、患者または周囲への危険が切迫し他の方法で回避困難な場合に限って行う行動制限で、12時間を超える場合は精神保健指定医の判断が必要です。遵守事項として、開始時に隔離の理由を患者に説明する努力義務、開始・解除の日時と理由を診療録に記載する義務、隔離室を1人で使用する原則、1日1回以上の診察と頻回な観察が定められています。行動制限最小化委員会は院内で隔離や拘束の適正性を評価する監督機関であり、個別の開始判断ではなく制度全体の適正化を担います。看護師は法的枠組みを理解したうえで、患者の尊厳を最大限守りながら観察・記録・ケアを行う必要があります。行動制限は医療における最終手段であり、常に『最小限』の原則が貫かれるよう意識することが重要です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に定められている隔離について正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。精神保健福祉法第37条に基づく『厚生労働大臣が定める処遇基準』では、患者の隔離について遵守事項が定められている。その中に『隔離を行った旨及びその理由、ならびに隔離を開始した日時および解除した日時を診療録に記載する』と明記されており、記録の義務が課されている。隔離は本人または周囲に危険が及ぶ可能性が極めて高く、他の方法では回避困難な場合に最小限の範囲で行われる行動制限であり、記録と観察が厳格に求められる。

選択肢考察

  1. × 1.  隔離の理由は解除する時に患者に説明する。

    遵守事項では『隔離を行うにあたって、患者に隔離を行う理由を知らせるよう努める』とされており、開始時に説明する必要がある。解除時ではない。

  2. 2.  開始した日時とその理由を診療録に記載する。

    処遇基準により、隔離を行った旨と理由、開始日時、解除日時を診療録に記載することが義務づけられている。記録は行動制限の適正性を担保する重要な証拠となる。

  3. × 3.  隔離室には同時に 2 人の患者まで入室可能である。

    遵守事項では『隔離を行っている閉鎖的環境の部屋に更に患者を入室させることはあってはならない』と明記されている。隔離室は1人で使用する原則である。

  4. × 4.  行動制限最小化委員会で開始の必要性を判断する。

    12時間を超える隔離は精神保健指定医の判断により開始され、12時間以内の場合でも医師の判断が必要である。行動制限最小化委員会は制限の必要性を定期的に見直し、最小化を推進する機関であり、個別の開始判断は行わない。

精神保健福祉法における行動制限には主に『隔離』と『身体的拘束』がある。12時間を超える隔離は精神保健指定医の判断が必要で、身体的拘束については時間にかかわらず精神保健指定医の判断が必要である。隔離中は少なくとも1日1回の診察、頻回な観察、食事・排泄・清潔などのケアが提供されなければならない。行動制限最小化委員会は精神科病院に設置され、月1回以上の開催が求められ、行動制限の適正性を院内で評価・監督する。精神保健指定医は5年以上の医師経験と3年以上の精神科経験などを要件とする国家資格で、強制的な入院や行動制限の判断権限を持つ重要な役割を担っている。

精神保健福祉法における隔離の遵守事項を問う問題。理由の事前説明・診療録記載・1人での使用・医師の判断という4つのキーポイントを押さえる。