躁状態の患者への優先対応
看護師国家試験 第103回 午後 第109問 / 精神看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病(depression)による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害(bipolar disorder)と診断され入院した。 Aさんは常に動き回り、次々と他の患者に一方的に話しかけている。看護師が止めようとすると、Aさんは「自分は営業職なんだから、人と話すのは得意なんだ。邪魔しないでほしい」と強い語調で言い返してくる。 看護師の対応で優先されるのはどれか。
- 1.家族に付き添いを依頼する。
- 2.Aさんを静かな場所へ誘導する。
- 3.Aさんに病気に関する説明をする。
- 4.納得できるまで看護師に話すよう促す。
対話形式の解説
博士
Aさんは32歳の会社員で、2年前のうつ病歴があり、今回は躁状態を呈して双極性障害と診断されたんじゃ。
サクラ
双極性障害ってうつ状態と躁状態を繰り返すんですよね?
博士
その通り。気分高揚・観念奔逸・多弁・行動亢進・易怒性などが躁状態の特徴じゃ。Aさんも他患者に一方的に話しかけたり、止めると激怒したりしておるのう。
サクラ
どう対応するのが優先ですか?
博士
正解は2の『静かな場所へ誘導する』じゃ。躁状態は外部刺激に過敏に反応するから、まずは刺激の少ない環境にすることが大事なんじゃよ。
サクラ
選択肢1の家族の付き添い依頼は?
博士
家族でも対応困難で入院になっとる可能性が高い。付き添いが新たな刺激となり興奮が増幅するリスクもあるからのう。
サクラ
病気の説明をするのは?
博士
躁状態では病識が欠如しておる。興奮中に説明しても理解されず、むしろ刺激となって興奮が増えるんじゃ。
サクラ
納得するまで話を聞くのも違うんですね。
博士
そうじゃ。観念奔逸で話が次々飛躍するから納得という終着点には到達せん。むしろ多弁を助長してしまうんじゃよ。
サクラ
他患者への影響も心配ですね。
博士
他害の可能性もあるから、他患者保護の観点からも環境調整が最優先となるんじゃ。
サクラ
薬物療法は何が使われますか?
博士
気分安定薬としてリチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンや非定型抗精神病薬が用いられるのう。
サクラ
看護師の関わり方の基本は?
博士
刺激を最小化した環境、淡々とした関わり、本人の興奮を増幅させない対応が基本じゃ。長時間の説得や議論は避けるんじゃよ。
サクラ
Aさんは双極性障害のⅠ型ですか?
博士
2年前のうつ病歴と今回の重度の躁状態からⅠ型双極性障害が考えられるのう。Ⅰ型は重い躁状態とうつ状態を繰り返すのが特徴じゃ。
サクラ
対応の優先順位がよくわかりました。
博士
興奮緩和→治療継続→病識獲得という段階的アプローチが大切じゃ。
POINT
Aさんは双極性障害の躁状態で多弁・易怒性・行動亢進が見られます。躁状態は外部刺激に過敏なため、まず静かな場所へ誘導して刺激を最小化することが優先されます。家族付き添いや病気の説明、長時間の傾聴はかえって興奮を増幅させるため避けます。気分安定薬による薬物療法と環境調整を組み合わせた段階的看護が重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病(depression)による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害(bipolar disorder)と診断され入院した。 Aさんは常に動き回り、次々と他の患者に一方的に話しかけている。看護師が止めようとすると、Aさんは「自分は営業職なんだから、人と話すのは得意なんだ。邪魔しないでほしい」と強い語調で言い返してくる。 看護師の対応で優先されるのはどれか。
解説:正解は2です。Aさんは双極性障害の躁状態にあり、観念奔逸・多弁・易怒性・行動亢進・他害可能性などの症状を示しています。躁状態の患者は外部刺激に過敏に反応し興奮が増幅するため、まずは刺激の少ない静かな環境へ誘導して興奮を鎮めることが優先されます。他患者への迷惑行為を防ぎトラブルを未然に防止する意味でも環境調整が最優先となります。家族の付き添い依頼は刺激を増やすリスクがあり、病気の説明は病識欠如により受け入れられにくく、納得するまで話させると多弁が増悪します。
選択肢考察
-
× 1. 家族に付き添いを依頼する。
家族でも対応困難であった可能性が高く、付き添いが新たな刺激となり興奮を増幅させるリスクがあります。入院中はまず看護師が対応すべきです。
-
○ 2. Aさんを静かな場所へ誘導する。
躁状態は外部刺激に過敏に反応するため、刺激の少ない環境への誘導が興奮緩和に最も有効で他患者保護の観点からも優先されます。
-
× 3. Aさんに病気に関する説明をする。
躁状態では病識が欠如しており興奮中の説明は理解されず、かえって刺激となり興奮を増幅させる可能性があります。
-
× 4. 納得できるまで看護師に話すよう促す。
躁状態では観念奔逸により話が次々と飛躍し、納得という終着点に到達しません。むしろ多弁を助長し興奮が増悪します。
双極性障害の躁状態では、気分高揚・観念奔逸・多弁・行動亢進・睡眠欲求減少・易怒性・誇大妄想などが見られます。看護では刺激を最小化した環境設定、淡々とした関わり、本人の興奮を増幅させない対応が基本です。薬物療法は気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン)や非定型抗精神病薬が使用されます。Aさんは2年前のうつ病歴と今回の躁状態からⅠ型双極性障害が考えられます。
双極性障害の躁状態における興奮への対応の優先順位を判断できるかを問う問題です。
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