躁状態患者の食事摂取への介入
看護師国家試験 第103回 午後 第110問 / 精神看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病(depression)による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害(bipolar disorder)と診断され入院した。 入院後3日が経過した。Aさんは自分の病室にいることはほとんどなく、自宅や会社に頻繁に電話したり、デイルームでノートに書き続けるなど、いつも忙しそうに過ごしている。食事の時間も落ち着かず、摂取量は毎食1/3から1/4程度である。 看護師の対応で適切なのはどれか。
- 1.Aさんの食事を介助する。
- 2.Aさんが栄養指導を受けられるよう調整する。
- 3.Aさんに食事の摂取量が不足している事実を伝える。
- 4.Aさんが自分から食事をしたい気持ちになるのを待つ。
対話形式の解説
博士
入院3日目のAさんじゃ。デイルームで動き回り、食事摂取量は毎食1/3から1/4程度に低下しておる。どう対応するかのう?
アユム
躁状態だと食事に集中できないんですね。
博士
そうじゃ。活動亢進と注意散漫で落ち着いて食事できんのじゃ。さらに躁状態では空腹感や疲労の自覚が乏しいから栄養不足に陥りやすいのう。
アユム
どう声をかけるべきですか?
博士
正解は3の『食事の摂取量が不足している事実を伝える』じゃ。淡々と客観的事実を伝えるのが躁状態の患者への有効なアプローチなんじゃよ。
アユム
食事介助はダメなんですか?
博士
Aさんは32歳で身体的障害はなく介助の必要はない。むしろ自尊心を損ねたり拒絶を招くリスクがあるのう。
アユム
栄養指導を調整するのは?
博士
躁状態では集中して指導を受けることが困難じゃ。病識も欠如しているから拒否される可能性が高い。状態が安定してから行うのが効果的じゃ。
アユム
自分から食べたくなるのを待つのは?
博士
それも不適切じゃ。躁状態では空腹感の自覚が乏しいから、待つだけでは栄養不足が進行してしまうんじゃよ。
アユム
事実を伝えるって具体的にはどう言うんですか?
博士
『今日の昼食は3分の1程度の摂取でしたね』『3日続けて少なめですね』など、評価や感情を交えず事実だけを伝えるんじゃ。
アユム
他に工夫できることは?
博士
食べやすい形態のおにぎりやサンドイッチを用意したり、活動の合間にこまめに摂取を促したり、補食や栄養補助食品を活用するのも有効じゃ。
アユム
観察すべき指標は?
博士
体重・水分バランス・電解質・活動量・睡眠時間などをモニタリングするのが大事じゃ。
アユム
躁状態が落ち着いてからの対応は?
博士
状態安定後に栄養指導や生活指導を行うことで本人の理解と協力が得られやすくなるのう。
アユム
段階的なアプローチが鍵ですね。
博士
その通り。今は事実伝達と栄養補給、安定後に教育的介入を行う流れじゃ。
POINT
躁状態のAさんは活動亢進と注意散漫で食事摂取量が低下しています。看護師は淡々と摂取量不足の事実を伝えることで本人の注意を食事に向けるのが適切です。食事介助は身体的に不要、栄養指導は集中困難で拒否されやすく、自発的意欲を待つのは栄養不足を進行させるため不適切です。事実伝達と栄養補給を中心に、状態安定後の教育的介入へ段階的に進めることが重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病(depression)による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害(bipolar disorder)と診断され入院した。 入院後3日が経過した。Aさんは自分の病室にいることはほとんどなく、自宅や会社に頻繁に電話したり、デイルームでノートに書き続けるなど、いつも忙しそうに過ごしている。食事の時間も落ち着かず、摂取量は毎食1/3から1/4程度である。 看護師の対応で適切なのはどれか。
解説:正解は3です。躁状態のAさんは活動亢進と注意散漫により食事に集中できず、摂取量が必要量を大きく下回っています。躁状態では本人が空腹や疲労を自覚しにくく、エネルギー消費が増大しているため、栄養不足から脱水や体力消耗をきたしやすい状態です。看護師は躁状態の患者に対して『淡々と事実を伝える』アプローチが有効で、食事摂取量が不足しているという客観的事実を伝えることで、本人の注意を食事に向けてもらうことが可能です。説得や指導、感情に訴える関わりは興奮を増幅させるため避け、事実伝達による行動修正を促すのが適切です。
選択肢考察
-
× 1. Aさんの食事を介助する。
Aさんは32歳で身体的障害はなく食事介助の必要はありません。介助はかえって本人の自尊心を損ねたり拒絶を招く可能性があります。
-
× 2. Aさんが栄養指導を受けられるよう調整する。
躁状態では集中して指導を受けることが困難で、病識欠如から拒否される可能性が高く、現時点では適切ではありません。
-
○ 3. Aさんに食事の摂取量が不足している事実を伝える。
淡々と客観的事実を伝えることで本人の注意を食事に向けることができ、躁状態の患者への有効な関わり方です。
-
× 4. Aさんが自分から食事をしたい気持ちになるのを待つ。
躁状態では空腹感や疲労の自覚が乏しく、自発的に食事をしたい気持ちになりにくいため、待つだけでは栄養不足が進行します。
躁状態の患者は活動亢進・睡眠欲求減少・空腹感の自覚低下によって食事・水分・休息が不足しがちです。看護では、短時間で淡々と事実を伝える、食べやすい形態(おにぎり・サンドイッチ等)を用意する、活動の合間にこまめに摂取を促す、必要時は補食や栄養補助食品を活用する、体重・水分バランス・電解質をモニタリングするなどが重要です。状態安定後に栄養指導を行うことが効果的です。
躁状態の患者の食事摂取低下に対する適切な看護介入を選択できるかを問う問題です。
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