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うつ病回復期で最優先の観察項目

看護師国家試験 第104回 午後 第110問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

104回 午後 第110問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病(depression)と診断された。 入院後2か月。Aさんと夫は主治医と面接し、Aさんは2週後に自宅への退院を目指すことになった。それ以来、Aさんは積極的に病院から自宅への外出を繰り返すようになったが、夕方に外出から戻ってくるとすぐにベッドに入り臥床していることが多くなった。 うつ病(depression)の回復期にあるAさんについて情報収集する項目で優先度が高いのはどれか。

  1. 1.希死念慮の確認
  2. 2.外出時の食事内容
  3. 3.外出時の服薬状況
  4. 4.Aさんの家庭の経済状況

対話形式の解説

博士 博士

学生さん、Aさんは退院に向けて外出を繰り返すが、戻ると臥床が増えておる。何を優先して情報収集する?

アユム アユム

回復期は注意が必要と聞きました。何が一番危険なのでしょうか?

博士 博士

回復期はな、症状改善で行動力が戻る一方で抑うつ気分が完全には消えておらん時期じゃ。

アユム アユム

だから自殺企図が起こりやすいのですね。

博士 博士

さよう。「dangerous improvement」と呼ばれて、極期よりも回復期に自殺が多いのじゃ。

アユム アユム

Aさんの臥床増加もサインかもしれませんね。

博士 博士

外出後に疲れて臥床するのは身体的疲労かもしれぬが、絶望感の再燃かもしれぬ。

アユム アユム

希死念慮の確認が最優先ですね。

博士 博士

その通り。気持ちの変化、自殺の手段や計画の具体性、これまでの企図歴、家族のサポート体制を評価するのじゃ。

アユム アユム

食事内容の確認は?

博士 博士

栄養管理として大事じゃが生命の緊急性では希死念慮には及ばぬ。

アユム アユム

服薬状況は?

博士 博士

継続服薬は治療上重要じゃ。希死念慮が強ければ過量服薬の予防も含めて介入を強化する。じゃが優先度では希死念慮確認が先じゃ。

アユム アユム

経済状況はどうですか?

博士 博士

情報がないし、現時点で優先する項目ではない。退院後の生活設計の中で必要に応じて評価するんじゃ。

アユム アユム

評価ツールはありますか?

博士 博士

SAD PERSONS scaleなどがあるぞ。性別、年齢、抑うつ、企図歴、アルコール、合理的思考喪失、社会的支援、計画の有無、配偶者の有無、病気の項目で点数化するのじゃ。

アユム アユム

外出前後の声かけと観察を強化します。

博士 博士

ご家族にも自殺サインの伝え方を共有するんじゃぞ。

POINT

うつ病の回復期は症状改善とともに自殺企図のリスクが急上昇する「危険な改善」の時期として知られ、退院前外出や試験外泊の前後は特に注意が必要です。Aさんの臥床増加は心身の疲労や抑うつ再燃のサインの可能性があり、希死念慮の確認が最優先となります。食事内容、服薬状況、経済状況も重要ではありますが、生命に直結する自殺リスク評価より優先度は低くなります。家族支援と評価ツールの活用で安全な退院につなげていきます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病(depression)と診断された。 入院後2か月。Aさんと夫は主治医と面接し、Aさんは2週後に自宅への退院を目指すことになった。それ以来、Aさんは積極的に病院から自宅への外出を繰り返すようになったが、夕方に外出から戻ってくるとすぐにベッドに入り臥床していることが多くなった。 うつ病(depression)の回復期にあるAさんについて情報収集する項目で優先度が高いのはどれか。

解説:正解は1です。うつ病の回復期は意欲や行動力が戻る一方で抑うつ気分が完全に消失していないため、自殺企図のリスクが最も高まる時期として知られています。Aさんは外出後に臥床が増えており、心身の疲労や絶望感の再燃が懸念されるため、希死念慮の確認を最優先で行う必要があります。

選択肢考察

  1. 1.  希死念慮の確認

    うつ病の回復期は症状改善で行動力が戻る一方、自己否定感や絶望感が残存していることが多く、自殺企図のリスクが急上昇する時期です。Aさんの臥床増加は気分の落ち込みを示唆するサインの可能性もあり、希死念慮の確認が最優先となります。

  2. × 2.  外出時の食事内容

    食事内容の確認は栄養管理上必要ではあるものの、生命に直結する自殺リスク評価よりは優先度が低くなります。回復期では食欲も改善している場合が多いです。

  3. × 3.  外出時の服薬状況

    服薬の継続は治療上重要ですが、希死念慮による直接的な生命の危険ほど緊急性は高くありません。希死念慮が確認されれば過量服薬の予防も含め介入を強化します。

  4. × 4.  Aさんの家庭の経済状況

    経済状況に関する訴えや情報は提示されておらず、現時点で優先する項目ではありません。退院後の生活設計の中で必要に応じて評価します。

うつ病の自殺企図は前駆期、極期よりも回復期に多いことが古くから知られ、「dangerous improvement(危険な改善)」と呼ばれます。退院前外出や試験外泊の前後は特に注意が必要で、希死念慮の有無、自殺の手段や計画の具体性、これまでの自殺企図歴、家族のサポート体制を評価します。SAD PERSONS scaleなどの自殺リスク評価ツールも活用されます。

うつ病回復期に自殺企図リスクが高まることを理解し、優先度の高い観察項目を選択できるかを問う問題です。