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成人ADHDで職場に出やすい症状は?

看護師国家試験 第110回 午前 第112問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

110回 午前 第112問

Aさん( 19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害<ADHD>( attention-deficit/hyperactivity disorder )と診断された。 職場でAさんにみられる可能性が高い行動はどれか。

  1. 1.仕事中に突然意識を失って倒れる。
  2. 2.退勤時に戸締りの確認を繰り返す。
  3. 3.集中して仕事をすることができない。
  4. 4.状況にふさわしくない単語の発声を繰り返す。

対話形式の解説

博士 博士

今回は19歳のAさんが職場で示す行動を考えるのじゃ。

アユム アユム

ADHDと診断されたとありますね。中核症状は何でしたっけ。

博士 博士

不注意・多動性・衝動性の三つじゃ。

アユム アユム

Aさんは幼少期から忘れ物や遅刻が多かったので、不注意が強そうですね。

博士 博士

そのとおり。成人期になると多動は目立たなくなり、不注意の方が前に出ることが多いぞい。

アユム アユム

選択肢1の『突然意識を失う』はてんかんや失神ですよね。

博士 博士

そうじゃ。ADHDでは意識障害は中核症状ではない。

アユム アユム

選択肢2の『戸締りの確認を繰り返す』は強迫症ですね。

博士 博士

うむ。不合理とわかっていてもやめられない強迫行為が典型じゃ。

アユム アユム

選択肢4の『不適切な発声を繰り返す』は音声チックですか。

博士 博士

そうじゃ、トゥレット症候群などが典型的じゃのう。

アユム アユム

すると残る選択肢3の『集中して仕事ができない』がADHDの不注意に合致しますね。

博士 博士

正解じゃ。Aさんは叱責後に無断欠勤も増えておる。これは不注意による失敗の連続で自己効力感が下がった二次的な反応と考えられる。

アユム アユム

背景まで読むと、支援のヒントが見えてきますね。

POINT

成人ADHDでは多動より不注意症状が職場不適応の主因となります。Aさんの生育歴は幼少期からの忘れ物・遅刻・集中困難を示しており、典型的な不注意優位のADHD像です。意識消失や確認行為の反復、音声チックはそれぞれ別の疾患の症状であり、ADHDの中核とはいえません。したがって『集中して仕事をすることができない』が最も可能性が高い行動となります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん( 19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害<ADHD>( attention-deficit/hyperactivity disorder )と診断された。 職場でAさんにみられる可能性が高い行動はどれか。

解説:正解は3です。ADHDの中核症状は不注意・多動性・衝動性であり、成人期では特に不注意が前面に出やすくなります。Aさんは幼少期から忘れ物や遅刻、授業への集中困難があり、成人後も仕事上のミスが生じていることから、職場でも集中が続かず業務を持続できない行動がみられる可能性が高いと考えられます。

選択肢考察

  1. × 1.  仕事中に突然意識を失って倒れる。

    突然意識を失うのはてんかん、ナルコレプシー、失神などで生じる症状で、ADHDの中核症状には含まれません。

  2. × 2.  退勤時に戸締りの確認を繰り返す。

    確認行為の反復は強迫観念に基づく強迫行為であり、強迫症(強迫性障害)に特徴的な症状です。

  3. 3.  集中して仕事をすることができない。

    注意の持続困難はADHDの不注意症状の代表であり、成人でも職務上のミスや業務遂行の遅延として現れやすい行動です。

  4. × 4.  状況にふさわしくない単語の発声を繰り返す。

    不適切な発声を繰り返す症状は音声チック(トゥレット症候群など)に特徴的であり、ADHDの中核症状ではありません。

成人期のADHDでは、多動は内的な落ち着きのなさとして残りやすく、不注意症状が職場不適応の主因となりやすいのが特徴です。具体的には書類の紛失、締切遅延、会議中の上の空、マルチタスクの失敗などがみられます。治療はメチルフェニデート徐放錠やアトモキセチン、グアンファシンなどの薬物療法と、環境調整・認知行動療法を組み合わせるのが一般的です。

ADHDの中核症状(不注意・多動性・衝動性)を他疾患の症状と区別できるかを問う問題です。成人ADHDでは不注意症状が職場での困難として顕在化しやすい点が鍵です。