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覚せい剤依存における精神依存のアセスメントを理解しよう

看護師国家試験 第110回 午後 第111問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

110回 午後 第111問

Aさん( 32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。 入院後1か月、Aさんは「正直に言うと、今も覚せい剤を使いたいという気持ちがある。もし誘いがあったら、使いたい気持ちを抑えきれないだろう」と悩みを打ち明けた。 Aさんの状態のアセスメントとして適切なのはどれか。

  1. 1.否認
  2. 2.共依存
  3. 3.身体依存
  4. 4.精神依存
  5. 5.離脱症状

対話形式の解説

博士 博士

今日は覚せい剤を常用していたAさんの事例じゃ。入院1か月で「使いたい気持ちが抑えられない」と訴えておるぞ。

サクラ サクラ

身体症状ではなく気持ちの訴えですね。

博士 博士

そうじゃ。ここで身体依存と精神依存の違いを押さえる必要があるのう。

サクラ サクラ

身体依存は止めると振戦や発汗など身体症状が出るやつですよね。

博士 博士

その通り。一方の精神依存は薬物への強い渇望、つまり「欲しくてたまらない」気持ちが続く状態じゃ。

サクラ サクラ

では覚せい剤はどちらが強いんですか。

博士 博士

覚せい剤は精神依存が極めて強く、身体依存は乏しいのが特徴じゃよ。

サクラ サクラ

なるほど、Aさんの訴えはまさに渇望ですね。

博士 博士

選択肢1の否認は現実を認めない防衛機制。Aさんは率直に語っておるから違うのう。

サクラ サクラ

共依存は家族側の問題ですよね。

博士 博士

うむ。離脱症状は中止直後の身体症状じゃから、1か月経過した渇望とは異なる。

サクラ サクラ

つまり正解は4の精神依存ですね。

博士 博士

その通り。覚せい剤の恐ろしさはフラッシュバックにもあるから、退院後の自助グループ参加が重要じゃぞ。

POINT

本問は薬物依存の概念整理を問う問題です。精神依存は薬物への渇望、身体依存は中止時の身体症状という違いを押さえましょう。覚せい剤は精神依存が強く身体依存が乏しい代表的薬物です。Aさんの「使いたい気持ちを抑えきれない」は渇望の典型例であり、精神依存の状態と判断します。治療は認知行動療法や自助グループの活用が鍵となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん( 32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。 入院後1か月、Aさんは「正直に言うと、今も覚せい剤を使いたいという気持ちがある。もし誘いがあったら、使いたい気持ちを抑えきれないだろう」と悩みを打ち明けた。 Aさんの状態のアセスメントとして適切なのはどれか。

解説:正解は4の精神依存です。Aさんは入院後1か月が経過し、身体的な離脱症状は落ち着いているはずですが、それでも「覚せい剤を使いたい」という強い渇望を言語化しており、薬物への精神的な欲求、すなわち精神依存の状態にあるとアセスメントできます。

選択肢考察

  1. × 1.  否認

    否認は受け入れがたい現実から自分を守るために無意識に事実を認めない防衛機制ですが、Aさんはむしろ自分の欲求を率直に言語化しており、否認には該当しません。

  2. × 2.  共依存

    共依存は依存症者の周囲の人が「世話をすること」に存在価値を見いだし依存関係を維持してしまう状態で、本人の薬物への渇望を示すAさんの訴えとは異なる概念です。

  3. × 3.  身体依存

    身体依存は薬物中止時に発汗、振戦、不眠などの身体症状が生じる状態を指します。覚せい剤は精神依存が強く身体依存は乏しいとされ、今回の訴えも欲求であり身体症状ではありません。

  4. 4.  精神依存

    薬物なしではいられず渇望が生じる状態が精神依存です。Aさんの「抑えきれないだろう」という発言は典型的な渇望であり、精神依存のアセスメントが妥当です。

  5. × 5.  離脱症状

    離脱症状は薬物中止後に出現する身体的・精神的症状を指しますが、覚せい剤は身体依存が乏しく顕著な離脱症状は起こりにくく、入院1か月の時点での欲求訴えは離脱症状とは言えません。

覚せい剤はドパミン作動性の中枢神経刺激薬で、強い精神依存とフラッシュバック、覚せい剤精神病(幻覚・妄想)を起こしやすい点が特徴です。治療には断薬だけでなく、再使用を招く思考パターンに介入する認知行動療法的アプローチ(SMARPPなど)や自助グループ(NA)の活用が有効です。

薬物依存における精神依存・身体依存・離脱症状・否認・共依存の概念の違いを、事例の発言から正確に判別できるかを問う問題です。