心の防衛機制を見抜こう!反動形成ってどんなもの?
看護師国家試験 第109回 午後 第65問 / 精神看護学 / 精神看護の対象理解と支援
国試問題にチャレンジ
飲酒したい欲求を抑圧した人が、酩酊状態の人の行動を必要以上に非難する防衛機制はどれか。
- 1.昇華
- 2.転換
- 3.合理化
- 4.反動形成
対話形式の解説
博士
今日は防衛機制の問題じゃ。フロイトが提唱し、娘のアンナ・フロイトが体系化した、不安から心を守る無意識のメカニズムじゃ。
サクラ
よく聞く言葉ですが、それぞれ違いがよくわかりません。
博士
では一つずつ整理しよう。問題にある「反動形成」は、抑圧された欲求とは正反対の行動を強く示す機制じゃ。
サクラ
飲酒したい人が、お酒を飲む人を必要以上に非難する、というのが例なんですね。
博士
そう。本当は自分も飲みたいのじゃが、その欲求を認めたくないから、逆にお酒に対して攻撃的になる。これが反動形成じゃ。
サクラ
なるほど、正反対の行動で心を守るんですね。
博士
そう、そして反動形成は「わざとらしさ」「過剰さ」が特徴じゃ。普通の人なら「飲まないようにしている」で終わるところを「飲酒は絶対悪だ!」と過剰に訴えるようなイメージじゃな。
サクラ
昇華はどう違うんですか?
博士
昇華は受け入れがたい衝動を、芸術やスポーツ、学問などの社会的に価値ある活動に向ける機制じゃ。攻撃的な欲求を格闘技に向ける、みたいな。最も成熟した防衛機制とされる。
サクラ
合理化は?
博士
イソップ童話の「酸っぱい葡萄」が典型例じゃ。届かなかった葡萄を「どうせ酸っぱいさ」と言って諦める。もっともらしい理由をつけて自分を納得させるのが合理化じゃな。
サクラ
転換は身体症状が出るやつですよね。
博士
そう、心的葛藤が麻痺や失声、感覚鈍麻などの身体症状として表出される。転換性障害の機序じゃ。
サクラ
他にもたくさんありそうですね。
博士
投影、退行、置き換え、同一化、知性化、否認、抑圧…あげればキリがないが、国試で頻出なのは昇華・合理化・反動形成・転換・投影あたりじゃ。
サクラ
投影ってどんなものですか?
博士
自分の受け入れがたい感情を他者のものと捉える機制じゃ。たとえば自分が嫌っているのに「あの人は私を嫌っている」と感じる、みたいな。被害妄想の背景にもあるのじゃ。
サクラ
看護ではどう活かすんですか?
博士
患者の怒りや否認を「問題行動」とだけ見ず、その背景にある不安や恐怖を理解するために使うのじゃ。防衛機制を知ることで、患者の言動の奥にある感情に共感できるのじゃよ。
POINT
反動形成は抑圧された衝動とは正反対の態度や行動を過度に示す防衛機制で、飲酒したい欲求を抑えて飲酒を過度に非難するのはその典型例です。防衛機制はフロイトが提唱し体系化された、不安から自我を守る無意識のメカニズムで、昇華・合理化・転換・投影・退行・抑圧など多数があります。昇華は社会的に価値ある活動への転化で最も成熟した機制、合理化はもっともらしい理由付け、転換は身体症状化、投影は自分の感情を他者に帰属させるといった違いを整理すると理解が進みます。看護師、特に精神看護においては、患者の表面的な言動の裏にある不安や葛藤を防衛機制の視点から捉えることで、共感的な関わりと治療的コミュニケーションが可能になります。国試ではシチュエーション文から機制を判別させる形式が定番ですので、各機制の具体例を結びつけて覚えることが重要です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:飲酒したい欲求を抑圧した人が、酩酊状態の人の行動を必要以上に非難する防衛機制はどれか。
解説:正解は 4 です。反動形成は、抑圧された衝動と正反対の態度・行動を意識的に強調することで不安を軽減する防衛機制である。本問では「飲酒したい欲求」という受け入れがたい衝動を抑圧し、その反対である「飲酒を過度に非難する」という行動として表出している典型例である。反動形成はどこか不自然でわざとらしく、過剰な強調を伴うのが特徴である。
選択肢考察
-
× 1. 昇華
性的・攻撃的などの社会的に受け入れられにくい欲求を、芸術・スポーツ・学問など社会的価値のある活動に向ける成熟した防衛機制。本問のように正反対の行動で現れるものではない。
-
× 2. 転換
心的葛藤が身体症状(麻痺・失声・感覚鈍麻など)として表出される機制。転換性障害の病態機序。本問は身体症状ではないため該当しない。
-
× 3. 合理化
満たされない欲求や失敗に対してもっともらしい理由をつけて正当化する機制。イソップ童話「酸っぱい葡萄」が典型例。反対の行動をとるのではない。
-
○ 4. 反動形成
抑圧された衝動とは正反対の態度や行動を過度に示す機制。飲酒したい欲求を抑えて飲酒を過度に非難するのは反動形成の典型例である。
防衛機制はフロイトが提唱しアンナ・フロイトが体系化した、不安から自我を守るための無意識的な心的メカニズム。主なものに①抑圧:受け入れがたい欲求を無意識に押し込める、②否認:事実を認めない、③投影:自分の感情を他者のものと捉える、④退行:より幼い段階の行動に戻る、⑤反動形成:正反対の行動、⑥合理化:もっともらしい理由づけ、⑦置き換え:対象を別の安全な対象に向ける、⑧同一化:他者の特徴を取り入れる、⑨昇華:社会的に価値ある活動に向ける、⑩知性化:感情を切り離して理屈で扱う、などがある。昇華は最も成熟した防衛機制とされる。看護・精神看護では患者の言動の背景にある機制を理解することが、共感的な関わりに不可欠である。
防衛機制の種類と具体例を結びつける定番問題。「抑圧された衝動と正反対の行動」という表現がキーワード。
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