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前立腺癌術後の放射線外部照射と皮膚ケア

看護師国家試験 第113回 午後 第118問 / 成人看護学 / がん看護

国試問題にチャレンジ

113回 午後 第118問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(72歳、男性)は、妻と2人暮らしで子どもはいない。定年後は2人で旅行するのが趣味であった。Aさんは、1か月前から残尿感や夜間頻尿が気になり病院を受診した結果、前立腺癌(prostate cancer)と診断され根治的前立腺摘出手術を受けた。退院後は、手術後の補助療法として、外来で放射線の外照射療法を行うことになっている。 放射線外来の看護師が行うAさんへの説明で正しいのはどれか。

  1. 1.「入浴直後に照射部位の観察をしましょう」
  2. 2.「照射後は照射部位に冷湿布を貼りましょう」
  3. 3.「照射部位の皮膚は乾燥させておきましょう」
  4. 4.「照射部位は強くこすらないようにしましょう」

対話形式の解説

博士 博士

さて今度は72歳のAさんじゃ。前立腺癌で根治術を受け、外来で外部照射療法を始めるところじゃぞ。

アユム アユム

放射線治療中のスキンケアってよく聞きますが、具体的にはどう指導すればいいんですか?

博士 博士

まずは放射線皮膚炎のメカニズムを押さえるとよい。照射で基底細胞の再生能が落ち、発赤・乾燥・瘙痒・水疱と段階的に悪化していくのじゃ。

アユム アユム

じゃあ刺激を避けることが大事なんですね。選択肢1の『入浴直後に観察』はどうでしょう。

博士 博士

お風呂上がりは血管が拡張して皮膚が赤くなっておるから、皮膚炎の発赤と見分けがつかぬぞ。入浴直後限定の観察はおすすめできん。

アユム アユム

選択肢2の『冷湿布を貼る』は気持ち良さそうですが…。

博士 博士

湿布は粘着剤やメントールで刺激になるし、剥がす時にもダメージが入る。金属や厚い貼付物は線量分布にも影響するからダメじゃ。

アユム アユム

選択肢3の『乾燥させておく』は?

博士 博士

照射部位はもともと乾燥しやすい。乾かすとかえって皮膚炎が悪化する。処方された保湿剤を使ってしっとり保つのが正解じゃ。

アユム アユム

となると選択肢4の『強くこすらない』が正解ですね。

博士 博士

その通り。機械的刺激は皮膚炎悪化の最大要因じゃ。泡で優しく洗い、タオルは押さえ拭きが基本じゃぞ。

アユム アユム

ナイロンタオルはダメなんですね。綿素材の下着も良さそうですね。

博士 博士

うむ、直射日光や熱いお湯、自己判断の軟膏や絆創膏も避ける。照射マーカーを自分で消さないのも大事じゃ。

アユム アユム

患者さんに具体的に伝えられるよう、覚えておきます。

POINT

本問は放射線外部照射中の皮膚ケアの基本原則を問う問題です。正解は選択肢4で、『照射部位を強くこすらない』という機械的刺激回避が核となります。放射線皮膚炎は照射累積量とともに進行し、刺激を受けると容易に悪化するため、優しい洗浄・押さえ拭き・柔らかい衣類・保湿・直射日光回避といった多面的な指導が重要です。逆に入浴直後の観察限定、冷湿布貼付、乾燥維持はいずれも誤りで、臨床では看護師が患者の生活習慣に合わせて具体的な回避行動を一緒に考えることが求められます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(72歳、男性)は、妻と2人暮らしで子どもはいない。定年後は2人で旅行するのが趣味であった。Aさんは、1か月前から残尿感や夜間頻尿が気になり病院を受診した結果、前立腺癌(prostate cancer)と診断され根治的前立腺摘出手術を受けた。退院後は、手術後の補助療法として、外来で放射線の外照射療法を行うことになっている。 放射線外来の看護師が行うAさんへの説明で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。放射線外部照射中の皮膚は、細胞の再生能低下により乾燥・発赤・瘙痒感・水疱・びらんなど放射線皮膚炎を起こしやすい状態になっています。照射部位の皮膚は物理的刺激に極めて脆弱で、ゴシゴシこする、熱い湯に長時間つかる、ナイロンタオルで洗う、テープを貼るなどの行為はバリア機能を破綻させ皮膚炎を悪化させます。したがって、入浴時も泡で優しく洗い、タオルで押さえるように拭くといった『こすらない』ケアが標準的な指導内容となります。

選択肢考察

  1. × 1.  「入浴直後に照射部位の観察をしましょう」

    入浴直後は血管拡張により皮膚が一時的に発赤しているため、放射線皮膚炎による発赤との鑑別が困難です。観察は血行が落ち着いた状態で行うのが望ましく、入浴直後に限定する指導は不適切です。

  2. × 2.  「照射後は照射部位に冷湿布を貼りましょう」

    湿布に含まれるメントールや粘着剤、貼り剥がす際の機械的刺激が脆弱な皮膚をさらに傷害します。さらに金属成分や厚手の貼付物は次回の照射線量分布にも影響しうるため、自己判断での貼付は避けるべきです。

  3. × 3.  「照射部位の皮膚は乾燥させておきましょう」

    照射部位は元々乾燥に傾きやすく、乾燥が進むと瘙痒・亀裂・皮膚炎の悪化につながります。医師・薬剤師に確認したうえで適切な保湿剤を用い、しっとりと保つケアが推奨されます。

  4. 4.  「照射部位は強くこすらないようにしましょう」

    機械的刺激は放射線皮膚炎を悪化させる最大の要因の一つです。泡で優しく洗い、タオルは押さえ拭き、衣類は柔らかい綿素材にするなど、摩擦を最小限にする指導が正しい対応です。

放射線皮膚炎は累積線量とともに進行し、CTCAEでGrade1(淡い発赤・乾性落屑)からGrade4(潰瘍・壊死)まで段階があります。日常指導のポイントは、1)弱酸性石鹸と泡で優しく洗う、2)熱い湯・長湯を避けぬるま湯で短時間、3)ナイロンタオルや硬いブラシを避ける、4)照射マーカーは自己消去しない、5)絆創膏・湿布・香料入り軟膏を自己判断で使わない、6)直射日光や冷風・温風の強い刺激を避ける、7)処方された保湿剤を照射前後に塗布する、など。これらは他部位照射でも共通する基本です。

放射線外部照射に伴う皮膚有害事象の基本ケアを問う問題で、照射部位には機械的刺激を避けることが最重要である点が問われています。