38歳終末期Aさんの在宅移行、誰を呼ぶ?
看護師国家試験 第110回 午前 第89問 / 成人看護学 / 終末期看護
国試問題にチャレンジ
Aさん( 38歳、女性)は、大腸癌( colon cancer )の終末期である。癌性腹膜炎( cancerous peritonitis )による症状緩和の目的で入院し、鎮痛薬の静脈内注射と高カロリー輸液が開始された。Aさんは自宅で過ごしたいと希望したため、医師と看護師で検討し、症状緩和をしながら自宅退院の方向で退院支援カンファレンスを開催することになった。 退院支援カンファレンスの参加者で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 1.薬剤師
- 2.言語聴覚士
- 3.臨床検査技師
- 4.介護支援専門員
- 5.ソーシャルワーカー
対話形式の解説
博士
Aさんは38歳の大腸癌終末期じゃ。自宅で過ごしたいと希望しておる
サクラ
静注鎮痛薬と高カロリー輸液を続けながらの退院なんですね
博士
そこが重要じゃ。在宅でもこの薬剤管理が必要になる
サクラ
薬剤師の参加が必要そうですね
博士
その通り。オピオイドの持続静注や配合変化、副作用管理は薬剤師の専門じゃ
サクラ
介護支援専門員はどうですか。末期がんは特定疾病ですよね
博士
確かに末期がんは介護保険の特定疾病じゃ。しかしAさんは38歳で介護保険の対象外なんじゃ
サクラ
40歳以上でないと第2号被保険者にならないんですね
博士
その通り。だから訪問看護などは医療保険で調整する
サクラ
その場合、誰がコーディネートするんですか
博士
医療ソーシャルワーカー、MSWじゃ。経済面や社会資源、訪問看護ステーションとの連携を担う
サクラ
言語聴覚士はどうですか
博士
Aさんには嚥下や言語の問題が記載されておらんから優先度は低い
サクラ
臨床検査技師は
博士
検査結果は医師と看護師が共有するから、カンファレンス参加は一般的ではない
サクラ
在宅移行で大事なポイントは何ですか
博士
24時間連絡体制、訪問診療と訪問看護の確保、家族レスパイトの準備じゃな
サクラ
MSWが窓口となって繋げるんですね
博士
そう。多職種が有機的に連携して初めて在宅看取りが実現するぞ
POINT
在宅移行支援のカンファレンスでは、患者の病態と制度的位置づけを踏まえた職種選定が重要です。Aさんは38歳で介護保険対象外のため介護支援専門員は介入できず、静注鎮痛薬と高カロリー輸液の管理を担う薬剤師、経済・社会資源・訪問看護の調整を担うMSWが最優先となります。言語聴覚士や臨床検査技師は状況に応じて参加する補助的職種です。多職種協働で安心な在宅療養を実現します。
解答・解説
正解は 1 ・ 5 です
問題文:Aさん( 38歳、女性)は、大腸癌( colon cancer )の終末期である。癌性腹膜炎( cancerous peritonitis )による症状緩和の目的で入院し、鎮痛薬の静脈内注射と高カロリー輸液が開始された。Aさんは自宅で過ごしたいと希望したため、医師と看護師で検討し、症状緩和をしながら自宅退院の方向で退院支援カンファレンスを開催することになった。 退院支援カンファレンスの参加者で適切なのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は1と5です。Aさんは38歳で介護保険の第2号被保険者ですが、末期がんは特定疾病に該当するため介護保険サービスは利用可能です。ただし、設問では静注鎮痛薬と高カロリー輸液の在宅継続が課題となっており、薬剤管理を担う薬剤師と在宅支援のコーディネートを行うソーシャルワーカー(MSW)の参加が最優先で適切です。
選択肢考察
-
○ 1. 薬剤師
在宅でオピオイド持続静注や高カロリー輸液を継続するには、薬剤の調製・配合変化・副作用管理が不可欠です。薬剤師は処方計画と在宅薬局との連携、疼痛コントロールの調整に関与するため参加が適切です。
-
× 2. 言語聴覚士
言語聴覚士は構音障害・失語症・嚥下障害のリハビリを担う専門職です。Aさんに言語・嚥下の問題は記載されていないため、優先的な参加者ではありません。
-
× 3. 臨床検査技師
臨床検査技師は検体検査や生理検査を担当する職種で、検査結果は医師・看護師が共有します。退院支援カンファレンスに直接参加する必要性は低いです。
-
× 4. 介護支援専門員
末期がんは介護保険の特定疾病に該当し40歳以上なら介護支援専門員の関与が適切ですが、Aさんは38歳で介護保険の対象外です。訪問看護などは医療保険で調整するためMSWの役割が中心となります。
-
○ 5. ソーシャルワーカー
医療ソーシャルワーカーは患者・家族の経済面・社会資源活用・訪問看護やホスピス連携などを調整します。在宅移行の全体コーディネートを担う中心的な職種としてカンファレンスに不可欠です。
介護保険は原則65歳以上(第1号)と40〜64歳の特定疾病該当者(第2号)が対象で、末期がんは特定疾病に含まれますが、40歳未満のAさんは対象外となります。在宅移行には訪問看護・訪問診療・薬局の在宅対応、24時間連絡体制の確保、家族レスパイトの準備が鍵となり、MSWが窓口となって各機関を結びます。
在宅移行に必要な多職種連携のなかから、患者の年齢・状況に応じて最も優先される職種を選べるかを問う問題です。
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