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満月様顔貌から考えるホルモン分泌臓器

看護師国家試験 第105回 午後 第45問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第45問

Aさん(37歳、女性)は、月経異常で病院を受診し、糖尿病(diabetes mellitus)および高血圧症(hypertension)と診断された。また、満月様顔貌や中心性肥満の身体所見がみられたため検査が行われ、ホルモン分泌異常と診断された。 原因となるホルモンを分泌している臓器はどれか。

  1. 1.副甲状腺
  2. 2.甲状腺
  3. 3.副腎
  4. 4.卵巣

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさん37歳女性の事例じゃ。月経異常で受診し、糖尿病と高血圧が見つかり、さらに満月様顔貌と中心性肥満があるというパターンじゃ。

サクラ サクラ

博士、この症状の組み合わせはなんだか特徴的ですね。

博士 博士

その通りじゃ。満月様顔貌、つまりムーンフェイスと中心性肥満といえばクッシング症候群の代表症状じゃぞ。

サクラ サクラ

クッシング症候群の原因ホルモンは何ですか?

博士 博士

副腎皮質から分泌されるコルチゾールじゃ。糖質コルチコイドとも呼ばれ、糖新生を促進して血糖を上げ、脂肪を体幹に再分布させ、血圧を上げ、性腺機能を抑えるのじゃ。

サクラ サクラ

だから糖尿病、高血圧、月経異常、中心性肥満がそろうんですね。

博士 博士

そういうことじゃ。コルチゾールの作用を思い浮かべれば、すべての症状が説明できるのじゃよ。正解は選択肢3の『副腎』じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1『副甲状腺』はどんなホルモンですか?

博士 博士

パラソルモン、PTHじゃ。血中カルシウム濃度を上げるホルモンで、機能亢進では高Ca血症、骨粗鬆症、尿路結石が出る。Aさんの症状とは違うのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢2『甲状腺』は?

博士 博士

甲状腺ホルモンT3・T4は基礎代謝を亢進させる。バセドウ病では頻脈・体重減少・眼球突出が主症状で、満月様顔貌は出ないのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢4『卵巣』はどうでしょう?

博士 博士

卵巣はエストロゲンとプロゲステロンを分泌し、月経異常には関わるが、糖尿病や中心性肥満は説明できぬのじゃ。

サクラ サクラ

クッシング症候群の原因はどう分類されますか?

博士 博士

副腎腺腫や癌によるコルチゾール過剰が原発性、下垂体腺腫がACTHを過剰分泌してコルチゾールを増やすのがクッシング病、異所性ACTH産生腫瘍によるものもある。ステロイド長期内服による医原性もよく見るぞ。

サクラ サクラ

診断はどうするんですか?

博士 博士

血中コルチゾールとACTH、尿中遊離コルチゾール、デキサメサゾン抑制試験で確定する。治療は原因腫瘍の摘出が基本じゃ。

サクラ サクラ

クッシング症候群の4徴を教えてください。

博士 博士

満月様顔貌、中心性肥満、水牛様脂肪沈着、皮膚線条じゃ。国試ではこの組み合わせを覚えておけば即答できるぞ。

POINT

Aさんの満月様顔貌・中心性肥満・糖尿病・高血圧・月経異常はクッシング症候群の典型像で、原因ホルモンは副腎皮質から分泌されるコルチゾールです。コルチゾールは糖新生促進、脂肪再分布、血圧上昇などの作用を持ち、過剰分泌で多彩な症状を生じます。副腎皮質機能亢進症の症状群を副甲状腺・甲状腺・卵巣由来の疾患と鑑別する知識が問われます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん(37歳、女性)は、月経異常で病院を受診し、糖尿病(diabetes mellitus)および高血圧症(hypertension)と診断された。また、満月様顔貌や中心性肥満の身体所見がみられたため検査が行われ、ホルモン分泌異常と診断された。 原因となるホルモンを分泌している臓器はどれか。

解説:正解は 3 です。Aさんの満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、糖尿病、高血圧、月経異常という症状はクッシング症候群の典型像です。クッシング症候群は副腎皮質から分泌されるコルチゾール(糖質コルチコイド)の過剰分泌によって起こる疾患で、副腎腺腫・癌が原因の原発性と、下垂体腺腫によるACTH過剰分泌(クッシング病)が原因の続発性があります。コルチゾールは肝臓での糖新生促進、脂肪再分布、血圧上昇、性腺機能抑制などの作用を持ちます。

選択肢考察

  1. × 1.  副甲状腺

    副甲状腺はパラソルモン(PTH)を分泌し、血中カルシウム濃度を上昇させる(骨吸収促進、腎でのCa再吸収促進、ビタミンD活性化)臓器です。副甲状腺機能亢進症では高Ca血症、骨粗鬆症、尿路結石が生じます。Aさんの症状とは一致しません。

  2. × 2.  甲状腺

    甲状腺はT3・T4(甲状腺ホルモン)とカルシトニンを分泌します。甲状腺ホルモンは基礎代謝を亢進させ、バセドウ病では頻脈・体重減少・眼球突出などを示します。満月様顔貌や中心性肥満は甲状腺ホルモン異常では典型的ではありません。

  3. 3.  副腎

    副腎皮質からはコルチゾール(糖質コルチコイド)、アルドステロン(鉱質コルチコイド)、副腎性アンドロゲンが分泌されます。コルチゾール過剰によるクッシング症候群ではAさんのように満月様顔貌、中心性肥満、水牛様脂肪沈着、皮膚線条、糖尿病、高血圧、月経異常、骨粗鬆症などが現れます。

  4. × 4.  卵巣

    卵巣はエストロゲンとプロゲステロンを分泌し、二次性徴・月経周期・妊娠維持に関与します。卵巣機能異常では月経異常は生じますが、糖尿病や満月様顔貌、中心性肥満は典型症状ではありません。

クッシング症候群の4徴は満月様顔貌、中心性肥満、水牛様脂肪沈着(背部)、皮膚線条(腹部の赤紫色)です。検査では血中コルチゾール高値、ACTH高値(クッシング病)または低値(副腎性)、デキサメサゾン抑制試験で診断します。治療は原因腫瘍の摘出が基本です。鑑別すべき類似症状にステロイド長期投与による医原性クッシング症候群があります。

クッシング症候群の典型症状から原因ホルモンの分泌臓器を特定する問題です。副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の作用と内分泌臓器の鑑別知識が焦点です。