運動が苦手な高齢女性への運動指導
看護師国家試験 第104回 午後 第98問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(68歳、女性)は、2年前に高血圧症(hypertention)と診断され、カルシウム拮抗薬を服用している。高血圧をきっかけに、喫煙を1日30本から5本に減らし、飲酒を週3回から1回に減らした。また、減量に取り組み、2年間でBMIが25.5から22.9に変化した。Aさんは町の健康診査で骨密度が低下していることが分かり、整形外科を受診し骨粗鬆症(osteoporosis)と診断された。Aさんは「子どもができなかったし、夫もすでに亡くなりました。1人暮らしで家事は自分で行っているので、骨折や寝たきりの状態は困ります」と話した。 看護師がAさんに運動を勧めたところ、Aさんは「子どものころから運動は苦手で運動を続ける自信がない」と答えた。 指導の内容で最も適切なのはどれか。
- 1.歩行器を使って外出する。
- 2.腰背部の背屈運動をする。
- 3.介護予防サービスを利用する。
- 4.買い物のときに30分程度歩く。
対話形式の解説
博士
今日は骨粗鬆症患者への運動指導を考えるぞい。
アユム
Aさんは運動が苦手で続ける自信がないと話しています。
博士
継続できなければ意味がないからのう。実行可能性が大切じゃ。
アユム
歩行器はどうですか。
博士
Aさんは独居で家事も自立しとる。歩行器はまだ早く、むしろ自立度を下げてしまうぞい。
アユム
腰背部の背屈運動は背筋を伸ばすから良さそうですが。
博士
骨粗鬆症で過度の後屈は圧迫骨折を起こす危険がある。慎重に指導すべきじゃ。
アユム
介護予防サービスはどうでしょう。
博士
要支援状態ではないから現時点では時期尚早じゃのう。
アユム
買い物のときに30分歩くのは無理がなさそうですね。
博士
普段の生活に組み込めば運動という意識なく続けられる。荷重刺激と日光浴の効果も得られる。
アユム
日光浴はビタミンDですね。
博士
皮膚で活性型ビタミンDの前駆体が作られ、カルシウム吸収を助けるんじゃ。
アユム
食事はカルシウムだけでよいですか。
博士
ビタミンK、タンパク質、マグネシウムも大事じゃ。納豆や魚、緑黄色野菜をすすめよう。
アユム
転倒予防の環境整備も忘れずに。
博士
段差解消や手すり設置、夜間照明も重要なポイントじゃ。
POINT
骨粗鬆症患者への運動指導は荷重がかかる歩行が基本で、日常生活に取り込み継続できる方法が望ましいとされます。歩行器は自立度の高いAさんには不要で、過度な後屈運動は圧迫骨折リスクがあります。介護予防サービスは現時点で適応外です。買い物時の30分歩行は荷重・日光浴・ビタミンD合成促進の効果があり、運動嫌いの患者にも受け入れられやすい現実的な指導です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(68歳、女性)は、2年前に高血圧症(hypertention)と診断され、カルシウム拮抗薬を服用している。高血圧をきっかけに、喫煙を1日30本から5本に減らし、飲酒を週3回から1回に減らした。また、減量に取り組み、2年間でBMIが25.5から22.9に変化した。Aさんは町の健康診査で骨密度が低下していることが分かり、整形外科を受診し骨粗鬆症(osteoporosis)と診断された。Aさんは「子どもができなかったし、夫もすでに亡くなりました。1人暮らしで家事は自分で行っているので、骨折や寝たきりの状態は困ります」と話した。 看護師がAさんに運動を勧めたところ、Aさんは「子どものころから運動は苦手で運動を続ける自信がない」と答えた。 指導の内容で最も適切なのはどれか。
解説:正解は4の「買い物のときに30分程度歩く」です。Aさんは運動が苦手で継続に自信がないと表出しており、骨粗鬆症の予防・治療には荷重のかかる適度な運動が有効であることを踏まえると、日常生活動作に組み込みやすい歩行が最も実行可能性が高く継続しやすい指導内容となります。
選択肢考察
-
× 1. 歩行器を使って外出する。
Aさんは独居で家事を自立して行えており現時点で歩行障害はありません。歩行器の必要はなく、むしろ自立度を下げる可能性があります。
-
× 2. 腰背部の背屈運動をする。
骨粗鬆症患者で過度の腰背部後屈運動は脊椎圧迫骨折を誘発するリスクがあり、運動初心者にいきなり勧めるのは不適切です。
-
× 3. 介護予防サービスを利用する。
Aさんは要支援・要介護状態ではなく自立しており、まず生活の中で取り組める運動を提案する方が現状に適しています。
-
○ 4. 買い物のときに30分程度歩く。
日常の買い物に組み込む歩行は荷重刺激と日光暴露によるビタミンD合成促進の双方が期待でき、運動が苦手なAさんでも継続しやすい現実的な指導です。
骨粗鬆症の運動療法は、ウォーキング・体重負荷運動・軽い筋力トレーニング・バランス運動が推奨されます。1日30分程度を週数回行うのが目安です。日光浴によるビタミンD合成、カルシウム・ビタミンK・タンパク質摂取、転倒予防の住環境整備も併せて指導します。
対象者の特性に合わせた継続可能な運動指導を選択できるかを問う問題です。
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