子宮頸癌の進行期を決める検査
看護師国家試験 第105回 午前 第87問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系
国試問題にチャレンジ
Aさん(42歳、女性)は、2週前から腰痛と坐骨神経痛とを発症し整形外科で処方された鎮痛薬を内服している。帯下が増えて臭いもあるため婦人科を受診し、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)と診断された。 進行期を決めるためにAさんに行われる検査で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 1.ヒトパピローマウイルス検査
- 2.小腸内視鏡検査
- 3.腎盂尿管造影
- 4.脊髄造影
- 5.CT
対話形式の解説
博士
今日は子宮頸癌の進行期決定の検査じゃ。診断がついた後に病期を決める検査と、スクリーニング検査を区別する必要があるぞ。
サクラ
Aさんは42歳で腰痛と帯下増加で受診、子宮頸癌と診断されたんですね。
博士
そう。子宮頸癌の進行期はFIGO分類で決める。評価ポイントは原発腫瘍の大きさ、骨盤壁・膀胱・直腸・腟への浸潤、リンパ節転移、遠隔転移の5つじゃ。
サクラ
正解は3の腎盂尿管造影と5のCTですね。なぜ腎盂尿管造影?
博士
子宮頸癌が進行し骨盤壁まで達すると尿管を圧迫して水腎症を起こす。水腎症があればⅢB期と判定される重要な所見じゃ。
サクラ
CTは何を見るんですか?
博士
リンパ節転移、肝臓・肺への遠隔転移、骨盤内浸潤の範囲を評価する。MRIも局所浸潤の詳細評価に使われるぞ。
サクラ
HPV検査は使わないんですか?
博士
HPV検査は頸癌のスクリーニングや発がんリスク評価に使うもので、すでに診断がついた後の進行期決定には使わん。
サクラ
小腸内視鏡や脊髄造影は?
博士
子宮頸癌の進行期決定では使わない。小腸転移はまれで、脊髄造影は脊柱管内病変の評価じゃ。Aさんの腰痛・坐骨神経痛は癌と直接関係ない可能性もある。
サクラ
FIGO分類の概要を教えてください。
博士
Ⅰ期は頸部に限局、Ⅱ期は頸部を超えるが骨盤壁・腟下1/3に達しない、Ⅲ期は骨盤壁・腟下1/3・水腎症・所属リンパ節転移、Ⅳ期は膀胱直腸浸潤や遠隔転移じゃ。
サクラ
組織型はどうですか?
博士
扁平上皮癌が約7割、腺癌が約2割。近年は腺癌の割合が増えておる。
サクラ
原因は?
博士
ほぼ全例がHPV持続感染じゃ。特に16型・18型が高リスク型として重要じゃ。
サクラ
予防はHPVワクチンと検診ですね。
博士
そう。日本ではHPVワクチン接種の積極的勧奨が2022年から再開された。20歳以上の女性は2年に1回の子宮頸がん検診が推奨される。
サクラ
治療はどう決めるんですか?
博士
早期は円錐切除や広汎子宮全摘、進行期は放射線と化学療法を併用するCCRTが標準じゃ。進行期診断が治療方針を決める鍵なんじゃ。
POINT
子宮頸癌の進行期決定には骨盤壁浸潤・水腎症を評価する腎盂尿管造影、リンパ節・遠隔転移を評価するCTが重要。HPV検査はスクリーニング用で進行期決定には用いない。FIGO分類に基づき早期は手術、進行期はCCRTを選択する。
解答・解説
正解は 3 ・ 5 です
問題文:Aさん(42歳、女性)は、2週前から腰痛と坐骨神経痛とを発症し整形外科で処方された鎮痛薬を内服している。帯下が増えて臭いもあるため婦人科を受診し、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)と診断された。 進行期を決めるためにAさんに行われる検査で適切なのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 3 と 5 です。子宮頸癌の進行期(FIGO分類)は、原発腫瘍の大きさ・進展範囲、骨盤壁・膀胱・直腸・傍結合組織への浸潤、遠隔転移の有無で決定されます。評価には内診・直腸診、膀胱鏡、直腸鏡、胸部X線、CT、MRI、腎盂尿管造影(IVP)などが用いられます。特に腎盂尿管造影は尿管圧迫・水腎症の有無を調べⅢB期の診断に重要で、CTはリンパ節転移や遠隔転移の評価に用いられます。
選択肢考察
-
× 1. ヒトパピローマウイルス検査
HPV検査は子宮頸癌のスクリーニング・発がんリスク評価に用いるもので、進行期決定の検査ではありません。
-
× 2. 小腸内視鏡検査
子宮頸癌は小腸への転移はまれで、小腸内視鏡は進行期決定のルーチン検査ではありません。
-
○ 3. 腎盂尿管造影
癌が骨盤壁まで達すると尿管を圧迫し水腎症を起こします。IVPで尿管閉塞・水腎症の有無を評価しⅢB期判定に用います。
-
× 4. 脊髄造影
脊髄造影は脊柱管内病変の評価で、Aさんの腰痛・坐骨神経痛は別原因と思われ進行期決定の検査ではありません。
-
○ 5. CT
CTはリンパ節転移・肝肺への遠隔転移・骨盤内浸潤の評価に有用で、進行期決定と治療方針決定に用いられます。
子宮頸癌FIGO分類(2018改訂):Ⅰ期は子宮頸部に限局、Ⅱ期は子宮頸部を超えるが骨盤壁・腟下1/3に達しない、Ⅲ期は骨盤壁到達・腟下1/3浸潤・水腎症・所属リンパ節転移、Ⅳ期は膀胱直腸浸潤・遠隔転移。組織型は扁平上皮癌が約7割、腺癌が約2割。原因はほぼ全例でHPV(特に16型・18型)持続感染。予防はHPVワクチンと子宮頸がん検診(細胞診)。治療は早期は手術(円錐切除・広汎子宮全摘)、進行期は放射線・化学療法併用(CCRT)が基本です。
子宮頸癌の進行期決定に必要な検査(骨盤内浸潤・水腎症・遠隔転移の評価)とスクリーニング検査(HPV検査・細胞診)を区別できるかが問われている。
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