高齢者の脱水サインと多職種連携
看護師国家試験 第110回 午後 第67問 / 地域・在宅看護論 / 症状・疾患・治療に応じた看護
国試問題にチャレンジ
Aさん( 82歳、女性)は、脳梗塞( cerebral infarction )の既往があり、要介護2で、夫( 85歳)と2人暮らし。訪問看護師の訪問時、Aさんは体温37.0℃、脈拍62/分、血圧100/50mmHg、少し汗をかいており、唇の乾燥がみられた。訪問看護師は、翌日予定されている訪問介護の担当者とAさんの援助の方向性について共有することにした。 共有する内容で適切なのはどれか。
- 1.ポータブルトイレでの排泄に変更する。
- 2.水分を多めに摂取するよう促す。
- 3.頻繁に寝衣を交換する。
- 4.入浴介助を中止する。
対話形式の解説
博士
Aさん82歳、脳梗塞既往、要介護2。体温37度、発汗、唇の乾燥があるぞい。
サクラ
軽度の脱水を疑いますね。
博士
そうじゃ。バイタルは?
サクラ
脈拍62、血圧100/50、大きな異常はありませんが血圧はやや低めです。
博士
高齢者の脱水サインは何があるかのう。
サクラ
口唇・腋窩の乾燥、皮膚ツルゴール低下、尿量減少、意識変容などです。
博士
口渇感は?
サクラ
高齢者は感覚が鈍く自覚しにくいですね。
博士
翌日訪問する介護員に何を共有する?
サクラ
水分摂取の促しですね。
博士
正解じゃ。ポータブルトイレへの変更は?
サクラ
転倒リスクの情報がないので不要です。
博士
寝衣交換は?
サクラ
原因の脱水対応が先で、発汗は軽度なので頻繁な交換は不要です。
博士
入浴中止はどうじゃ?
サクラ
バイタルが著明な異常でなければ継続可能で、水分補給すれば実施できます。
博士
脳梗塞既往者は脱水で再発リスクが上がるぞい。
サクラ
多職種で観察事項とケア方針を共有する重要さが分かりました。
POINT
本問は高齢者の軽度脱水サインの判断と多職種連携における情報共有を問う問題です。微熱・発汗・口唇乾燥から脱水を読み取り、訪問介護員に水分摂取の声かけを依頼することが最優先です。脳梗塞既往のある高齢者は脱水が再発の引き金となるため、日常的な水分管理が重要です。排泄方法の変更や入浴中止は根拠が乏しく、自立を損なう一律対応は避けるべきです。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:Aさん( 82歳、女性)は、脳梗塞( cerebral infarction )の既往があり、要介護2で、夫( 85歳)と2人暮らし。訪問看護師の訪問時、Aさんは体温37.0℃、脈拍62/分、血圧100/50mmHg、少し汗をかいており、唇の乾燥がみられた。訪問看護師は、翌日予定されている訪問介護の担当者とAさんの援助の方向性について共有することにした。 共有する内容で適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。Aさんは微熱(37.0℃)、発汗、口唇乾燥と軽度の脱水所見を認めます。高齢者は口渇感が鈍く自覚しにくいため、訪問介護員に水分摂取を促すよう情報共有することが最優先です。多職種連携により継続的に観察と支援ができ、脱水の進行を防げます。
選択肢考察
-
× 1. ポータブルトイレでの排泄に変更する。
意識障害やふらつき・転倒リスクがあれば検討しますが、現時点ではそのような情報はなく、本人の意向なしに排泄方法を変更することは自立を損ないます。
-
○ 2. 水分を多めに摂取するよう促す。
微熱・発汗・口唇乾燥は軽度脱水の兆候で、高齢者は口渇感が乏しいため水分摂取の声かけが重要です。訪問介護員も接触機会があるため共有すべき最優先事項です。
-
× 3. 頻繁に寝衣を交換する。
発汗は軽度で頻繁な寝衣交換は本人の負担になり、根本原因である脱水への対処になりません。水分補給が先行します。
-
× 4. 入浴介助を中止する。
バイタルサインは著しい異常を示しておらず、水分補給を行えば入浴は可能です。一律中止は清潔保持とQOLを損ないます。
高齢者脱水のサインは口唇・腋窩の乾燥、皮膚ツルゴール低下、微熱、頻脈、尿量減少、意識変容などです。脳梗塞既往のある高齢者は脱水で再発リスクが高まるため、日頃から経口補水液や水分こまめ摂取(1日1,000〜1,500mL程度)を促す必要があります。多職種連携では情報を『観察事項→判断→ケアの方向性』の形で共有するとよいでしょう。
高齢者の軽度脱水を示すサインを読み取り、多職種と共有すべき援助の方向性(水分摂取の促し)を選ぶ問題です。
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