独居の血管性認知症利用者への家族支援
看護師国家試験 第103回 午後 第73問 / 地域・在宅看護論 / 在宅療養生活を支える看護
国試問題にチャレンジ
Aさんは、1人で暮らしている。血管性認知症(vascular dementia)があり、降圧薬を内服している。要介護1で、週3回の訪問介護と週1回の訪問看護を利用している。最近では、Aさんは日中眠っていることが多く、週1回訪ねてくる長男に暴言を吐くようになっている。 Aさんの長男の話を傾聴した上で、訪問看護師の長男への対応で最も適切なのはどれか。
- 1.デイサービスの利用を提案する。
- 2.Aさんを怒らせないように助言する。
- 3.Aさん宅に行かないように助言する。
- 4.薬の内服介助をするように提案する。
対話形式の解説
博士
今日は独居で血管性認知症のあるAさんの事例じゃ。日中の傾眠や長男への暴言という症状が出ておるが、これをどう支援するかが問われておる。
サクラ
博士、Aさんは要介護1で訪問介護と訪問看護を利用していますが、それでも症状が悪化しているんですね。
博士
そうじゃ。日中眠っていることが多いというのは、活動量と社会的刺激の不足を示唆しておる。一人暮らしじゃと刺激が乏しくなりがちで、認知症が進行しやすいんじゃ。
サクラ
だから選択肢1の「デイサービスの利用を提案する」が正解なんですね。
博士
その通り。デイサービスでは他者との交流、運動、レクリエーションなど多面的な刺激を受けられる。生活リズムの改善や認知症の進行抑制、そして長男の介護負担軽減にもつながるんじゃ。
サクラ
選択肢2の「Aさんを怒らせないように助言する」はダメなんですか?
博士
暴言は血管性認知症のBPSDとして現れている可能性が高い。家族に「怒らせるな」と言うのは家族を萎縮させるだけで、根本解決にならんのじゃ。
サクラ
選択肢3の「Aさん宅に行かないように助言する」はもっとダメそうですね。
博士
その通りじゃ。長男はAさんにとって貴重な社会的接点。週1回の訪問を絶てば孤立が深まり、認知症はさらに悪化してしまう。
サクラ
選択肢4の「薬の内服介助をするように提案する」はどうですか?
博士
設問にAさんが内服を忘れている情報はないし、長男は週1回しか訪問できん。内服介助では暴言の問題は解決せんのじゃ。
サクラ
血管性認知症って、どんな症状が特徴なんですか?
博士
まだら認知症、感情失禁、抑うつ、易怒性などじゃ。脳血管障害の部位により症状にむらがあるのが特徴での。降圧薬の内服も再発予防に重要じゃ。
サクラ
社会資源を活用した支援が大切なんですね。
博士
そうじゃ。看護師は単に医療的ケアを提供するだけでなく、ケアマネジャーと連携して適切なサービス導入を提案する役割もあるんじゃよ。
POINT
独居の血管性認知症であるAさんに対しては、日中の活動性を高め社会的刺激を増やすためにデイサービスの利用提案が最も適切です。暴言などのBPSDは認知症の進行や刺激不足が背景にある可能性が高く、家族に「怒らせない」よう助言したり訪問を控えさせたりすることは逆効果です。看護師はケアマネジャーと連携し、本人と家族双方を支える社会資源の活用を進める役割を担います。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:Aさんは、1人で暮らしている。血管性認知症(vascular dementia)があり、降圧薬を内服している。要介護1で、週3回の訪問介護と週1回の訪問看護を利用している。最近では、Aさんは日中眠っていることが多く、週1回訪ねてくる長男に暴言を吐くようになっている。 Aさんの長男の話を傾聴した上で、訪問看護師の長男への対応で最も適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。Aさんは独居で日中の活動性が低下し、社会的刺激が乏しい状態です。デイサービスを利用することで他者との交流、運動、認知刺激が得られ、生活リズムの改善や認知症の進行抑制が期待できます。また長男にとっても介護負担軽減や情報共有の機会となり、家族支援にもつながります。
選択肢考察
-
○ 1. デイサービスの利用を提案する。
通所サービスにより日中の活動性が高まり、認知症の進行抑制や生活リズム改善、家族支援に有効です。
-
× 2. Aさんを怒らせないように助言する。
暴言は血管性認知症のBPSD(行動・心理症状)として現れている可能性が高く、家族が「怒らせない」よう気を遣うだけでは根本的な対応になりません。
-
× 3. Aさん宅に行かないように助言する。
家族との関わりを断つことはAさんの孤立を深め、認知症を悪化させます。長男の支援は重要な社会的接点です。
-
× 4. 薬の内服介助をするように提案する。
Aさんが内服を忘れているという情報はなく、暴言の問題に対する直接的な対応とはなりません。
血管性認知症はまだら認知症やうつ状態、感情失禁、易怒性などのBPSDを伴うことが特徴です。独居高齢者では刺激不足により症状が進行しやすいため、通所介護や通所リハビリテーションの導入は有効です。家族支援には介護者教室や家族会の紹介も有用です。
独居の血管性認知症利用者と家族支援において、社会資源を活用した適切な助言を選択する問題です。
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