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グリセリン浣腸はなぜ効く?水を吸って刺激する二刀流のメカニズム

看護師国家試験 第107回 午前 第16問 / 必修問題 / 薬物の作用と管理

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第16問

排便を促す目的のために浣腸液として使用されるのはどれか。

  1. 1.バリウム
  2. 2.ヒマシ油
  3. 3.グリセリン
  4. 4.エタノール

対話形式の解説

博士 博士

今日は排便を促す浣腸液について学ぶぞ。臨床で最もよく使うのがグリセリン浣腸じゃ。

アユム アユム

グリセリンって、化粧品にも入っていますよね?

博士 博士

よく気づいたの。保湿成分としても使われる物質じゃ。浣腸として直腸に入れると、2つの作用で排便を促すんじゃ。

アユム アユム

2つの作用ですか?

博士 博士

①腸壁から水分を吸収して便を軟らかくする、②腸粘膜を化学的に刺激して蠕動運動を亢進させる、この2段階じゃ。

アユム アユム

なるほど、便を軟らかくしつつ押し出す力も増やすんですね。

博士 博士

そのとおり。通常は50%グリセリン液60mL程度を使う。

アユム アユム

手技で気をつけることはありますか?

博士 博士

大事なポイントがいくつかある。まず体位は左側臥位じゃ。

アユム アユム

なぜ左側臥位なんですか?

博士 博士

直腸からS状結腸は左側にカーブしておるから、左側臥位のほうが解剖に沿ってチューブを入れやすく、液も奥まで届きやすいんじゃ。

アユム アユム

挿入の深さは?

博士 博士

5〜6cmまで。それ以上入れると直腸穿孔のリスクがある。液温は40℃前後で体温と同じくらい、注入はゆっくりじゃ。

アユム アユム

立位でやってはダメって聞いたことがあります。

博士 博士

そうじゃ。立位は直腸穿孔の事故が報告されて以降、日本看護協会から注意喚起が出ておる。必ず側臥位または仰臥位で行うんじゃ。

アユム アユム

他の選択肢も気になります。

博士 博士

バリウムはX線造影剤、ヒマシ油は経口の下剤、エタノールは消毒薬じゃ。どれも浣腸液ではない。

アユム アユム

特にエタノールを腸に入れたら大変そうです…

博士 博士

粘膜損傷を起こすから絶対ダメじゃ。

アユム アユム

禁忌とかあるんですか?

博士 博士

腎不全患者では吸収されたグリセリンが溶血を起こして急性腎障害の危険がある。あと消化管穿孔や重度の痔疾、腹部術直後なども禁忌じゃ。

アユム アユム

安全そうに見えて気を付けることがたくさんあるんですね。

POINT

グリセリン浣腸は、腸壁からの水分吸収による便の軟化と粘膜刺激による蠕動亢進という2つの作用で排便を促す。50%グリセリン液を左側臥位で5〜6cmまで挿入しゆっくり注入するのが基本で、立位での施行は直腸穿孔の危険があり禁忌とされている。バリウムは造影剤、ヒマシ油は経口下剤、エタノールは消毒薬であり、浣腸液としては用いない。薬液の目的と手技の安全管理を併せて覚えておくことが重要である。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:排便を促す目的のために浣腸液として使用されるのはどれか。

解説:正解は 3 です。グリセリン浣腸は、排便を促す目的で最も一般的に使用される浣腸液である。グリセリンは腸壁から水分を吸収することで便を軟化させ、同時に腸管粘膜を化学的に刺激して腸蠕動を亢進させるという2つの作用で排便を促進する。通常は50%グリセリン液が用いられ、成人では60〜150mL、小児では体重1kgあたり1〜2mLが目安とされている。直腸粘膜の損傷を防ぐため、チューブは5〜6cmを超えて挿入しない、立位では行わない(左側臥位で実施)、注入はゆっくり行う、といった手技のルールが定められている。

選択肢考察

  1. × 1.  バリウム

    硫酸バリウムは上部・下部消化管のX線造影検査に用いる造影剤。排便を促す目的では使用しない。逆にバリウム検査後は便秘を防ぐため下剤を服用する必要がある。

  2. × 2.  ヒマシ油

    ヒマシ油は小腸に作用する刺激性下剤として経口投与する薬剤。浣腸液としては用いない。

  3. 3.  グリセリン

    正解。腸壁からの水分吸収と粘膜刺激作用により排便を促す。50%グリセリン液が標準で、浣腸として最も頻用される。

  4. × 4.  エタノール

    エタノールは消毒薬や食品添加物として使用される。腸管への直接注入は粘膜損傷を引き起こすため、浣腸液としては使用しない。

グリセリン浣腸の注意点:①患者は左側臥位(直腸・S状結腸の解剖に沿う)、②チューブ挿入は5〜6cmまで、③液温は40℃前後、④注入速度はゆっくり、⑤立位での実施は直腸穿孔のリスクがあるため禁忌、⑥排便したくなったら我慢せず排泄、⑦施行後はバイタルサイン確認。腎不全患者ではグリセリンが吸収され溶血・急性腎不全を起こすおそれがあるため禁忌。

浣腸に使用する薬液とその作用機序、および手技の安全性を問う基本問題。