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心停止の現場で迷わない—アドレナリンが選ばれる理由

看護師国家試験 第114回 午前 第25問 / 必修問題 / 薬物の作用と管理

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第25問

心静止の患者に投与する薬剤はどれか。

  1. 1.ドパミン
  2. 2.アトロピン
  3. 3.リドカイン
  4. 4.アドレナリン

対話形式の解説

博士 博士

今日は心停止時の薬剤選択、特に心静止について学ぶぞ。救急の場面で迷いなく動けるようになるのが目標じゃ。

サクラ サクラ

心静止って心電図で一直線になるあれですよね?

博士 博士

その通り。心静止(asystole)は電気活動が完全に消失した状態で、心停止波形の一つじゃ。

サクラ サクラ

心停止には他にどんな波形がありますか?

博士 博士

4つあるぞ。心室細動(VF)、無脈性心室頻拍(無脈性VT)、無脈性電気活動(PEA)、そして心静止じゃ。

サクラ サクラ

全部覚えるの大変そうですね…。

博士 博士

整理しよう。VFと無脈性VTは「ショック適応」で除細動が必要。PEAと心静止は「ショック非適応」でCPRと薬剤が中心じゃ。

サクラ サクラ

じゃあ薬剤の第一選択は何になりますか?

博士 博士

4つの波形すべてで第一選択はアドレナリン1mgじゃ。3〜5分ごとに反復投与するのが基本じゃよ。

サクラ サクラ

アドレナリンの作用は何ですか?

博士 博士

強力なα刺激で末梢血管を収縮させ、冠動脈と脳への血流を保つ。さらにβ刺激で心収縮力と心拍数も上げるのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、循環の橋渡しをしてくれるんですね。アトロピンは使わないんですか?

博士 博士

以前は心静止にもアトロピンが使われたが、現行のACLSガイドラインではルーチン使用は推奨されておらん。アトロピンは症候性徐脈に使う薬じゃ。

サクラ サクラ

リドカインはどうですか?

博士 博士

リドカインはVFや無脈性VTで、アドレナリン+除細動でも反応しない難治例に使う二次選択薬じゃ。心静止には効かない。

サクラ サクラ

ドパミンは循環作動薬でしたよね。

博士 博士

その通り。ドパミンやノルアドレナリンは心拍再開後(ROSC後)の血圧維持に使う薬。心停止中の第一選択ではないのじゃ。

サクラ サクラ

心停止波形の種類と、それぞれに使う薬を整理して覚えるのが大事ですね。

POINT

心静止の患者にはアドレナリン1mgを3〜5分ごとに静脈内投与するのが第一選択です。心停止波形はVF・無脈性VT・PEA・心静止の4つで、VFと無脈性VTは除細動の対象、PEAと心静止はCPRと薬剤が中心となります。アドレナリンは全心停止波形で共通の第一選択薬であり、α作用による冠動脈・脳血流の維持が心拍再開につながります。リドカインは難治性VF/VTの二次選択、ドパミンは心拍再開後の血圧維持と、薬剤の役割を整理して覚えることが救急対応の質を決定づけます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:心静止の患者に投与する薬剤はどれか。

解説:正解は 4 です。心静止(asystole)は心電図上で電気活動が認められない心停止波形の一つで、無脈性電気活動(PEA)とともに非ショック適応リズムに分類される。AHA心停止アルゴリズムでは、CPR(胸骨圧迫+人工呼吸)を直ちに開始し、可及的速やかにアドレナリン1mgを静脈内投与し、その後3〜5分ごとに反復投与する。

選択肢考察

  1. × 1.  ドパミン

    ドパミンはカテコラミンの一種で、用量依存的に腎血流増加・心収縮力増強・血管収縮作用を示す。ショックや低血圧の循環管理に用いられ、心拍再開後の血圧維持に使用される薬剤で、心静止の第一選択ではない。

  2. × 2.  アトロピン

    アトロピンは抗コリン薬で、副交感神経を抑制し心拍数を上げる作用を持つ。症候性徐脈や有機リン中毒で用いられるが、現行のACLSアルゴリズムでは心静止・PEAに対するルーチン使用は推奨されない。

  3. × 3.  リドカイン

    リドカインはNaチャネル遮断薬(Ⅰb群抗不整脈薬)で、心室細動・無脈性心室頻拍に対して、アドレナリンと除細動でも改善しない場合の二次選択として用いられる。心静止には適応しない。

  4. 4.  アドレナリン

    強力なα・β刺激作用により末梢血管を収縮させ冠動脈・脳血流を保ち、心拍再開を促す。心静止・PEAでは静脈内投与1mgを3〜5分ごとに反復、心室細動・無脈性VTでは2回目以降のショック後に投与する。

心停止波形は4種類に大別される:①心室細動(VF)、②無脈性心室頻拍(無脈性VT)、③無脈性電気活動(PEA)、④心静止(asystole)。VFと無脈性VTは「ショック適応リズム」で除細動の対象、PEAと心静止は「ショック非適応リズム」でCPRと薬剤投与が中心となる。アドレナリンは全心停止波形で第一選択薬として共通であり、これが本問のポイント。心拍再開後(ROSC)はドパミン・ノルアドレナリンなどで血圧を維持し、神経学的予後改善のため目標体温管理(TTM)も検討される。

心停止アルゴリズムにおける第一選択薬を問う問題。心静止=アドレナリンを確実に押さえる。