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薬物動態ADMEの肝心かなめ・肝代謝を学ぶ

看護師国家試験 第112回 午前 第17問 / 必修問題 / 薬物の作用と管理

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第17問

薬物動態で肝臓が関与するのはどれか。

  1. 1.吸収
  2. 2.分布
  3. 3.代謝
  4. 4.蓄積

対話形式の解説

博士 博士

今日は薬物動態について学ぶぞ。肝臓が関与するのはどの過程か、わかるかの?

サクラ サクラ

薬って肝臓で分解されるイメージがあります…代謝ですか?

博士 博士

正解じゃ!薬物動態はADMEの4段階、吸収・分布・代謝・排泄で、肝臓の主役は代謝なのじゃ。

サクラ サクラ

ADMEってそれぞれどこで起きるんですか?

博士 博士

吸収(Absorption)は主に小腸、分布(Distribution)は循環血液と組織、代謝(Metabolism)は肝臓、排泄(Excretion)は主に腎臓じゃ。

サクラ サクラ

肝代謝はどうやって薬を分解するんですか?

博士 博士

2段階ある。第I相反応はチトクロームP450(CYP)による酸化・還元・加水分解、第II相反応はグルクロン酸・硫酸・アセチルなどの抱合反応じゃ。どちらも薬を水溶性にして排泄しやすくするのが目的じゃ。

サクラ サクラ

CYPっていうのはたくさん種類があるんですよね?

博士 博士

そうじゃ。中でもCYP3A4は最も多くの薬を代謝する主要酵素。グレープフルーツジュースがCYP3A4を阻害してカルシウム拮抗薬や免疫抑制薬の血中濃度を上げるのは有名じゃ。

サクラ サクラ

じゃあグレープフルーツと降圧薬は一緒に飲んじゃダメなんですね。

博士 博士

その通り。患者指導で必ず伝えるポイントじゃよ。他にもCYP2D6には遺伝多型があり、コデインがモルヒネに変換される量が人によって違う現象も知られておる。

サクラ サクラ

初回通過効果って何ですか?

博士 博士

経口薬は吸収後、門脈を通って肝臓で部分的に代謝されてから全身循環に入るため、投与量の一部しか効かないという現象じゃ。舌下錠・経皮・静注・坐薬は肝臓を迂回してこれを避ける。

サクラ サクラ

ニトログリセリン舌下錠がそうですね。

博士 博士

その通り。狭心症発作時は迅速な効果が欲しいから舌下で吸収させる。経口では効く前に肝臓でほぼ分解されてしまう。

サクラ サクラ

肝機能が落ちた人への薬は注意が必要ですか?

博士 博士

大注意じゃ。肝硬変ではCYP活性が低下して薬が分解されにくくなり、血中濃度が上昇して副作用リスクが高まる。ベンゾジアゼピンやオピオイドは減量が基本じゃ。

サクラ サクラ

逆に排泄はどこが中心ですか?

博士 博士

大部分は腎臓(尿)じゃが、胆汁・便・呼気・汗・乳汁などからも排泄される。腎機能障害ではクレアチニン・クリアランスで投与量を調整するのがセオリーじゃ。

サクラ サクラ

看護師が薬剤管理で気をつけることは?

博士 博士

服薬時間の指導、相互作用(グレープフルーツ・納豆など)の説明、肝腎機能に応じた投与量チェック、副作用観察じゃ。薬物動態を理解しておれば根拠ある看護ができるのじゃ。

POINT

薬物動態は吸収・分布・代謝・排泄の4段階(ADME)からなり、肝臓は代謝の主役を担う臓器です。肝細胞のチトクロームP450(第I相)と抱合反応(第II相)によって薬物は水溶性が高まり、胆汁や尿から排泄可能な形に変換されます。経口薬は吸収後に肝臓を通過する初回通過効果を受けるため、同じ薬でも舌下・経皮・静注では血中動態が大きく異なります。肝機能障害患者ではCYP活性低下により薬物血中濃度が上昇しやすく、投与量の減量や作用時間延長への注意が必要です。薬物動態ADMEの理解は、与薬・観察・患者教育のすべての基盤となる看護師必須の薬理学知識です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:薬物動態で肝臓が関与するのはどれか。

解説:正解は 3 の代謝である。薬物動態(pharmacokinetics)は薬が体内に入ってから出ていくまでの過程で、吸収(Absorption)・分布(Distribution)・代謝(Metabolism)・排泄(Excretion)の4段階で構成され、頭文字をとりADMEと呼ばれる。このうち代謝の主役が肝臓で、ミトコンドリアや滑面小胞体に存在するチトクロームP450(CYP)を中心とした酵素系が薬物を水溶性の高い代謝物に変換し、胆汁や尿から排泄されやすくする。吸収は主に小腸、分布は循環血液と組織間、排泄は主に腎臓(胆汁・呼気・汗など含む)が担う。

選択肢考察

  1. × 1.  吸収

    経口薬は胃と小腸で吸収され、門脈を経て肝臓に入る(初回通過効果あり)。吸収そのものの場は主に小腸であり肝臓ではない。

  2. × 2.  分布

    分布は吸収された薬物が血流に乗って全身の組織に行き渡る過程で、血漿蛋白結合(アルブミンなど)や組織親和性が影響する。肝臓が主役ではない。

  3. 3.  代謝

    肝臓はチトクロームP450酵素系(第I相反応)とグルクロン酸・硫酸抱合など(第II相反応)で薬物を代謝し、水溶性を高めて排泄しやすくする。

  4. × 4.  蓄積

    ADMEの4段階には含まれない。脂溶性薬物が脂肪組織に、重金属が骨に留まる現象は蓄積として扱われるが、動態の主要区分ではない。

肝代謝には第I相反応(酸化・還元・加水分解、主にCYP)と第II相反応(グルクロン酸・硫酸・アセチル・グルタチオン抱合)がある。CYP3A4は多くの薬剤を代謝する主要酵素で、グレープフルーツジュースがCYP3A4を阻害して薬効を増強するのは有名。CYP2D6には遺伝多型があり、コデインの鎮痛効果が個人差を生む原因となる。肝機能障害では代謝能が低下し薬物血中濃度が上がりやすいため、肝硬変患者ではベンゾジアゼピンやオピオイドの減量が必要。初回通過効果(経口薬が吸収後、門脈を経て肝臓で部分代謝を受け血中到達量が減る現象)は舌下・経皮・静注で回避できる。ニトログリセリン舌下錠や坐薬はこの原理を利用している。

薬物動態ADMEのうち、肝臓が主役を演じるのは『M=Metabolism(代謝)』であることを問う基本問題。