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術前休薬が必要な薬を見極めよう

看護師国家試験 第113回 午後 第16問 / 必修問題 / 薬物の作用と管理

国試問題にチャレンジ

113回 午後 第16問

手術予定の患者が服用している場合、安全のために術前の休薬を検討するのはどれか。

  1. 1.鉄剤
  2. 2.抗血小板薬
  3. 3.冠血管拡張薬
  4. 4.プロトンポンプ阻害薬

対話形式の解説

博士 博士

今日は手術前に止める薬の話じゃ。出血が止まらなくなると困る薬はどれかわかるかのう?

アユム アユム

はい、血をサラサラにする薬だと思います。

博士 博士

その通りじゃ。選択肢の中で血小板の働きを抑えるのはどれかの?

アユム アユム

抗血小板薬です。アスピリンやクロピドグレルですよね。

博士 博士

そうじゃ。逆に鉄剤はどうじゃ?

アユム アユム

鉄剤は貧血の治療薬で、凝固には関係ないので続けて大丈夫だと思います。

博士 博士

よろしい。冠血管拡張薬はどうかの?

アユム アユム

狭心症の薬なので、止めると発作が起きそうです。継続した方がよいですね。

博士 博士

プロトンポンプ阻害薬はどうじゃ?

アユム アユム

胃酸を抑える薬で、術前ストレス潰瘍の予防にもなるので中止不要です。

博士 博士

完璧じゃ。ちなみにワルファリンやDOACも休薬対象じゃぞ。

アユム アユム

血栓リスクが高い人はヘパリンに切り替えると習いました。

博士 博士

それがブリッジングじゃな。休薬期間も薬剤ごとに違うから覚えておくとよいぞ。

アユム アユム

はい、アスピリンは7日前、クロピドグレルは14日前が目安ですね。

POINT

術前休薬の判断では、薬剤の作用機序と出血リスクを照合することが重要です。抗血小板薬は止血に直接影響するため休薬対象となり、アスピリンやクロピドグレルが代表例です。一方、鉄剤・冠血管拡張薬・PPIなどは出血に影響しないため継続します。血栓症リスクが高い患者ではヘパリンブリッジも検討され、主治医と連携した周術期管理が求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:手術予定の患者が服用している場合、安全のために術前の休薬を検討するのはどれか。

解説:正解は 2 の抗血小板薬です。抗血小板薬は血小板凝集を抑制する作用があり、服用したまま手術を受けると術中・術後に止血が困難となり、出血量が増加するリスクがあります。そのため一定期間前に休薬し、出血リスクと血栓症リスクを天秤にかけて判断します。

選択肢考察

  1. × 1.  鉄剤

    鉄剤は鉄欠乏性貧血の治療に用いられます。凝固能に影響を与えないため、術前の休薬は必要ありません。むしろ術中出血による貧血の悪化を見越して術前から補充されることもあります。

  2. 2.  抗血小板薬

    アスピリンやクロピドグレルに代表される抗血小板薬は、血小板の活性化・凝集を抑えることで術中に止血しにくい状態を作ります。出血リスクの高い手術では7〜14日前を目安に休薬し、血栓リスクが高い症例ではヘパリンへの置換(ヘパリンブリッジ)を検討します。

  3. × 3.  冠血管拡張薬

    冠血管拡張薬は狭心症など虚血性心疾患の治療に使われ、冠動脈を拡張し心筋への血流を保ちます。中止すると周術期に狭心症発作や心筋梗塞を招く恐れがあるため、原則継続します。

  4. × 4.  プロトンポンプ阻害薬

    プロトンポンプ阻害薬は胃酸分泌を抑制し、消化性潰瘍や逆流性食道炎に用いられます。周術期ストレスによる消化管出血の予防にも有用で、術前に中止する必要はありません。

周術期に休薬を考慮する代表的な薬剤は、抗凝固薬(ワルファリン、DOAC)、抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル)、経口避妊薬・ホルモン剤、一部の糖尿病薬(ビグアナイド系)などです。抗血栓薬は血栓症リスクが高い場合にヘパリンへ置換する『ブリッジング』を行うことがあります。

出血リスクの観点から術前休薬が必要な薬剤を識別できるかを問う問題です。抗血栓作用を持つ薬剤は休薬対象となる点を押さえます。