幅広QRSが連続したら要注意!心室頻拍を見抜く目を養う
看護師国家試験 第114回 午前 第13問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
心電図波形を以下に示す。心室頻拍(ventricular tachycardia)はどれか。
- 1.①
- 2.②
- 3.③
- 4.④
対話形式の解説
博士
今日は致死性不整脈の代表、心室頻拍(VT)の心電図を見分ける問題じゃ。看護師にとって絶対に見逃せない波形じゃぞ。
サクラ
致死性不整脈って怖い響きですね…どう見分けるんですか?
博士
心室頻拍のキーワードは3つ。①P波が見えない、②QRS幅が広い(0.12秒以上)、③それが連続して3個以上、じゃ。
サクラ
どうしてP波が見えないんですか?
博士
通常の心拍は洞結節(心房)から始まり、心房→心室と興奮が伝わる。だがVTは心室自体が暴走しているから、心房の興奮(P波)がQRSと無関係になり波形に埋もれてしまうのじゃ。
サクラ
QRS幅が広いのは、なぜですか?
博士
心室の興奮が刺激伝導系(ヒス束→プルキンエ線維)を通らず、心筋を直接伝わって広がるから時間がかかる。だから幅広く、奇妙な形のQRSになるのじゃ。
サクラ
他の選択肢の波形は何でしょう?
博士
①は基線が小刻みに揺れてRR間隔がバラバラじゃろう?これはf波と呼ばれる心房細動の特徴。心房が無秩序に興奮しておる状態じゃ。
サクラ
②は普通の波形の中に大きな波が混じっていますね。
博士
それは心室期外収縮(PVC)。単発または2連発までの幅広QRSで、3連発以上になると初めてVTと呼ばれる。VTは「PVCの3連発以上」と覚えると分かりやすいぞ。
サクラ
③は形は正常ですけど数が多いですね。
博士
それが洞性頻脈じゃ。発熱・脱水・運動・カフェインなどで洞結節からの刺激が早くなった状態。波形の形自体は正常で、速いだけ。
サクラ
VTを発見したらどう動くんですか?
博士
まず患者の意識と脈を確認じゃ。脈なしVTは心室細動と同じ扱いで、即座にCPR開始+除細動の適応。脈ありVTでも血行動態が不安定なら同期電気的除細動、安定なら抗不整脈薬投与となる。
サクラ
看護師として一番大事なことは?
博士
モニター波形だけで判断せず、必ずベッドサイドで患者を見ることじゃ。「波形が乱れたが本人は元気に話している」ならアーチファクト(ノイズ)の可能性もあるからな。波形と全身状態を併せて判断する力が現場では問われるのじゃよ。
サクラ
心電図と人を両方見る、ですね。
POINT
心室頻拍(VT)は心室内の異所性興奮が連続して発生する致死性不整脈で、心電図上はP波が確認できず、幅広いQRS波が3連発以上連続する所見が特徴です。鑑別すべき頻脈性不整脈には、基線が揺れる心房細動、洞調律に幅広QRSが単発で割り込む心室期外収縮、形は正常で数だけ多い洞性頻脈があり、それぞれ波形のパターンが異なります。VTは心拍出量低下から心室細動・心停止へ移行する危険があるため、看護師には波形認識と同時に意識・脈拍・血圧の確認、迅速な応援要請とBLS開始の判断が求められます。心電図はパターン認識が基本ですが、必ず患者本人の状態とセットで評価する姿勢が安全な臨床判断につながります。国試では致死性不整脈の波形は頻出のため、確実に押さえておきたい知識です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:心電図波形を以下に示す。心室頻拍(ventricular tachycardia)はどれか。
解説:正解は 4 です。心室頻拍(VT)は、心室内の異所性興奮が連続して起こる致死性不整脈で、心電図上は①P波が確認できない、②幅広い(0.12秒以上)QRS波が連続する、③心拍数100〜250回/分程度の頻脈、という特徴を示します。心拍出量が著しく低下し、放置すると心室細動へ移行して心停止に至る危険があるため、迅速な対応が必要です。
選択肢考察
-
× 1. ①
P波が消失し基線が細かく揺れる f 波が見られ、RR間隔が不規則。これは心房細動の典型波形であり、心室頻拍ではない。
-
× 2. ②
正常な洞調律の波形の中に、突発的に幅広いQRS波が単発で出現する所見。心室期外収縮(PVC)の波形であり、3連発以上ではないため心室頻拍とは区別される。
-
× 3. ③
P波・QRS波・T波の構成は正常で、PP・RR間隔が一定のまま心拍数だけが速い。洞性頻脈の波形であり、心室由来ではない。
-
○ 4. ④
P波が確認できず、幅広いQRS波が連続して3個以上出現している。これは心室頻拍(VT)の典型波形である。
心室頻拍は心室期外収縮が3連発以上連続したものを指し、30秒未満で自然停止する非持続性VTと、30秒以上または血行動態破綻を伴う持続性VTに分類される。脈の触れない持続性VT・心室細動は除細動(電気的除細動)の適応で、CPRを並行して行う。脈ありVTでは抗不整脈薬(アミオダロンなど)や同期電気的除細動を選択する。看護師は心電図モニターのアラームに即応し、意識・脈拍・血圧の確認とBLSの開始判断ができることが必須である。
致死性不整脈である心室頻拍を、他の頻脈性不整脈(心房細動・PVC・洞性頻脈)と心電図波形で鑑別できるかを問う問題。
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