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法的脳死判定の5項目 平坦脳波が必須となる理由

看護師国家試験 第114回 午後 第13問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第13問

臓器の移植に関する法律において脳死の判定基準となっている検査はどれか。

  1. 1.脳波検査
  2. 2.筋電図検査
  3. 3.神経伝導検査
  4. 4.脳脊髄液検査

対話形式の解説

博士 博士

今回は臓器移植法における脳死判定について学ぶぞ。脳死とは何か説明できるかな?

サクラ サクラ

えっと、脳の機能が停止した状態…ですよね?心臓死とは違うんですか?

博士 博士

良いところに気づいたな。脳死は「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した状態」じゃ。心臓は人工呼吸器の助けで動き続けていることが多い。

サクラ サクラ

植物状態とも違うんですか?

博士 博士

違うぞ。植物状態は大脳の機能は失われていても脳幹機能は残っており、自発呼吸ができる。脳死は脳幹も含めて完全に機能停止しておる。

サクラ サクラ

では法的脳死判定にはどんな項目があるんですか?

博士 博士

5つあるぞ。1つ目が深昏睡、2つ目が瞳孔散大・固定(左右4mm以上)、3つ目が脳幹反射の消失、4つ目が平坦脳波、5つ目が自発呼吸の消失じゃ。

サクラ サクラ

脳幹反射ってどんな反射ですか?

博士 博士

対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射の7つを確認する。脳幹が機能していればどれかが残るはずじゃからな。

サクラ サクラ

平坦脳波ってどうやって確認するんですか?

博士 博士

頭皮に電極を貼って脳波を記録するのじゃ。最低30分以上記録して、電気的活動が全くないことを確認する。これが脳死判定の必須項目じゃ。

サクラ サクラ

選択肢にあった筋電図や神経伝導検査ではダメなんですね。

博士 博士

そうじゃ。筋電図は筋肉、神経伝導検査は末梢神経の検査で、いずれも脳の機能を直接見るものではない。脳脊髄液検査も髄膜炎などの診断には使うが、脳機能評価ではない。

サクラ サクラ

脳死判定は1回でいいんですか?

博士 博士

いや、6時間以上空けて2回行う。6歳未満の小児は24時間以上空ける必要がある。慎重を期すためじゃ。

サクラ サクラ

誰が判定するんですか?

博士 博士

脳神経外科や神経内科などの専門医で、移植医療に関与しない医師2名以上が独立して行う。利益相反を避けるためのルールじゃ。

サクラ サクラ

臓器移植法は最近改正されたって聞きました。

博士 博士

2010年の改正で大きく変わったぞ。本人の意思表示がなくても家族の承諾で提供が可能になり、15歳未満も提供可能になった。看護師は移植コーディネーターと協働して家族支援にあたる重要な役割を担うのじゃ。

POINT

法的脳死判定とは、臓器移植法に基づき脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止していることを確認する手順で、深昏睡・瞳孔散大固定・脳幹反射消失・平坦脳波・自発呼吸消失の5項目を6時間以上の間隔で2回確認します。脳波検査は大脳皮質の電気的活動の消失を客観的に証明する必須項目で、筋電図や神経伝導検査・脳脊髄液検査は判定項目には含まれません。判定は移植医療に関与しない2名以上の専門医が行い、2010年の法改正により本人の意思が不明でも家族の承諾で提供が可能になり15歳未満も対象となりました。看護師は救急・集中治療現場で家族の意思決定支援や臓器提供プロセスへの理解を求められる場面が増えており、脳死の医学的・法的定義を正確に把握しておくことが重要です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:臓器の移植に関する法律において脳死の判定基準となっている検査はどれか。

解説:正解は 1 の脳波検査です。「臓器の移植に関する法律」(臓器移植法)に基づく法的脳死判定では、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止していることを医学的に確認する必要があります。判定項目は、深昏睡、瞳孔散大・固定(左右とも4mm以上)、脳幹反射の消失(対光反射・角膜反射・毛様脊髄反射・眼球頭反射・前庭反射・咽頭反射・咳反射)、平坦脳波、自発呼吸の消失(無呼吸テスト)の5項目で、6時間以上の間隔をあけて2回行われます(6歳未満は24時間以上)。このうち大脳機能の消失を客観的に裏づける検査が脳波検査であり、最低30分以上の記録で脳波活動が完全に消失(電気的無活動)していることを確認します。

選択肢考察

  1. 1.  脳波検査

    脳波検査は大脳皮質の電気的活動を頭皮上から記録する検査で、脳死判定では平坦脳波(電気的無活動)の確認が必須項目となっている。

  2. × 2.  筋電図検査

    筋電図検査は骨格筋の電気活動を測定するもので、筋ジストロフィーや末梢神経障害の診断に用いられる。脳死の判定項目には含まれない。

  3. × 3.  神経伝導検査

    神経伝導検査は末梢神経に電気刺激を与えて伝導速度を調べる検査で、糖尿病性神経障害やギラン・バレー症候群などの末梢神経疾患の評価に用いられる。脳死判定の対象は中枢神経機能であり該当しない。

  4. × 4.  脳脊髄液検査

    脳脊髄液検査は腰椎穿刺によって髄液を採取し、髄膜炎やくも膜下出血、多発性硬化症などの感染・炎症性疾患の診断に用いる。脳死判定の項目ではない。

法的脳死判定では、判定を行う医師は脳神経外科・神経内科・救急科・麻酔科・集中治療部などの専門医で、移植医療には関わらない者2名以上が独立して実施する。判定の前提条件として、原疾患が確実に診断され不可逆的であること、深昏睡と無呼吸の状態にあること、低体温(直腸温32℃未満)・代謝・内分泌障害・薬物中毒など脳機能を抑制する原因が除外されていること、生後12週未満は対象外であることが必要である。1997年の臓器移植法施行時は本人の書面による意思表示が必須だったが、2010年の改正により本人の意思が不明でも家族の承諾により脳死下臓器提供が可能となり、15歳未満からの提供も可能になった。

法的脳死判定の5項目を理解しているかを問う必修問題。脳波検査による平坦脳波の確認が判定項目に含まれることを覚える。