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下垂手=橈骨神経!手と足の神経麻痺を一気に整理

看護師国家試験 第114回 午前 第15問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第15問

下垂手の原因はどれか。

  1. 1.尺骨神経麻痺
  2. 2.正中神経麻痺
  3. 3.橈骨神経麻痺
  4. 4.腓骨神経麻痺

対話形式の解説

博士 博士

今日は末梢神経麻痺の代表症状を整理するぞ。「下垂手」「猿手」「鷲手」「下垂足」、それぞれどの神経の麻痺か即答できるかな?

サクラ サクラ

えっと…下垂手は…橈骨神経でしたっけ?

博士 博士

正解じゃ!橈骨神経は前腕の伸筋群を支配しておる。麻痺すると手首を反らせず、指も伸ばせず、手がダラリと垂れる状態になる。これが下垂手じゃ。

サクラ サクラ

どういうときに起こるんですか?

博士 博士

最多は上腕骨骨幹部骨折じゃ。橈骨神経は上腕骨に巻き付くように走行しておるから、骨折で同時に損傷を受けやすい。あとは「土曜の夜の麻痺(Saturday night palsy)」と呼ばれる、酔って腕枕で寝込んだときの圧迫麻痺もある。

サクラ サクラ

面白いネーミングですね。

博士 博士

臨床では患者がベッド柵に腕を引っかけたまま寝てしまったり、点滴の腕固定が長時間続いたりして起こる医原性麻痺もあるから注意じゃよ。

サクラ サクラ

他の神経麻痺はどう覚えればいいですか?

博士 博士

正中神経麻痺は「猿手(ape hand)」じゃ。母指球筋が萎縮して手のひらが平らになり、母指の対立運動ができなくなる。手根管症候群が代表的な原因じゃな。

サクラ サクラ

鷲手は?

博士 博士

尺骨神経麻痺で起こる「鷲手(claw hand)」じゃ。環指・小指のMP関節が過伸展、PIP・DIP関節が屈曲し、鷲の爪のような形になる。肘部管症候群が原因として有名じゃ。

サクラ サクラ

下垂足というのもありましたよね?

博士 博士

それは腓骨神経麻痺じゃ。膝外側で腓骨頭の周りを走るため、長時間の正座や下肢のギプスで圧迫されやすい。足首が上がらず、歩行時につま先を引きずる「鶏歩」を呈する。

サクラ サクラ

じゃあ、下垂手と下垂足は混同しやすいですね。

博士 博士

そう、上肢か下肢かで全く別の神経じゃ。「手は橈骨、足は腓骨」と覚えるとよいぞ。

サクラ サクラ

看護で気をつけることはありますか?

博士 博士

術中・術後の体位管理や点滴固定で末梢神経を圧迫しないこと。特に側臥位手術での腋窩枕の位置や、長時間の上肢固定、ギプス装着部位の確認は神経麻痺予防の基本じゃ。

サクラ サクラ

神経の名前と症状をペアで覚えると一気に整理できますね。

POINT

下垂手は橈骨神経麻痺によって手関節背屈と手指伸展ができなくなり、手首がだらりと垂れ下がる状態を指します。橈骨神経は上腕骨に巻き付くように走行するため、上腕骨骨幹部骨折や長時間の圧迫(Saturday night palsy)で障害されやすい神経です。末梢神経麻痺の代表的な変形として、橈骨神経=下垂手、正中神経=猿手、尺骨神経=鷲手、腓骨神経=下垂足という対応を覚えると鑑別が容易になります。看護師は手術体位や点滴固定、ギプス装着部位での圧迫を防ぐ視点を持ち、医原性末梢神経麻痺を未然に防ぐ役割を担います。神経の解剖と支配筋を結びつけて学ぶことで、運動・感覚障害のアセスメントが格段に正確になります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:下垂手の原因はどれか。

解説:正解は 3 の橈骨神経麻痺です。下垂手(drop hand/wrist drop)は、手関節の背屈および手指(MP関節)の伸展ができず、手首がだらりと垂れ下がった状態を指します。これらの伸展運動を担うのが橈骨神経支配の前腕背側の伸筋群であり、橈骨神経が障害されると下垂手を呈します。原因として最も多いのは上腕骨骨幹部骨折、次いで腕枕などによる長時間の圧迫(土曜の夜の麻痺、Saturday night palsy)です。

選択肢考察

  1. × 1.  尺骨神経麻痺

    尺骨神経麻痺では環指尺側〜小指の感覚障害と、骨間筋萎縮による「鷲手(claw hand)」が特徴。肘部管症候群が代表的な原因。

  2. × 2.  正中神経麻痺

    正中神経麻痺では母指球筋の萎縮により母指の対立運動が障害され「猿手(ape hand)」を呈する。手根管症候群が代表例。

  3. 3.  橈骨神経麻痺

    橈骨神経は前腕背側の伸筋群を支配し、麻痺により手関節背屈と手指伸展が不能となり下垂手を呈する。

  4. × 4.  腓骨神経麻痺

    腓骨神経麻痺では足関節背屈と足趾伸展が障害され「下垂足(drop foot)」をきたす。下垂手ではなく下肢の症状。

末梢神経麻痺の特徴的な手の変形は語呂で覚えると整理しやすい。橈骨神経=下垂手、正中神経=猿手、尺骨神経=鷲手の「3手」セット。さらに腓骨神経麻痺は下垂足として下肢の対応症状になる。臨床では長時間の体位による圧迫(手術中の腋窩枕の不適切な位置、ギプス固定、点滴時の腕の固定)が橈骨神経麻痺の医原性原因となる。看護師は患者の体位・固定具の圧迫部位を定期的に確認し、神経麻痺予防に努める必要がある。

末梢神経麻痺による特徴的な手・足の変形と、それぞれの障害神経との対応を問う問題。