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創傷治癒の4段階 マクロファージは炎症期の司令塔

看護師国家試験 第114回 午後 第25問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第25問

創傷の治癒過程でマクロファージによる貪食が行われるのはどれか。

  1. 1.出血・凝固期
  2. 2.炎症期
  3. 3.増殖期
  4. 4.成熟期

対話形式の解説

博士 博士

今回は創傷治癒の過程について学ぶぞ。4段階に分かれることはわかるかの?

サクラ サクラ

はい、出血・凝固期、炎症期、増殖期、成熟期ですよね。でも、どの細胞がどこで働くかが混乱します。

博士 博士

では順番に整理しよう。まず出血・凝固期。傷ができた直後、血小板が集まって栓を作り、凝固因子が働いてフィブリン網を形成する。

サクラ サクラ

いわゆる「止血」の段階ですね。

博士 博士

次が炎症期。受傷後数時間から3日目までじゃ。最初に好中球が駆けつけ、続いてマクロファージが現れる。

サクラ サクラ

マクロファージって、何をするんですか?

博士 博士

細菌、死んだ細胞、異物を「食べて」掃除する。これが貪食じゃ。さらにサイトカインや成長因子を出して、次の段階を呼び込む司令塔の役割もある。

サクラ サクラ

掃除しながら次の準備もするんですね。じゃあ増殖期はどんな時期ですか?

博士 博士

増殖期は受傷後3日〜数週間。線維芽細胞がコラーゲンを作り、血管新生で新しい毛細血管が伸び、上皮細胞が傷の表面を覆っていく。肉芽組織ができる時期じゃ。

サクラ サクラ

最後の成熟期は?

博士 博士

数週間から数か月かけて、コラーゲン線維が再編成され、瘢痕が硬く成熟していく。傷が「最終的な姿」になる段階じゃ。

サクラ サクラ

炎症期で発赤や腫れがあるのは、悪いことじゃないんですか?

博士 博士

むしろ生体防御の証拠じゃ。発赤・腫脹・熱感・疼痛・機能障害が炎症の五徴で、白血球やマクロファージが集まっているサインじゃ。

サクラ サクラ

ということは、炎症期がうまく終わらないと、次に進めないんですね。

博士 博士

その通り。糖尿病や低栄養、感染、虚血があると炎症期が長引き、慢性創傷になる。看護では栄養、感染制御、湿潤環境の維持が治癒促進の鍵じゃ。

サクラ サクラ

湿潤環境というと、最近のドレッシング材ですね。

博士 博士

そうじゃ。乾燥させるより適度な湿潤を保った方が、上皮化が早く瘢痕も目立ちにくい。「moist wound healing」が現代の創傷ケアの基本じゃ。

サクラ サクラ

段階ごとの主役を覚えると、ケアの目的もはっきり見えてきますね。

POINT

創傷治癒は「出血・凝固期→炎症期→増殖期→成熟期」の4段階で進行し、それぞれ主役となる細胞と現象が異なります。マクロファージは炎症期に登場し、細菌や壊死組織を貪食して創部を清浄化するとともに、成長因子を放出して増殖期へ橋渡しする司令塔の役割を担います。看護では、栄養状態、感染、虚血、湿潤環境の維持といった治癒を妨げる要因を多角的にアセスメントすることが求められ、慢性創傷では炎症期の遷延に着目したケアが重要になります。各段階の特徴と主要細胞を理解することは、創傷観察やケア選択の根拠を明確にし、根拠に基づく看護実践につながります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:創傷の治癒過程でマクロファージによる貪食が行われるのはどれか。

解説:正解は 2 です。創傷治癒は「出血・凝固期(止血期)→炎症期→増殖期→成熟期(再構築期)」の4段階で進行する。受傷後数時間〜3日目にかけての炎症期には、好中球がまず損傷部に集まり、続いて単球がマクロファージに分化して創部に浸潤する。マクロファージは細菌や壊死組織、異物を貪食して創部を清浄化するとともに、各種サイトカインや成長因子を放出して、その後の肉芽形成や血管新生といった増殖期へつなぐ司令塔の役割を担う。

選択肢考察

  1. × 1.  出血・凝固期

    受傷直後〜数時間の段階で、血小板による一次止血と凝固カスケードによる二次止血が行われる。中心となる細胞は血小板であり、マクロファージの本格的な活動は次の炎症期からとなる。

  2. 2.  炎症期

    受傷後数時間から約3日にかけての時期。好中球に続いてマクロファージが浸潤し、細菌や壊死組織を貪食して創部を清浄化するとともに、成長因子を放出して次の増殖期を準備する。

  3. × 3.  増殖期

    受傷後3日〜数週間で、線維芽細胞によるコラーゲン産生、血管新生、肉芽組織形成、上皮化が進む段階。中心は線維芽細胞や血管内皮細胞である。

  4. × 4.  成熟期

    受傷後数週間〜数か月かけてコラーゲン線維が再編成され、瘢痕組織が成熟していく段階。貪食ではなく組織のリモデリングが主体となる。

炎症期にみられる発赤・腫脹・熱感・疼痛・機能障害は古典的な炎症の五徴で、生体防御反応の現れである。慢性創傷ではこの炎症期が遷延し、増殖期への移行が滞ることで治癒が遅延する。栄養(特にタンパク・亜鉛・ビタミンC)、酸素供給、感染制御、湿潤環境の維持が治癒促進の鍵となり、看護では創部観察と全身状態のアセスメントを並行して行う。

創傷治癒の各段階と中心的に働く細胞を結びつけて理解しているかを問う必修問題。マクロファージは炎症期の主役。