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創傷治癒の増殖期の特徴を理解する

看護師国家試験 第103回 午前 第45問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

103回 午前 第45問

創傷の治癒過程における増殖期の状態はどれか。

  1. 1.コラーゲンが成熟する。
  2. 2.基底細胞が創面を覆い始める。
  3. 3.血管内皮細胞が新しい血管を形成する。
  4. 4.マクロファージによって創内の細菌が排除される。

対話形式の解説

博士 博士

今日は創傷治癒の過程について学ぼう。創傷はどんな段階を経て治っていくか知っているかな?

サクラ サクラ

えっと、出血して、かさぶたができて、治る…?

博士 博士

そうだね、もう少し詳しく言うと、止血凝固期→炎症期→増殖期→成熟期の4段階に分かれるんだ。

サクラ サクラ

それぞれの時期で何が起こるんですか?

博士 博士

止血凝固期は血小板凝集とフィブリン形成、炎症期は好中球とマクロファージによる清浄化、増殖期は肉芽形成と血管新生、成熟期はコラーゲンの再構築だよ。

サクラ サクラ

今回の問題の正解は?

博士 博士

正解は3番、血管内皮細胞による新しい血管形成だ。これは血管新生と呼ばれ、増殖期の中心的な現象なんだよ。

サクラ サクラ

血管新生はなぜ重要なんですか?

博士 博士

肉芽組織に酸素と栄養を供給するために必須だよ。VEGFという成長因子が中心的役割を果たすんだ。

サクラ サクラ

他の選択肢の時期は?

博士 博士

1番のコラーゲン成熟は成熟期、4番のマクロファージによる細菌排除は炎症期だね。

サクラ サクラ

2番の基底細胞が創面を覆い始めるのは?

博士 博士

再上皮化は増殖期から始まるけど、設問で「覆い始める」という表現が完了に近いニュアンスで成熟期と判断され、不正解とされているんだ。

サクラ サクラ

創傷治癒を促すために必要なものは?

博士 博士

タンパク質、ビタミンC、亜鉛などの栄養素、十分な酸素、そして湿潤環境だね。糖尿病やステロイド使用は治癒を遅らせるよ。

サクラ サクラ

湿潤療法はどういう原理ですか?

博士 博士

創部を乾燥させずに湿潤環境を保つことで、表皮細胞の遊走と肉芽形成が促進されるんだ。現代の標準的な創傷管理だよ。

サクラ サクラ

ガーゼで乾燥させない方がいいんですね。

博士 博士

その通り。ハイドロコロイドなどの湿潤環境を保つドレッシング材が主流になっているよ。

POINT

創傷治癒は止血凝固期・炎症期・増殖期・成熟期の4段階で進行する。増殖期の特徴は血管内皮細胞による血管新生、線維芽細胞による肉芽形成、表皮細胞の遊走による上皮化である。コラーゲンの再構築は成熟期、マクロファージによる細菌排除は炎症期に起こるため区別が必要となる。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:創傷の治癒過程における増殖期の状態はどれか。

解説:正解は 3 です。創傷治癒過程は①止血凝固期→②炎症期→③増殖期→④成熟期(再構築期)の4段階に分けられます。増殖期(受傷後3〜10日頃)では、線維芽細胞によるコラーゲン産生、血管内皮細胞による新生血管形成(血管新生)、表皮細胞の遊走による表皮形成が起こり、肉芽組織が形成されて創部が縮小します。血管新生は増殖期の特徴的な所見の一つです。

選択肢考察

  1. × 1.  コラーゲンが成熟する。

    コラーゲンの成熟と再構築は成熟期(再構築期、受傷後数週間〜数か月)に起こります。Ⅲ型コラーゲンからⅠ型コラーゲンへの置換や架橋形成により、瘢痕組織が強化されます。

  2. × 2.  基底細胞が創面を覆い始める。

    基底細胞による上皮化(再上皮化)は増殖期にも起こりますが、「覆い始める」という表現は成熟期で完成する過程と捉えられます。設問のニュアンスでは増殖期とは断定しづらく、不正解とされています。

  3. 3.  血管内皮細胞が新しい血管を形成する。

    血管新生(angiogenesis)は増殖期の中心的な現象です。VEGFなどの成長因子により血管内皮細胞が遊走・増殖し、肉芽組織内に毛細血管網が形成されることで組織への酸素・栄養供給が確保されます。

  4. × 4.  マクロファージによって創内の細菌が排除される。

    マクロファージによる細菌や壊死組織の貪食は炎症期(受傷後〜3日頃)の特徴的な現象です。好中球も同時期に動員され、創部の清浄化が進みます。

創傷治癒の4段階:①止血凝固期(数分〜数時間:血小板凝集・フィブリン形成)、②炎症期(〜3日:好中球・マクロファージによる貪食、サイトカイン放出)、③増殖期(3〜10日:肉芽形成・血管新生・上皮化)、④成熟期(数週〜数か月:コラーゲン再構築・瘢痕形成)。栄養(タンパク質・ビタミンC・亜鉛)、酸素、湿潤環境が治癒促進の鍵。

創傷治癒の各時期の特徴的な細胞活動を理解しているかを問う。増殖期=肉芽・血管新生・上皮化、成熟期=コラーゲン再構築。