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AEDの電極パッド 濡れた肌にそのまま貼ってはいけない理由

看護師国家試験 第109回 午後 第44問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第44問

成人に自動体外式除細動器〈 AED 〉を使用する際の電極パッドの貼付で正しいのはどれか。

  1. 1.小児用電極パッドが代用できる。
  2. 2.右前胸部に縦に並べて貼付する。
  3. 3.貼付部の発汗は貼付前に拭き取る。
  4. 4.経皮吸収型テープ剤の上に貼付する。

対話形式の解説

博士 博士

今日はBLSの要、AEDについて学ぶぞ。AEDが何の略か説明できるかの?

アユム アユム

automated external defibrillator、自動体外式除細動器ですね。心室細動や無脈性心室頻拍の心停止に対して電気ショックで心臓のリズムを戻す機器です。

博士 博士

素晴らしい。公共施設にも広く設置されており、誰でも使えるように音声ガイドも付いておる。だが正しい貼付の知識がないと効果が出せん。

アユム アユム

選択肢を見ると、成人に小児用パッドを代用するかどうか、気になりました。

博士 博士

これは不正解じゃ。小児用パッドは電気エネルギーを約3分の1〜4分の1に減衰させる。成人に使うとショック量が不足して除細動できん。

アユム アユム

逆はどうなんですか?小児に成人用を使っても大丈夫?

博士 博士

未就学児(おおむね6歳まで)には小児用パッドや小児・成人切替スイッチが推奨される。ただし小児用がない場合は成人用で代用可とされておる。命優先、じゃな。

アユム アユム

選択肢2の『右前胸部に縦に並べて貼付』はどうでしょう。

博士 博士

これも誤り。正しい貼付位置は右前胸部(右鎖骨下)と左側胸部(腋窩中線、乳頭の斜め下)。心臓を挟み込むように貼ることで電流が心筋を確実に貫く。

アユム アユム

同じ側に並べたら電気が心臓を通らないですもんね。

博士 博士

その通りじゃ。正解の選択肢3に移ろう。貼付部の発汗を拭き取るのはなぜだと思う?

アユム アユム

濡れていると電気が皮膚の表面を流れちゃうから、ですよね。

博士 博士

そうじゃ。体液や汗は電気の通り道になり、皮膚表面をショートしてしまう。心臓まで届かないし、救助者が接触していれば感電リスクもある。

アユム アユム

プールサイドなど濡れた場所では、乾いた場所へ移動して拭き取ってから使う、ということですね。

博士 博士

その通り。金属性の台の上などもNGじゃ。選択肢4の経皮吸収型テープ剤は?

アユム アユム

湿布とかホルモン貼付剤とか、ニトロのテープですよね。

博士 博士

そう。貼付剤の上に電極パッドを重ねると密着が悪くなり、通電不良や熱傷、時には発火の原因にもなる。必ず剥がして薬剤を拭き取ってから電極を貼るんじゃ。

アユム アユム

他に注意することはありますか?

博士 博士

胸毛が濃い場合は密着しないから剃毛、ペースメーカー埋め込み部位は避けて約8cm離す、金属アクセサリーや下着のワイヤーは外す、などじゃな。

アユム アユム

そしてBLSの流れの中では、胸骨圧迫を中断する時間を最小限にすることが大事なんですよね。

博士 博士

その通り。AED解析と通電の瞬間以外は絶え間なく胸骨圧迫を継続することが、救命率向上の鍵じゃ。

アユム アユム

道具の使い方だけでなく、救命アルゴリズム全体で理解する視点が必要なんですね。

POINT

成人にAEDを使用する際は、電極パッドを右前胸部と左側胸部に心臓を挟む形で貼付し、貼付部の発汗や水分はあらかじめ乾いたタオルなどで拭き取ることが正しい手順です。濡れた皮膚では電流が体表を伝ってショートし、心臓への通電効率が著しく低下するだけでなく、救助者への感電リスクも生じます。また小児用パッドは成人には代用できない、経皮吸収型貼付剤は剥がしてから電極を貼る、ペースメーカー部位は避けて貼付する、といった細則も頻出ポイントです。AEDはBLSの中核機器であり、絶え間ない胸骨圧迫と組み合わせて初めて高い救命効果が発揮されるため、貼付手技と蘇生の流れ全体をセットで理解することが重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:成人に自動体外式除細動器〈 AED 〉を使用する際の電極パッドの貼付で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 の貼付部の発汗は貼付前に拭き取る、である。AEDは電極パッドから心臓に電気ショックを通電する機器であり、胸部が汗や水で濡れていると電流が体表を伝ってショートし、心臓へ十分な電気が届かないばかりか、救助者にも感電のリスクが生じる。そのため貼付前にタオルなどで水分をしっかり拭き取ることが必須となる。

選択肢考察

  1. × 1.  小児用電極パッドが代用できる。

    小児用パッドは成人用よりエネルギー量を約3分の1〜4分の1に減衰させるため、成人に使うとショック量が不足し蘇生に失敗する。逆に成人用を小児(未就学児)に使う場合、小児用がなければ成人用で代用可能とされている。

  2. × 2.  右前胸部に縦に並べて貼付する。

    正しい位置は右前胸部(右鎖骨下で胸骨右縁)と左側胸部(左腋窩中線、乳頭の斜め下)の2カ所。心臓を挟み込むように配置することで電流が心筋を貫通する。同じ側に並べると通電経路が確保できない。

  3. 3.  貼付部の発汗は貼付前に拭き取る。

    濡れた皮膚では電流が体表を流れてしまい、心臓への通電効率が著しく低下する。また救助者が接触していた場合の感電リスクもあるため、乾いたタオルなどでしっかり水分を拭き取ってから貼付する。

  4. × 4.  経皮吸収型テープ剤の上に貼付する。

    ニトログリセリン貼付剤やホルモン貼付剤などの上に電極パッドを置くと、密着が不十分となって熱傷や通電不良を起こすほか、貼付剤自体が発火する可能性もある。必ず剥がして薬剤を拭き取ってから貼付する。

AEDの貼付で避けるべき状況は他に、(1)胸毛が濃く密着しない場合は剃毛、(2)ペースメーカー・ICD埋め込み部位は避けて約8cm離して貼付、(3)水中やずぶ濡れのままでは使用しない、(4)金属ネックレスや下着のワイヤーは外すか避ける、など。BLSアルゴリズムでは『反応確認→119番・AED要請→呼吸確認→胸骨圧迫30:2の人工呼吸→AED到着次第装着・解析』の流れを徹底する。

AEDの電極パッド貼付の基本ルールを問う。濡れ・貼付剤・小児用代用・貼付位置という頻出の誤りパターンを整理しておく。