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アルコールでは死なない!芽胞を倒せるのは滅菌だけ

看護師国家試験 第109回 午前 第32問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第32問

細菌の芽胞を死滅させるのはどれか。

  1. 1.紫外線
  2. 2.ポビドンヨード
  3. 3.70 %アルコール
  4. 4.酸化エチレンガス

対話形式の解説

博士 博士

今日は感染対策の基本中の基本、『芽胞』について学ぶのじゃ。これを理解していないと院内感染対策の考え方がぶれてしまう。

アユム アユム

芽胞って、細菌が作る種みたいなものってイメージですが合っていますか?

博士 博士

まさにその通りじゃ。バチルス属やクロストリジウム属などの一部の細菌は、栄養や環境が悪くなると自分の中に分厚い殻で覆われた休眠型の構造を作る。これが芽胞で、熱・乾燥・消毒薬・紫外線に非常に強い。

アユム アユム

具体的にはどんな細菌が芽胞を作るんですか?

博士 博士

破傷風菌、ボツリヌス菌、炭疽菌、ウェルシュ菌、そして近年話題のクロストリジオイデス・ディフィシルなどじゃ。どれも臨床的に重要な菌ばかりじゃのう。

アユム アユム

この問題では芽胞を死滅させるのはどれかが問われていて、酸化エチレンガスが正解とのことです。なぜアルコールやポビドンヨードではダメなんですか?

博士 博士

良いところに気づいた。そもそも『消毒』と『滅菌』は別物じゃ。消毒は病原体を感染力のないレベルまで減らすこと、滅菌はすべての微生物を死滅・除去することを指す。芽胞を倒すには滅菌レベルの処理が必要なのじゃ。

アユム アユム

じゃあ70%アルコールは消毒レベルだから芽胞には効かない、と。

博士 博士

そうじゃ。70%アルコールは栄養型の細菌やエンベロープウイルスには強いが、芽胞・ノロウイルス・ディフィシルには効かない。だからC.ディフィシル感染症では流水と石けんによる手洗いが推奨されるのじゃ。

アユム アユム

紫外線はどうですか?

博士 博士

紫外線殺菌灯は表面の一般細菌には有効じゃが、光が当たる面しか作用せず、芽胞は死なない。これも消毒のカテゴリーじゃ。

アユム アユム

ポビドンヨードは?

博士 博士

これは中水準消毒薬で、細菌・結核菌・真菌・多くのウイルスに効くが、芽胞はやはり苦手。手術部位の皮膚消毒に広く使われるが、滅菌ではない。

アユム アユム

つまり滅菌法はどんなものがあるんですか?

博士 博士

代表は高圧蒸気滅菌、いわゆるオートクレーブで121℃・20分以上、乾熱滅菌は160〜180℃。熱に弱い器材には今日の答えである酸化エチレンガス、過酸化水素プラズマ、γ線照射、濾過滅菌などを使い分けるのじゃ。

アユム アユム

酸化エチレンガスは低温でできるから、ゴムやプラスチック、内視鏡部品にも使えるんですね。

博士 博士

その通り。残留ガスの影響があるためエアレーションの時間が必要なのが欠点じゃが、芽胞を含めすべての微生物を死滅させる力を持つ。

アユム アユム

高水準消毒薬のグルタラールや過酢酸も芽胞に効くと聞きました。

博士 博士

よく知っておる。長時間の浸漬で芽胞にも有効なので、内視鏡などの消毒に使われる。ただし厳密な滅菌ではなく『高水準消毒』なので、用語は区別すること。

アユム アユム

消毒と滅菌の階層構造、しっかり頭に入りました。

POINT

芽胞は一部の細菌が作る極めて耐久性の高い休眠型構造で、通常の消毒では死滅しません。芽胞を含むすべての微生物を死滅させる処理が『滅菌』であり、オートクレーブや乾熱滅菌、酸化エチレンガス滅菌、放射線滅菌などが該当します。紫外線・ポビドンヨード・70%アルコールはいずれも消毒レベルで芽胞への効果は乏しく、とくにアルコール無効はC.ディフィシル対策を考えるうえで重要です。看護師は器材の耐熱性・用途に応じて適切な滅菌・消毒法を選べる知識を持ち、院内感染防止の実践につなげる必要があります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:細菌の芽胞を死滅させるのはどれか。

解説:正解は 4 です。芽胞は一部の細菌(Bacillus属、Clostridium属など)が栄養環境の悪化時につくる極めて耐久性の高い休眠型細胞構造で、加熱・乾燥・消毒薬・紫外線など通常の殺菌処理では死滅しにくい。芽胞まで含めてすべての微生物を死滅させる処理を『滅菌』と呼び、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)、乾熱滅菌、放射線滅菌、濾過滅菌、そしてガス滅菌(酸化エチレンガス=エチレンオキサイドガス)などがある。酸化エチレンガスは熱に弱いゴム・プラスチック製品、内視鏡部品などの滅菌に用いられ、芽胞を確実に死滅させる。

選択肢考察

  1. × 1.  紫外線

    紫外線(殺菌灯、波長約254nm)は表面の栄養型細菌・ウイルスには有効だが、光が当たる面しか効果がなく、芽胞を確実に死滅させることはできない。分類上は消毒に属する。

  2. × 2.  ポビドンヨード

    ヨウ素の酸化作用を用いた中水準消毒薬で、一般細菌・結核菌・多くのウイルス・真菌に有効だが、芽胞への効果は乏しい。

  3. × 3.  70 %アルコール

    栄養型細菌や多くのウイルスに対して高い殺菌力を示す中水準消毒薬だが、芽胞には無効。ノロウイルスやクロストリジオイデス・ディフィシルにも効果が乏しい点が臨床で重要。

  4. 4.  酸化エチレンガス

    エチレンオキサイド(EOG)滅菌は低温で実施可能なガス滅菌法で、芽胞を含むすべての微生物を死滅させる。熱に弱い器材の滅菌に用いられる正解。

消毒レベルは高水準(グルタラール、過酢酸、フタラールなど)・中水準(次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、アルコール)・低水準(第四級アンモニウム塩、クロルヘキシジンなど)に分類される。滅菌法にはオートクレーブ(121℃・20分以上)、乾熱(160〜180℃)、EOGガス、過酸化水素プラズマ、放射線(γ線)、濾過などがあり、器材の耐熱性や用途で使い分ける。芽胞形成菌の代表は破傷風菌、ボツリヌス菌、炭疽菌、C.ディフィシルなど。

消毒と滅菌の違いを前提に、芽胞を死滅させ得る処理(=滅菌)を識別できるかを問う頻出問題。