中心静脈栄養法(TPN)の看護管理
看護師国家試験 第111回 午後 第44問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
中心静脈栄養法を受けている患者の看護について適切なのはどれか。
- 1.カテーテルの刺入部は見えないように覆う。
- 2.カテーテル刺入部を毎日消毒する。
- 3.カテーテルの固定位置を毎日確認する。
- 4.予防的に抗菌薬の投与を行う。
対話形式の解説
博士
今日は中心静脈栄養法、略してTPNの看護について学ぼう。経口や経腸栄養が困難な患者さんに、中心静脈から高カロリー輸液を投与する方法じゃ。
アユム
なぜ末梢ではなく中心静脈なのですか?
博士
高カロリー輸液は浸透圧が高く末梢血管を傷めるからじゃ。中心静脈は血流量が多く、すぐに希釈されるため投与可能になる。
アユム
どこに挿入するのですか?
博士
鎖骨下静脈や内頸静脈、大腿静脈などから挿入し、上大静脈付近に先端を留置する。挿入後はレントゲンで位置確認するのが基本じゃ。
アユム
刺入部の被覆はどうすべきですか?
博士
透明なフィルムドレッシング材を使い、発赤や滲出液などの感染徴候が視認できるようにする。不透明なもので覆うと異常発見が遅れるため、選択肢1は誤りじゃ。
アユム
消毒は毎日するのですか?
博士
いや、CDCガイドラインでは透明ドレッシング材は5〜7日ごと、ガーゼは2日ごとの定期交換が推奨されておる。毎日の消毒は皮膚バリアを傷つけてかえって感染リスクを高める。選択肢2も誤りじゃ。
アユム
正解の3番、固定位置の毎日確認について教えてください。
博士
体動や発汗でカテーテルがずれたり事故抜去の危険があるため、挿入長・固定位置の確認は毎日行う。位置異常は気胸や血管外漏出など重篤な合併症に直結するからじゃ。
アユム
予防的抗菌薬は?
博士
不要じゃ。ガイドラインでもルーチンの予防投与は推奨されておらん。耐性菌のリスクがある。感染予防の要は挿入時の厳重な無菌操作と日常の適切なカテーテル管理じゃ。選択肢4も誤りじゃ。
アユム
挿入時の感染対策は?
博士
マキシマルバリアプリコーションといって、帽子・マスク・滅菌ガウン・滅菌手袋・大きな滅菌覆布を用いる。皮膚消毒はクロルヘキシジングルコン酸塩が第一選択じゃ。
アユム
TPNに特有の合併症はありますか?
博士
CRBSIというカテーテル関連血流感染症のほか、高血糖、低血糖、リフィーディング症候群、脂肪肝、電解質異常などがある。定期的な血糖・電解質モニタリングが必要じゃ。
アユム
事故抜去を防ぐには?
博士
固定の確認、ルート整理、患者の認知状態の評価、必要に応じた抑制の検討もじゃ。いずれも毎日の観察が基盤になる。
POINT
中心静脈栄養法の看護では感染予防と事故予防が二大柱です。刺入部は透明ドレッシング材で覆い観察しやすくし、消毒は定期交換時や汚染時のみ行います。カテーテルの固定位置は体動によるずれや事故抜去を防ぐため毎日確認し、予防的抗菌薬投与は推奨されません。感染予防の基本は挿入時の無菌操作と日常のカテーテル管理です。正解は選択肢3です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:中心静脈栄養法を受けている患者の看護について適切なのはどれか。
解説:正解は 3 です。中心静脈栄養法(TPN:Total Parenteral Nutrition)は、経口・経腸栄養が困難な患者に対し、鎖骨下静脈や内頸静脈などから中心静脈にカテーテルを留置し、高濃度の糖質・アミノ酸・脂肪乳剤・電解質・ビタミンなどを含む高カロリー輸液を投与する栄養療法です。カテーテルの位置異常や事故抜去は重篤な合併症(気胸・血胸・空気塞栓・栄養剤の血管外漏出など)を引き起こすため、固定位置の毎日の確認は基本的な看護ケアとなります。
選択肢考察
-
× 1. カテーテルの刺入部は見えないように覆う。
刺入部は透明なフィルムドレッシング材で覆い、発赤・腫脹・滲出液・出血などの感染徴候を視認できるようにします。不透明な被覆材では異常の早期発見ができず不適切です。
-
× 2. カテーテル刺入部を毎日消毒する。
CDCガイドラインおよびわが国の感染管理指針では、透明ドレッシング材は5〜7日ごと、ガーゼドレッシング材は2日ごとの定期交換が推奨されており、汚染や剥がれがある場合はその都度交換・消毒します。毎日の消毒は皮膚バリアを損傷し、かえって感染リスクを高めます。
-
○ 3. カテーテルの固定位置を毎日確認する。
体動や発汗、ドレッシング材のゆるみによってカテーテルがずれたり、事故抜去の危険があるため、挿入長・固定位置の毎日の確認は必須です。位置異常は重篤な合併症に直結するため、ずれがあれば速やかに医師へ報告します。
-
× 4. 予防的に抗菌薬の投与を行う。
CDCガイドラインでもCRBSI(カテーテル関連血流感染症)予防目的の抗菌薬ルーチン投与は推奨されていません。耐性菌の出現や副作用のリスクがあり、挿入時の厳重な無菌操作と日常のカテーテル管理が感染予防の基本となります。
CRBSIの予防には、マキシマルバリアプリコーション(帽子・マスク・滅菌ガウン・滅菌手袋・大きな滅菌覆布)での挿入、クロルヘキシジングルコン酸塩での皮膚消毒、大腿静脈の回避、不要なカテーテルの早期抜去が推奨されます。合併症としては感染のほか、高血糖・低血糖、リフィーディング症候群、脂肪肝、電解質異常などがあり、定期的な血糖・電解質モニタリングが必要です。
中心静脈カテーテル管理における感染予防・事故予防の基本的看護を問う問題です。
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