脳血管造影の看護で最重要の観察は?
看護師国家試験 第111回 午前 第47問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
脳血管造影を行う患者の看護について適切なのはどれか。
- 1.前日に頭部の剃毛を行う。
- 2.検査中は患者に話しかけない。
- 3.穿刺部末梢側の動脈の拍動を確認する。
- 4.検査30分前まで食事摂取が可能である。
対話形式の解説
博士
今日は脳血管造影、いわゆるDSAの看護じゃ。侵襲的な検査なので観察項目をしっかり押さえよう。
サクラ
カテーテルはどこから入れるんですか?
博士
代表的なのは大腿動脈じゃが、近年は橈骨動脈からのアプローチも増えておる。頭部から穿刺することはない。
サクラ
では選択肢1の頭部剃毛は誤りですね。
博士
そのとおり。剃毛が必要なのは穿刺部、通常は鼠径部じゃ。
サクラ
正解はどれですか?
博士
3の『穿刺部末梢側の動脈の拍動を確認する』じゃ。カテーテル血栓や圧迫による動脈閉塞で末梢虚血を起こし得るからの。
サクラ
大腿動脈穿刺なら足背動脈や後脛骨動脈を触れるんですね。
博士
そのとおり。拍動、皮膚色、皮膚温、感覚、チアノーゼの有無を経時的にチェックする。橈骨アプローチなら指先の循環を見る。
サクラ
選択肢2の『検査中は話しかけない』はどう考えますか?
博士
不適切じゃ。造影中は声かけで意識レベル・麻痺・言語障害の変化を評価するのが大切じゃ。不安軽減にもつながる。
サクラ
選択肢4の『検査30分前まで食事』は?
博士
造影剤で嘔気・嘔吐が起こると誤嚥のリスクがある。通常は数時間前からの絶食が必要じゃ。
サクラ
他に重要な注意点は?
博士
造影剤アレルギー歴、喘息、腎機能、甲状腺機能、ビグアナイド薬服用の確認じゃ。メトホルミンは検査前後48時間の休薬が原則じゃよ。
サクラ
検査後の安静はどのくらいですか?
博士
大腿動脈アプローチなら穿刺側下肢を伸展固定し、圧迫止血したうえで4~6時間程度のベッド上安静が一般的じゃ。
サクラ
観察項目を教えてください。
博士
穿刺部出血・血腫・腫脹、末梢循環、バイタル、意識・神経症状、排尿、造影剤腎症を疑う尿量変化などじゃ。
サクラ
脳梗塞の合併症もあるんですね。
博士
そのとおり。麻痺、構音障害、意識障害が出たら即座に医師へ報告、緊急対応じゃ。
POINT
脳血管造影では穿刺部末梢側の動脈拍動・皮膚色・皮膚温の観察が最重要の看護ポイントです。頭部剃毛は不要で、穿刺部位は大腿動脈や橈骨動脈が主体です。検査中は声かけで意識・神経症状を評価し、造影剤による嘔吐・誤嚥予防のため検査前は絶食とします。造影剤アレルギー・腎症、穿刺部合併症、脳梗塞への警戒が重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:脳血管造影を行う患者の看護について適切なのはどれか。
解説:正解は 3 です。脳血管造影は大腿動脈や橈骨動脈などからカテーテルを挿入しヨード造影剤を注入して頭蓋内血管を描出する検査です。カテーテル操作や穿刺部圧迫による血栓形成・動脈閉塞で末梢虚血を起こし得るため、穿刺部より末梢側の動脈拍動、皮膚色、皮膚温、感覚、チアノーゼの有無を定期的に観察することが看護の要点となります。
選択肢考察
-
× 1. 前日に頭部の剃毛を行う。
穿刺部位は大腿動脈や橈骨動脈などで、頭部からの穿刺は行いません。頭部の剃毛は不要であり誤りです。
-
× 2. 検査中は患者に話しかけない。
検査中は意識レベル・神経症状・不快感の変化を把握するため、声かけで意識状態や麻痺の有無を評価します。患者の不安軽減の意味もあり、沈黙は不適切です。
-
○ 3. 穿刺部末梢側の動脈の拍動を確認する。
カテーテル血栓や圧迫固定による末梢動脈閉塞を早期発見するため、検査中・検査後を通じて穿刺部より末梢側の動脈拍動、皮膚色、皮膚温を観察します。最も重要な看護ポイントで、これが正解です。
-
× 4. 検査30分前まで食事摂取が可能である。
造影剤による嘔気・嘔吐で誤嚥を起こす危険があるため、検査前は数時間の絶食が必要です。30分前までの食事摂取は不適切です。
脳血管造影の合併症には、造影剤アレルギー、造影剤腎症、穿刺部血腫・仮性動脈瘤、動脈解離、脳塞栓・脳梗塞、末梢虚血があります。検査後は穿刺側下肢の伸展固定と安静を指示し、圧迫帯のゆるみ・出血・腫脹・末梢循環を頻回にチェックします。造影剤使用後はビグアナイド薬(メトホルミン)は48時間休薬、甲状腺機能への影響にも注意します。
侵襲的検査である脳血管造影の看護の要点、特に『穿刺部末梢の循環観察』を選択できるかを問う問題です。
「診療に伴う看護技術」の関連記事
-
改訂水飲みテストの正解は「呼吸を見る」 ―誤嚥スクリーニングを使い分ける
改訂水飲みテストの実施方法(冷水3mL・口腔底注入・5段階評価)と評価項目(嚥下、呼吸状態、湿性嗄声、反復嚥下)…
114回
-
ホルター心電図のミソ ―普段通り生活しつつ電磁波を避ける
ホルター心電図は「日常生活下での24時間連続記録」が目的であることを軸に、電極装着部位・装着時間・電磁干渉の回…
114回
-
新鮮凍結血漿の温度管理―凝固因子を守る30〜37℃のルール
新鮮凍結血漿の取り扱い(融解温度・使用期限・保管条件・輸血セット)を問う問題。30〜37℃で融解し速やかに使用する…
114回
-
胃カメラ前後の看護、押さえるべきポイント
上部消化管内視鏡検査における前処置(絶食)、検査中体位、検査後の飲食制限など、看護師が把握しておくべき検査管…
114回
-
成人の骨髄穿刺はどこを刺す? 〜後腸骨稜が第一選択になる理由〜
成人骨髄穿刺の第一選択部位(後腸骨稜)と、混同されやすい腰椎穿刺・胸骨穿刺の部位の違いを問う問題。
114回