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マズローの欲求階層で読み解く高齢者の願い

看護師国家試験 第105回 午前 第35問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第35問

高齢者が趣味の絵画を地区の展覧会に発表したいという欲求はどれか。

  1. 1.自尊の欲求
  2. 2.所属の欲求
  3. 3.安全の欲求
  4. 4.生理的欲求

対話形式の解説

博士 博士

今日はマズローの欲求階層説じゃ。高齢者が絵画を展覧会に発表したいという気持ちを分析してみよう。

サクラ サクラ

マズローの欲求は5段階ありましたよね。

博士 博士

よく覚えておる。下から生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求じゃ。承認の欲求は自尊の欲求とも呼ばれる。

サクラ サクラ

下位の欲求が満たされると上位に進むのですか。

博士 博士

その通り。お腹が満たされ身の安全が確保され、家族や仲間に受け入れられて初めて、人は「認められたい」「自分らしく生きたい」と望むようになる。

サクラ サクラ

今回の事例では、高齢者が趣味の絵画を展覧会で発表したいと望んでいますね。

博士 博士

これは他者から評価されたい、認められたいという思いじゃ。自尊の欲求、つまり選択肢1が正解となる。

サクラ サクラ

自己実現の欲求と迷いますが、違いは何ですか。

博士 博士

自己実現の欲求は「自分の可能性を最大限に発揮したい」「あるべき自分になりたい」という内的な達成志向じゃ。一方、自尊の欲求は「他者から認められたい」という外的承認が軸になる。展覧会という他者評価の場がキーワードじゃな。

サクラ サクラ

選択肢2の所属の欲求はどうですか。

博士 博士

これは集団に属したい、仲間になりたいという欲求じゃ。「絵画サークルに入りたい」なら所属の欲求だが、今回は発表して評価を得たい場面なので違う。

サクラ サクラ

選択肢3の安全の欲求は。

博士 博士

身の安全や経済的安定を求める欲求じゃ。転倒しないように手すりをつけたい、老後資金を蓄えたいといった場面に該当する。

サクラ サクラ

選択肢4の生理的欲求は最下位ですよね。

博士 博士

そうじゃ、食・睡眠・排泄・呼吸など生命維持に直結する欲求。この問題とは無関係じゃな。

サクラ サクラ

高齢者の看護では承認の欲求が重要になりそうですね。

博士 博士

よい視点じゃ。高齢者は社会的役割を失いがちで自尊心が低下しやすい。趣味や特技を発揮できる場を提供し、称賛されることは大きな支えになる。

サクラ サクラ

自尊感情を保つことが生きがいにつながるのですね。

博士 博士

まさにその通り。看護師として高齢者の強みに目を向け、認める関わりが大切じゃ。

サクラ サクラ

正解は1の自尊の欲求ですね。

博士 博士

よく理解できておる。マズローの階層は概念的だが、臨床で患者の欲求を捉える枠組みとして役立つのじゃ。

POINT

マズローの欲求階層説では自尊の欲求は第4段階に位置し、他者から認められ尊敬されたいという承認欲求を指します。高齢者が展覧会で絵画を発表したいという願いは他者評価を求める行動であり、自尊の欲求に該当します。自己実現との違いは他者承認の有無で判断し、各段階の特徴を押さえましょう。本問の正解は選択肢1です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:高齢者が趣味の絵画を地区の展覧会に発表したいという欲求はどれか。

解説:正解は1です。マズローの欲求階層説では、人間の基本的欲求を下位から①生理的欲求、②安全の欲求、③所属と愛の欲求、④承認(自尊)の欲求、⑤自己実現の欲求の5段階に分類します。自尊の欲求には「自己に対する評価」と「他者からの承認・尊敬を得たい」という2つの側面があり、趣味の絵画を展覧会で発表して他者から認められたいという思いは自尊(承認)の欲求に該当します。

選択肢考察

  1. 1.  自尊の欲求

    正しい記述です。自尊(承認)の欲求は、自分の能力を発揮して他者から認められたい、評価されたいという欲求です。展覧会で発表することで他者の評価を得たいと願う気持ちはこれに該当します。

  2. × 2.  所属の欲求

    誤りです。所属と愛の欲求は、家族・友人・集団に所属し受け入れられたいという欲求で、仲間に入りたい、孤立を避けたいといった思いが該当します。

  3. × 3.  安全の欲求

    誤りです。安全の欲求は、身の安全や経済的安定、病気や事故からの保護を求める欲求で、下位から2番目に位置づけられます。

  4. × 4.  生理的欲求

    誤りです。生理的欲求は食事・睡眠・排泄・呼吸など生命維持に不可欠な最も基本的な欲求で、階層の最下位に位置します。

マズローは後年、最上位に「自己超越の欲求」を加えた6段階説も提唱しました。下位の欲求が充足されると次の段階の欲求が表出する点が特徴です。自己実現の欲求は「自分の可能性を最大限に発揮したい」という欲求で、自尊の欲求とは「他者からの承認」の有無で区別するとわかりやすいです。

マズローの5段階欲求階層説の各段階の特徴を理解し、具体的な行動がどの欲求に該当するかを判断できるかを問う問題です。