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患者の自立支援―『やってあげる看護』からの卒業

看護師国家試験 第106回 午後 第78問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第78問

患者の自立支援で適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.不足している知識を補う。
  2. 2.発病前の生活習慣を尊重する。
  3. 3.支援目標を看護師があらかじめ定める。
  4. 4.できないことに焦点を当てて行動を修正する。
  5. 5.支援者である看護師が上位の関係が望ましい。

対話形式の解説

博士 博士

今日は患者の自立支援の問題じゃ。自立支援って具体的に何を指すか、言葉にできるかの?

アユム アユム

えっと…患者さんが自分でできるように支えること、ですか?

博士 博士

その通り。キーワードは『自己決定』『主体性』『その人らしさ』じゃ。単に身の回りのことを代わってあげるのではなく、本人が選び、行動できるように伴走するのじゃ。

アユム アユム

なるほど。じゃあ選択肢の『不足している知識を補う』は適切そうですね。

博士 博士

うむ、患者が意思決定するには正確な情報が不可欠じゃ。看護師は専門職として分かりやすく補う役割がある。

アユム アユム

『発病前の生活習慣を尊重する』のも大事ですね。患者さんにも人生があるし。

博士 博士

その通り。発病前の生活リズム、食文化、趣味、価値観を尊重し、できる限り近い形で生活を再構築することがアイデンティティを守るのじゃ。

アユム アユム

でも疾患によっては生活を大きく変えなきゃいけないこともありますよね。

博士 博士

良い視点じゃ。その場合も『どこまで戻せるか、どう妥協するか』を患者と一緒に考えるのがコツ。看護師が一方的に決めてはいかん。

アユム アユム

だから選択肢3の『看護師があらかじめ目標を定める』は不適切なんですね。

博士 博士

その通り。自立支援では目標設定も患者主体。看護師は選択肢を提示し、共に考えるファシリテーターじゃ。

アユム アユム

『できないことに焦点を当てる』もダメですよね。落ち込みそう。

博士 博士

うむ。最近はストレングス視点といって『できること、持っている力』に注目する考え方が主流じゃ。自己効力感が育つと、自然とできることが増えていくのじゃ。

アユム アユム

看護師が上位、というのも違和感があります。

博士 博士

その通り!看護師と患者はパートナーじゃ。上下関係では患者は依存的になり、自己決定を失う。

アユム アユム

自立支援って、介護保険法の理念にも入っていますよね。

博士 博士

よく知っておるな。介護保険法第1条に『自立した日常生活を営むことができるよう支援する』と明記されておる。超高齢社会の政策的キーワードじゃ。

アユム アユム

『やってあげる看護』から『一緒に考える看護』への転換が求められているんですね。

博士 博士

まさにその通り。エンパワメント、ストレングス、自己決定、アドボカシー…これらは自立支援を支える重要な概念じゃ。

POINT

患者の自立支援とは、患者自身が健康問題に主体的に取り組み、その人らしい生活を送れるように看護師が伴走することを意味します。適切な援助は、不足している知識を専門職として補うこと、そして発病前の生活習慣や価値観を尊重して生活再構築を支援することです。看護師が目標を一方的に決める、できないことばかり指摘する、上下関係を作るなどの姿勢は、患者の主体性を奪い依存を招くため不適切です。介護保険法の理念にも明記されている通り、ストレングス視点・自己決定・アドボカシーを土台にした自立支援は、超高齢社会における看護の中核的役割といえます。

解答・解説

正解は 1 2 です

問題文:患者の自立支援で適切なのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 1 と 2 です。自立支援とは、患者が自分の意思で健康問題に取り組み、その人らしい生活を送れるように援助することです。看護師は患者の主体性・自己決定を尊重し、できる部分を引き出し、患者と対等な関係の中で伴走する立場を取ります。そのため、①不足している知識や技術を専門職として補うこと、②発病前の生活習慣や価値観を尊重して生活再構築を支援することが適切です。一方で、看護師が目標を一方的に決める、できないことばかり指摘する、上下関係を作るといった姿勢は、患者の主体性を奪い依存を招くため不適切です。

選択肢考察

  1. 1.  不足している知識を補う。

    患者が自己管理や意思決定を行うには正確な情報が必要。専門知識を分かりやすく補うことでセルフケア能力が高まり、自立につながる。

  2. 2.  発病前の生活習慣を尊重する。

    発病前の生活様式や価値観を尊重し、それに近い形で生活を再構築することは患者のアイデンティティと意欲を守り、自立支援の基本姿勢となる。

  3. × 3.  支援目標を看護師があらかじめ定める。

    目標は患者自身が主体となり、看護師と共に話し合って決めるもの。看護師が一方的に決めると患者は受動的になり自立を妨げる。

  4. × 4.  できないことに焦点を当てて行動を修正する。

    できないことばかり指摘するとストレングスを見失い、自己効力感が低下する。できること・残された力(ストレングス)に注目し伸ばす視点が自立支援の基本。

  5. × 5.  支援者である看護師が上位の関係が望ましい。

    看護師と患者はパートナーとして対等な関係で協働するのが望ましい。上下関係は患者の依存を助長し、自己決定権を侵害する。

自立支援の理論的背景にはエンパワメント、ストレングス視点、自己決定理論(SDT)、セルフケア理論(オレム)などがある。特に慢性疾患患者では『疾患を持ちながら自分らしく生きる』ための支援が求められ、患者教育・意思決定支援・アドボカシー(権利擁護)が看護の中心になる。介護保険法第1条にも『自立した日常生活を営むことができるよう支援すること』が理念として明記されており、超高齢社会の中で自立支援は政策的にも重要。

看護の基本姿勢としての自立支援=『患者中心・対等・ストレングス・自己決定』を理解しているかを問う問題。看護師主導の姿勢はすべて不適切となる。