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ICFって何だ?障害の見方を変えたWHOの画期的な分類

看護師国家試験 第106回 午前 第84問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第84問

国際生活機能分類〈ICF〉の構成要素はどれか。2つ選べ。

  1. 1.参加
  2. 2.休息
  3. 3.社会的不利
  4. 4.生活関連動作
  5. 5.心身機能・構造

対話形式の解説

博士 博士

今日は国際生活機能分類、通称ICFについて学ぶぞ。看護・リハビリ・介護すべてで使われる超重要な枠組みじゃ。

アユム アユム

ICFって聞いたことあります。でも構成要素が多くて覚えられないんです。

博士 博士

大丈夫、整理すれば簡単じゃ。まずICFは2001年にWHOが採択した「人間の生活機能と障害」を分類する枠組み。前身のICIDH(1980年)から大きく進化したんじゃ。

アユム アユム

ICIDHとICFは何が違うんですか?

博士 博士

ICIDHは「機能・形態障害→能力障害→社会的不利」と、障害のマイナス面だけを一方向に見ておった。これに対しICFは、プラス面も含めて双方向的に捉える。つまり「できないこと」より「どう生活しているか」を見るんじゃ。

アユム アユム

選択肢3の「社会的不利」はICIDHの用語ってことですね。だから×なんだ。

博士 博士

その通り!よく気づいたの。ICFの構成要素は大きく3つ。①生活機能(心身機能・身体構造/活動/参加)、②背景因子(環境因子/個人因子)、③健康状態、じゃ。

アユム アユム

選択肢1の「参加」と選択肢5の「心身機能・構造」はICFの構成要素ですね。

博士 博士

その通り、正解じゃ。では「参加」とは具体的に何を指すと思う?

アユム アユム

参加…みんなと一緒に活動すること?

博士 博士

近いのう。正確には「生活・人生場面への関わり」じゃ。家庭での役割、職場での仕事、地域での活動、趣味の集まりなど、社会的な関与すべてを含む。

アユム アユム

じゃあ「活動」との違いは?

博士 博士

「活動」は個人レベルの課題遂行、例えば「歩く」「食べる」「着替える」など個人が行う行為。「参加」はそれを社会の中で発揮する場面のことじゃ。

アユム アユム

なるほど、活動は個人、参加は社会なんですね。選択肢4の「生活関連動作」は?

博士 博士

生活関連動作はAPDLやIADLと呼ばれ、掃除・買い物・交通機関の利用などを指す概念。これはADLよりは広いが、ICFの正式な構成要素ではない。ICFでは「活動」の中に含まれるんじゃ。

アユム アユム

選択肢2の「休息」は…構成要素ではなさそうですね。

博士 博士

うむ、休息はICFの構成要素ではない。活動の一部として扱われることはあるが、独立した項目ではない。

アユム アユム

背景因子の「環境因子」と「個人因子」って具体的に?

博士 博士

環境因子は物的環境(住居、福祉用具)、人的環境(家族、友人、医療者)、社会的環境(制度、文化)など。個人因子は年齢、性別、価値観、ライフスタイルなど本人の属性じゃ。

アユム アユム

ICFって看護でどう使うんですか?

博士 博士

看護過程で対象者を全人的に捉えるのに役立つ。例えば脳梗塞の患者さんなら、心身機能の麻痺だけでなく、家での活動、職場復帰という参加、家族のサポート(環境因子)、本人の意欲(個人因子)まで総合的にアセスメントできるんじゃ。

アユム アユム

単に「できない部分」を見るんじゃなくて、生活全体を見る視点ですね。

博士 博士

そう、それがICFの最大の価値じゃ。障害を「その人の一部」と捉え、環境調整やリハビリで参加を高めるという発想じゃよ。

POINT

国際生活機能分類(ICF)は2001年にWHOが採択した生活機能と障害の分類枠組みで、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの生活機能と、「環境因子」「個人因子」の背景因子、そして「健康状態」から構成されます。前身のICIDHが障害をマイナス面から一方向的に捉えていたのに対し、ICFはプラス面を含めて双方向的・総合的に人の生活を捉え直した点が画期的です。看護過程、リハビリテーション計画、介護保険のケアプラン作成など、医療・福祉の現場で広く活用されています。ICIDHの「社会的不利」などの古い用語との違いに注意し、障害を「その人と環境の相互作用」として捉える視点を身につけることが、現代の看護実践に不可欠です。

解答・解説

正解は 1 5 です

問題文:国際生活機能分類〈ICF〉の構成要素はどれか。2つ選べ。

解説:正解は 1 と 5 です。国際生活機能分類(ICF: International Classification of Functioning, Disability and Health)は、2001年にWHO総会で採択された、人間の生活機能と障害を分類するための枠組みである。構成要素は生活機能(①心身機能・身体構造、②活動、③参加)と背景因子(④環境因子、⑤個人因子)、そしてこれらに影響を及ぼす「健康状態」からなる。選択肢の中では「参加」と「心身機能・構造」がICFの構成要素に該当する。

選択肢考察

  1. 1.  参加

    参加は「生活・人生場面への関わり」を表すICFの生活機能のひとつ。家庭・職場・地域社会での役割遂行などが含まれ、ICFの中核的概念である。

  2. × 2.  休息

    休息はICFの構成要素ではない。ただし「活動」の一項目としてADLの中に含まれることはあるが、独立した構成要素として位置づけられてはいない。

  3. × 3.  社会的不利

    社会的不利(handicap)はICFの前身であるICIDH(国際障害分類・1980年)で用いられた用語。ICFではマイナス面だけでなくプラス面も含む「参加」に置き換えられている。

  4. × 4.  生活関連動作

    生活関連動作(APDL/IADL)はADLよりも広い生活圏の活動を指す概念で、ICFの正式な構成要素名ではない。ICFでは「活動」の中に含まれる。

  5. 5.  心身機能・構造

    心身機能(身体系の生理的機能・心理的機能)と身体構造(器官や手足など身体の解剖学的部分)はICFの生活機能の第一レベル。選択肢通り構成要素である。

ICFは1980年のICIDH(国際障害分類)の改訂版として2001年WHO総会で採択された。ICIDHが「機能・形態障害→能力障害→社会的不利」という障害のマイナス面のみを一方向的に捉えていたのに対し、ICFは「心身機能・構造」「活動」「参加」という生活機能のプラス面から捉え直し、これに「環境因子」と「個人因子」という背景因子を加えた双方向的な相互作用モデルへ転換した点が画期的である。看護過程やリハビリテーション、介護保険のケアプラン作成などで広く活用されている。

ICFの構成要素を正確に選べるかを問う問題。ICIDHの古い用語(社会的不利)との違いに注意。