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加齢による生理機能の低下と最大換気量

看護師国家試験 第111回 午前 第54問 / 老年看護学 / 高齢者の健康

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第54問

30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下するのは次のうちどれか。

  1. 1.基礎代謝率
  2. 2.最大換気量
  3. 3.細胞内水分量
  4. 4.神経伝導速度

対話形式の解説

博士 博士

今回は30歳を100%としたときに老年期で最も残存率が低い生理機能はどれか、という問題じゃ。

アユム アユム

加齢で色々な機能が落ちるイメージはありますが、どれが一番落ちるのでしょう。

博士 博士

正解は選択肢2の最大換気量じゃ。Shockらの古典的研究で、30歳時と比べ75〜80歳では最大換気量は40〜50%程度まで低下することが示されておる。

アユム アユム

半分以下ですか、すごい減り方ですね。

博士 博士

肺胞壁の弾性線維が減少し、胸郭が硬くなり、呼吸筋の筋力も落ちる。さらに残気量が増えて肺活量が減るんじゃ。

アユム アユム

他の選択肢も比較したいです。

博士 博士

選択肢1の基礎代謝率は筋肉量減少で下がるが80〜85%は保たれる。生命維持に直結するからな。

アユム アユム

選択肢3の細胞内水分量はどうですか?

博士 博士

体内総水分量は成人60%から高齢者50〜55%に低下し、特に細胞内液が減る。残存率は75〜80%で、最大換気量ほどではない。ただし脱水リスクが高まる臨床的意義は大きいぞ。

アユム アユム

選択肢4の神経伝導速度は?

博士 博士

これは最も保たれる機能で、30歳時の85〜90%程度は維持される。

アユム アユム

順番に並べるとどうなりますか?

博士 博士

残存率が高い順に、神経伝導速度>基礎代謝率>細胞内水分量>最大換気量じゃ。

アユム アユム

他の臓器の残存率も気になります。

博士 博士

国試頻出なのは腎血漿流量が約50%、糸球体濾過量(GFR)が約60%、最大心拍出量が約70%じゃ。呼吸・腎・循環は落ちやすく、神経・代謝は保たれると覚えるとよい。

アユム アユム

高齢者が術後に呼吸器合併症を起こしやすいのはこのためですね。

博士 博士

その通りじゃ。呼吸予備能が小さいから、少しの負荷で呼吸不全に陥りやすい。肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンが推奨されるのもこの背景があるからじゃ。

アユム アユム

数値とセットで加齢変化を覚えます。

POINT

加齢による生理機能の残存率はShockらの研究でよく知られ、最大換気量は30歳時の40〜50%と最も低下し、神経伝導速度は85〜90%で最も保たれます。肺胞壁の弾性低下、胸郭の可動性低下、呼吸筋力低下が呼吸予備能を大きく奪い、高齢者が肺炎や術後呼吸器合併症に脆弱である生理学的基盤となっています。国試では具体的数値とあわせて「呼吸・腎・循環は落ちやすい」というパターンを押さえ、神経伝導速度・基礎代謝率は比較的保たれる点を区別することが得点につながります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下するのは次のうちどれか。

解説:正解は 2 です。Shockらの古典的研究によれば、30歳時を100%とした場合の老年期(75〜80歳)の生理機能残存率は、神経伝導速度が約85〜90%で最もよく保たれ、次いで基礎代謝率約80〜85%、細胞内水分量約75〜80%となり、最大換気量(肺活量)は約40〜50%と最も著しく低下します。呼吸機能は肺の弾性低下、胸郭コンプライアンス低下、呼吸筋力低下が複合して加齢変化が顕著に現れる生理機能です。

選択肢考察

  1. × 1.  基礎代謝率

    基礎代謝率は加齢により筋肉量(除脂肪体重)が減少するため低下しますが、生命維持に直結するため80〜85%程度は保たれ、最大換気量ほど著しくは低下しません。

  2. 2.  最大換気量

    最大換気量(MVV)や努力性肺活量は30歳時の40〜50%程度にまで低下し、選択肢の中で残存率が最も低い生理機能です。肺胞壁の弾性線維の減少、胸郭の可動性低下、呼吸筋の筋力低下、残気量増加などが原因で、高齢者の呼吸予備能は大きく失われます。よって本選択肢が正解です。

  3. × 3.  細胞内水分量

    体内総水分量は成人で約60%、高齢者で約50〜55%に低下し、特に細胞内液の減少が目立ちますが残存率は75〜80%程度で、最大換気量の低下ほどには大きくありません。脱水リスクの高まりという臨床的意義は重要です。

  4. × 4.  神経伝導速度

    末梢神経の伝導速度は加齢により髄鞘変性などで低下しますが、生理機能の中では最も保持率が高く、30歳時の85〜90%程度は保たれます。よって最も低下する機能には該当しません。

Shockらの加齢による臓器機能低下データは国試頻出で、覚え方は「呼吸・腎・循環は落ちやすく、神経・代謝は保たれる」。特に腎血漿流量は約50%、最大心拍出量は約70%、最大換気量は約40%、糸球体濾過量は約60%などの具体的数値がよく出題されます。最大換気量が最も低下する理由は、肺の加齢変化(肺胞壁の弾性低下、胸郭硬化、呼吸筋力低下、残気量増加)が重なり、可逆性が低いためです。高齢者の肺炎や手術後の呼吸器合併症が多い背景にもつながります。

加齢による生理機能の残存率を比較し、最も低下する機能を選択する問題です。呼吸機能(最大換気量)の加齢変化が最も著しいことを押さえます。