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高齢者の眠りを整える魔法——朝の光がすべてを変える

看護師国家試験 第106回 午前 第55問 / 老年看護学 / 高齢者の生活を支える看護

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第55問

高齢者の活動と休息のリズムの調整について最も適切なのはどれか。

  1. 1.午前中に日光を浴びる機会をつくる。
  2. 2.昼食後に入浴する。
  3. 3.昼寝をしない。
  4. 4.就寝前に水分を多く摂る。

対話形式の解説

博士 博士

今日は高齢者の活動と休息のリズム調整じゃ。『最近よく眠れない』という高齢者の訴えはとても多いのう。

サクラ サクラ

確かに実習先でも『夜中に何度も目が覚める』という方が多かったです。なぜ高齢者は眠れなくなるんですか?

博士 博士

加齢で体内時計が前進し、早寝早起きになる。さらに深睡眠が減って中途覚醒が増えるんじゃ。熟眠感が得られにくいのは加齢変化の一つじゃな。

サクラ サクラ

薬に頼らず改善する方法はあるんですか?

博士 博士

あるぞ。最も効果的なのが『朝〜午前中に日光を浴びる』ことじゃ。

サクラ サクラ

日光がそんなに大事なんですか?

博士 博士

うむ。2500ルクス以上の強い光を浴びると体内時計がリセットされて、セロトニンが合成される。セロトニンは日中の覚醒と気分の安定を支えるホルモンじゃ。

サクラ サクラ

夜の眠気にも関係しますか?

博士 博士

大ありじゃ。セロトニンは夜になるとメラトニンに変換されて分泌が増える。光を浴びてから14〜16時間後に眠気が出る仕組みじゃ。朝7時に光を浴びれば夜9〜11時に自然な眠気が来るわけじゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の『昼食後に入浴』はなぜダメなんですか?

博士 博士

食直後は消化管に血流を集めないといかん。入浴で皮膚血流を増やすと消化不良を起こすし、副交感神経優位で強い眠気が出て昼夜逆転の原因にもなる。

サクラ サクラ

入浴のベストタイミングは?

博士 博士

就寝1〜2時間前がよい。入浴で上がった深部体温が下がる過程で自然な眠気が誘導されるんじゃ。

サクラ サクラ

昼寝は絶対にダメなんですか?

博士 博士

いや、短時間ならむしろ有用じゃ。15〜30分、午後3時より前の午睡は疲労回復と午後の活動性維持に役立つ。ただし1時間以上や夕方の昼寝は夜の睡眠を妨げるからNGじゃ。

サクラ サクラ

夜中にトイレで起きるのを防ぐには?

博士 博士

就寝前の水分を控えめにし、日中にしっかり水分補給するのがコツじゃ。カフェインやアルコールも利尿作用があるから避けること。

サクラ サクラ

高齢者に睡眠薬は慎重にと聞きますが、どうしてですか?

博士 博士

ベンゾジアゼピン系は筋弛緩作用で転倒骨折を招き、せん妄を誘発することもある。まずは生活リズムの調整と環境整備——これが睡眠衛生指導の基本じゃ。

サクラ サクラ

朝の光、日中の活動、短い昼寝、就寝前の工夫。シンプルですけど一番効果的なんですね。

POINT

高齢者は加齢により概日リズムが前進し、深睡眠の減少と中途覚醒の増加が生じて睡眠の質が低下します。これを整える最も効果的な介入が朝〜午前中の日光曝露で、セロトニン合成と夜間メラトニン分泌を通じて自然な睡眠・覚醒リズムを回復させます。昼寝は15〜30分以内・午後3時以前、就寝前の入浴は1〜2時間前、夜間の水分過剰は避ける、といった睡眠衛生指導が基本となります。薬物療法は転倒・せん妄リスクから慎重を期し、看護師は非薬物療法による生活リズムの再構築を優先して支援することが求められます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:高齢者の活動と休息のリズムの調整について最も適切なのはどれか。

解説:正解は 1 です。加齢により体内時計(概日リズム)は前進し早寝早起きになりやすく、また中途覚醒・熟眠感の低下を訴える高齢者が多い。体内時計のリセットには朝〜午前中に日光(2500ルクス以上の強い光)を浴びることが有効で、日光はセロトニンの合成を促し、その14〜16時間後にメラトニンの分泌が高まり自然な眠気を誘導する。

選択肢考察

  1. 1.  午前中に日光を浴びる機会をつくる。

    朝〜午前中の光曝露は体内時計をリセットし、セロトニン合成・夜間のメラトニン分泌増加を通じて睡眠の質を高める。高齢者の昼夜逆転予防・活動性向上に最も効果的な生活リズム調整法である。

  2. × 2.  昼食後に入浴する。

    食直後の入浴は消化管への血流が皮膚に奪われて消化不良を起こしやすく、また副交感神経優位となり昼間の強い眠気を招く。入浴は食事の前または食後1時間以上経過してから、かつ就寝の1〜2時間前が深部体温の下降を利用した入眠促進として推奨される。

  3. × 3.  昼寝をしない。

    高齢者は体力低下から1日活動し続けるのが負担となる。15〜30分程度の午睡は疲労回復と午後の活動性維持に有用である。ただし1時間以上や午後3時以降の昼寝は夜間睡眠を妨げるため避ける。

  4. × 4.  就寝前に水分を多く摂る。

    就寝前の水分過剰摂取は夜間頻尿を招き中途覚醒の原因となる。高齢者は膀胱容量の低下・抗利尿ホルモン分泌リズムの変化もあり、就寝直前の飲水は控えめにし、日中に十分な水分を摂るよう指導する。

高齢者の睡眠の特徴は『浅く・短く・中途覚醒が多い』。深睡眠(徐波睡眠)が減り、レム睡眠と中途覚醒が増える。睡眠衛生指導として、①朝の光曝露②規則的な起床・食事時間③適度な日中の活動(散歩など)④午睡は15〜30分まで⑤就寝2時間前までに入浴・夕食⑥寝室は暗く静か⑦就寝前のカフェイン・アルコール・多量の水分を避ける、などを指導する。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は転倒・せん妄リスクが高いため、高齢者にはなるべく生活指導と非薬物療法を優先することが重要である。

高齢者の睡眠の特徴と、活動と休息のリズムを整えるために最も効果的な介入(朝の光曝露による体内時計のリセット)を問う問題。