老老介護におけるサービス選択
看護師国家試験 第103回 午前 第101問 / 老年看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(85歳、男性)は、5年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し右片麻痺があり、要介護3の認定を受けた。Aさんの子どもは遠方に住んでおり、腰痛のあるAさんの妻(80歳)が1人で介護している。Aさんは、週2日通所介護を利用している。 Aさんに優先されるサービスはどれか。
- 1.訪問入浴介護
- 2.夜間対応型訪問介護
- 3.特定施設入居者生活介護
- 4.認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
対話形式の解説
博士
Aさんは要介護3で右片麻痺、妻は80歳で腰痛があり子どもも遠方じゃ。典型的な老老介護の構図じゃの。
サクラ
すでに週2日の通所介護を使っているんですよね。
博士
そうじゃ。日中の入浴や見守りは確保されておるが、夜間が手つかずなのが課題じゃ。
サクラ
夜間にトイレ介助などが必要だと、腰痛の妻ひとりではきつそうです。
博士
じゃから正解は2の夜間対応型訪問介護じゃ。要介護1から5の在宅者が対象で、定期巡回と随時通報で夜間を支えてくれるサービスじゃの。
サクラ
1の訪問入浴はどうしてダメなんですか。
博士
通所介護で入浴は済んでおる。さらに足す優先度は低いのじゃ。
サクラ
3の特定施設入居者生活介護は。
博士
これは有料老人ホームなどの入居者向けのサービスで、在宅のAさんは対象外じゃ。
サクラ
4の認知症対応型共同生活介護は。
博士
認知症の診断が前提じゃ。Aさんには認知症の記載がないから不適切じゃの。
サクラ
在宅を継続しながら夜間の手を増やす発想が大事なんですね。
博士
その通り。日中・夜間・緊急時の3軸でサービスを組み立てるとよいぞ。
POINT
本問は要介護3、片麻痺のAさんを高齢で腰痛のある妻が1人で介護する老老介護の事例です。日中は通所介護で入浴等が確保されている一方、夜間の介護力が不足しています。地域密着型サービスである夜間対応型訪問介護を導入することで、定期巡回や緊急通報による夜間支援が可能となり、家族介護者の負担軽減につながります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(85歳、男性)は、5年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し右片麻痺があり、要介護3の認定を受けた。Aさんの子どもは遠方に住んでおり、腰痛のあるAさんの妻(80歳)が1人で介護している。Aさんは、週2日通所介護を利用している。 Aさんに優先されるサービスはどれか。
解説:正解は 2 です。Aさんは要介護3で右片麻痺があり、80歳で腰痛のある妻が1人で介護する老老介護の状況です。子どもも遠方で夜間の支援者がおらず、夜間の排泄介助や急変時対応が妻の負担になっています。夜間対応型訪問介護は、夜間(22時〜翌6時頃)に定期巡回や随時通報に応じてヘルパーが訪問するサービスで、夜間帯の介護負担軽減と緊急時の安心確保に直結します。
選択肢考察
-
× 1. 訪問入浴介護
Aさんはすでに週2日の通所介護で入浴サービスを受けており、入浴に関する支援は確保されています。現時点では訪問入浴を追加する必要性は低いと判断されます。
-
○ 2. 夜間対応型訪問介護
要介護1〜5の在宅高齢者を対象とし、夜間の定期巡回や随時通報による訪問介護を提供します。高齢で腰痛のある妻が1人で担う夜間の介護負担を軽減でき、優先度が最も高いサービスです。
-
× 3. 特定施設入居者生活介護
有料老人ホームや軽費老人ホーム等に入居している人を対象とするサービスであり、在宅生活を続けているAさんはそもそも対象外です。
-
× 4. 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
認知症の診断を受けた要支援2以上の高齢者が対象です。Aさんには認知症の記述がないため適応となりません。
地域密着型サービスのなかで、夜間対応型訪問介護は『定期巡回』と『随時対応(オペレーターセンター経由)』の2本立てが特徴です。在宅介護を支える視点では、まず日中の通所、夜間の訪問、緊急時の通報という時間軸で必要なサービスを組み立てる発想が重要です。
在宅で老老介護を行う高齢者世帯において、家族介護者の負担を軽減する優先サービスを選択できるかを問う問題です。
「状況設定問題」の関連記事
-
87歳、術後1日—顔をしかめても「痛くない」と言う高齢者の本音を読む
高齢者の術後早期において、薬効切れと非言語的サインを根拠に創部痛を最優先項目と判断できるかを問う問題。
114回
-
ぐったりした認知症高齢者―情報収集の優先順位を脱水の視点で読む
脱水が疑われる高齢認知症患者の救急搬送場面で、追加情報収集の優先順位を「緊急度」と「症状との関連性」から判断…
114回
-
術後1日目に多弁・落ち着きなし、87歳女性に何をする?せん妄ケアの基本
高齢者の術後せん妄に対する非薬物的対応の優先順位を問う問題。誘因除去と感覚機能サポートが第一選択である点を見…
114回
-
ナースコールに目印を!認知症高齢者の「忘れそう」を支える視覚的手がかり
軽度認知症患者がナースコールを押し忘れて単独離床した場面で、最も適切な転倒予防的環境調整を選ぶ問題。視覚的手…
114回
-
「また転びそうで怖い」と話す患者にどう返す?回復期の声かけのコツ
回復期で不安・自信喪失を訴える高齢患者への声かけとして、自己効力感を高めるポジティブフィードバックを選べるか…
114回