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蜂窩織炎とBPSD予防 不適切な介入はどれか

看護師国家試験 第107回 午後 第117問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午後 第117問

Aさん( 82歳、男性 )。長男夫婦との3人暮らし。4年前に認知症(dementia)と診断された。 Barthel< バーセル >インデックスは100点、Mini Mental State Examination< MMSE >は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下腿の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎( cellulitis )と診断されて入院した。入院翌日、右下腿の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症(dementia)の行動・心理症状< BPSD >を最小限にするための看護を計画することとした。 担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか。

  1. 1.右下腿を足浴する。
  2. 2.右下腿を挙上する。
  3. 3.温泉旅行の話をする。
  4. 4.Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは認知症ありの82歳、蜂窩織炎で入院じゃ。腫脹と疼痛が続いておる。

サクラ サクラ

環境変化で落ち着かなくなるとあるので、BPSD予防も看護の大切な要素ですね。

博士 博士

そうじゃ。では『適切でない』介入はどれかを選ぶ問題じゃ。

サクラ サクラ

1の『右下腿を足浴する』が不適切だと思います。

博士 博士

理由は?

サクラ サクラ

蜂窩織炎の急性期に患部を温めると、血管拡張で炎症と痛みが悪化するからです。

博士 博士

そのとおり。急性期の原則は何じゃ?

サクラ サクラ

安静、患部挙上、冷罨法、抗菌薬の確実投与、そしてバイタル観察です。

博士 博士

完璧じゃな。選択肢2の挙上はどうじゃ?

サクラ サクラ

静脈還流を促し浮腫と痛みを軽減するので適切です。

博士 博士

温泉の話をするのは?

サクラ サクラ

日頃楽しんでいる話題は安心感と見当識を支えます。回想法的な効果もありBPSD予防に有効です。

博士 博士

好きな歌は?

サクラ サクラ

音楽は気分転換になり不安を和らげます。MMSE18点は軽度〜中等度で、馴染みの歌は記憶に残っていることが多いので効果的ですね。

博士 博士

よく理解しておる。認知症の方では痛みが不穏や怒りで表現されることが多いんじゃ。

サクラ サクラ

だからこそ疼痛コントロールそのものがBPSD予防になるんですね。

博士 博士

そのとおり。足浴は回復期で熱感が落ち着いたら血流改善目的に検討する場面はあるが、急性期は避けるべきじゃ。

サクラ サクラ

苦痛を増やす介入はBPSDを悪化させるだけ…肝に銘じます。

博士 博士

ようできた。疾患の病態と認知症ケアを両輪で考える力が試される問題じゃな。

POINT

本問は蜂窩織炎急性期の看護と認知症BPSD予防を同時に問う設問です。急性期の患部への温熱刺激である足浴は、血管拡張により炎症と疼痛を増悪させるため不適切です。患部挙上は浮腫軽減に有効で、馴染みの話題や好きな歌はBPSD予防に寄与します。認知症高齢者では疼痛が不穏として表現されやすく、適切な疼痛コントロールと安心感を与える環境調整の組み合わせが看護の鍵となります。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Aさん( 82歳、男性 )。長男夫婦との3人暮らし。4年前に認知症(dementia)と診断された。 Barthel< バーセル >インデックスは100点、Mini Mental State Examination< MMSE >は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下腿の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎( cellulitis )と診断されて入院した。入院翌日、右下腿の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症(dementia)の行動・心理症状< BPSD >を最小限にするための看護を計画することとした。 担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか。

解説:正解は1です。蜂窩織炎は皮下組織の急性細菌感染症で、発赤・腫脹・熱感・疼痛を伴います。急性期に患部を温める足浴は血管拡張により炎症反応と疼痛をむしろ増強させるため不適切です。急性期は患部の安静と挙上、冷罨法、抗菌薬投与が治療の基本となります。BPSDの予防には馴染みのある話題や好きな活動(温泉の話・歌)を取り入れることが有効で、選択肢3・4は適切な関わりです。

選択肢考察

  1. 1.  右下腿を足浴する。

    蜂窩織炎急性期の患部への温熱刺激は、血管拡張により炎症と疼痛を悪化させます。BPSDを考慮しても、苦痛を増やす介入は逆効果であり不適切です。

  2. × 2.  右下腿を挙上する。

    患部挙上は静脈還流と浮腫軽減を促し、腫脹と疼痛を和らげます。急性期ケアとして適切で、苦痛軽減はBPSD予防にもつながります。

  3. × 3.  温泉旅行の話をする。

    普段楽しんでいる話題は安心感と見当識を支え、入院という環境変化によるストレスを和らげます。回想法的効果もありBPSD予防に有効です。

  4. × 4.  Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。

    好きな歌を歌うことは気分転換になり、不安や混乱を軽減します。音楽療法的な働きでBPSDを抑える効果が期待できます。

蜂窩織炎急性期の看護は『安静・患部挙上・冷罨法・抗菌薬確実投与・バイタル観察』が基本です。温熱刺激は回復期(発赤・熱感が落ち着いた後)に血流改善目的で検討することはありますが、急性期は禁忌に近い扱いです。認知症患者では疼痛が不穏や易怒性など非言語的な形で表現されやすく、疼痛コントロールそのものがBPSD予防の中核になります。馴染みの話題や音楽、家族の写真など安心感を与える刺激を組み合わせて環境調整を行いましょう。

蜂窩織炎急性期は『冷却・挙上・抗菌薬』が原則。温める介入は炎症を悪化させるため、BPSD対策よりまず疼痛コントロールを優先します。